限界
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トンネルを抜けると、そこは秋葉原だった。
あれ。
私は生活に疲れて北国に流浪の旅に出たのではなかったか。なぜ秋葉原にいる。
とはいえ、せっかく来たのだからとドスパラに入ると、安いグラフィックボードを見つけた。
3000円でDirectX対応かあ。
以前にこれで失敗してBlu-layの映画を観れなかったことがあるもんなあと思った瞬間に失神して、目が覚めてみれば、私はしっかりとグラフィックボードの包みを抱えていた。それを見てまた失神したら、今度は自宅の部屋でパソコンの筐体を開いて、グラフィックボードを取り付けていた。
「どこに行ってたの」
と妻に聞かれる。
「ちょっと秋葉原に」
どうも秋葉原のあたりには目に見えない壁があるらしいから、次に失踪するときは南国に向かおうと決意する。
でもきっと大阪の日本橋を越えることははできないんだよ。分かっているんだ。
(了)
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