杉並環境税
いつもはテキスト形式で送られてくる杉並区役所からの回覧メールが珍しくリッチテキスト形式で来た。
先頭に大きく赤い文字で「お詫び」と書いてある。これがやりたかったらしい。
「お詫び
杉並区民の皆様
先般ご承知の通り、いまや、世界経済は未曾有の危機的状況にあります。
わが杉並区の財政状況には多少のゆとりがございますが、油断は禁物です。さらなる財務改善の試みとして、新宿区、中野区、練馬区、世田谷区、三鷹市、武蔵野市との境に関所を設け、通行税を課したところ、都知事から大変なお怒りを賜り
ました。ここに深くお詫び申し上げる次第です。
その代わりと言ってはなんですが、CO2削減のため、ディーゼルトラックは元より、CO2を排出するすべての交通手段に対し、杉並環境税を課すことを、全会一致で可決いたしました。
一輪車、三輪車、自転車、ローラースケート、トロッコ、リヤカー、駕籠、車いすなどについては、環境税はかかりません。区民のみなさまはぜひ自動車やバイクの代替手段として上記の交通手段をご利用ください。
ただし、上記の例外手段に、エンジンを付加することは固く禁じさせていただきます。
杉並区長」
ギャグかなあと思ったが、いままでの経緯からして、たぶん大まじめなんだろう。
「びすー」
「なんでチュか」
「杉並環境税の話、聞いた?」
「聞いたでチュー。ネズミバス路線が廃止になってとても悲しいでチュー」
「そうだよなー。ネズミ用の自転車ってないのかい」
ふたりで黙って形状を考えた。
(了)
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