電話が鳴った。
「あのー、缶詰の蓋がうまくあきません」
「すみません。うちはそういう相談を受ける部署ではないので」
　また電話。
「あのー、ドラム式の洗濯乾燥機でうまく乾燥できなくて」
「すみません。うちはそういう相談を受ける部署ではないので」
　電話。
「あのー、消費者金融で借りすぎて首が回りません」
「すみません。うちはそういう相談を受ける部署ではないので」
　そろそろ自動応答に切り替えようか。　
「あのー、カロリーゼロのコーラを飲んでますが、痩せません」
「すみません。うちはそういう相談を受ける部署ではないので」
「あのー」
　と、職員のヤマダが言った。
「なんだよ」
「うちって、なにをする部署でしたっけ」
「消費者庁に相談してみるか」
「すみません。うちはそういう相談を受ける部署ではないので」
「てめー殺すぞ」
「すみません。うちはそういうシャレの通じる部署ではないので」

（了）

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