三陽商会は来期黒字化するのか?

こちらのnoteではファッション業界の最新ニュースを1週間に5本程度解説し、その先に起こり得る事や豆知識を盛り込んでご提供いたします。
先週のピックアップニュースは下記の通りです。

・三陽商会は来期黒字化するのか?
・GUCCIのここ三年くらいの業績を調査してみた
・ニッチブランドが市場で生き抜く戦略
・廃材活用はリサイクルとして現実的?
・H&Mの業績悪化は過剰出店が原因?


三陽商会は来期黒字化するのか?

三陽商会、4期ぶりの営業黒字へ 新ブランドや銀座旗艦店に投資

三陽商会の18年12月期連結決算は、売上高が前期比5.5%減の590億円、営業損益が21億円の赤字(前期は19億円の赤字)、純損益が8億1900万円の赤字(同10億円)だった。上期の販売苦戦を下期で取り戻そうとしたが、暖冬で稼ぎ頭のコートが振るわなかった。撤退ブランドによる減収も響いた。青山ビルを売却したものの、希望退職者募集に伴う22億円の特別損失の計上で3期連続の最終赤字に沈んだ。

上記はWWDの記事なんですが、まるで「三陽商会が黒字化したのか?」と思ってしまうようなタイトル。記事の内容をパッと見たところ、通期で営業損益が21億円と前年度より赤字額が大きくなっているのですが、来期は黒字化するという予測らしいので、決算書の中身を見てみる事にしました。


○既存店が大きくこけなければ黒字は可能?

WWDの記事中にもあるように、希望退職者募集による特別損失が大きく販管比率が上がって最終赤字という内容ですね。

「事業構造改善費用」として26億円の損失。前年度よりPLが悪化しているのはほぼこちらが原因のようです。ルビー買収の、のれんが大きいのかな?とも思いましたが、

無形固定資産が14億6000万円ほど増えていますね。これがルビー買収の、のれんなんでしょうけど、減損損失は1億円ちょっとなので償却期間長めにしているのでしょうか。こちらは今期の販管費増大の大きな原因ではないようです。在庫の増え方がちょっと気になりますが…。

今期の店舗数が掲載された資料が無かったので、前年度の計画から引っ張ってきましたが、計画では2018年は百貨店を45店舗閉めるという内容。当然、全体の売上高は下がるのですが、粗利高が前年度と比較しても、

2017年 291億4900万円(粗利率:46.6%)
2018年    285億8300万円(粗利率:48.4%)

と、大きく変動無し。粗利率が改善されていますので、不採算店舗閉めていっている効果はあるようです。

ブランドごとの売上見ても、既存ブランドの下げ止まりな様子は確かにあります。来期、既存店が大きくこける事が無ければ黒字化する予測というのは確かにわかります。


○EC事業は?

百貨店アパレルはどこも、百貨店の店舗を減らしていってECやその他のチャネル強化に向かっている印象があります。わかりやすいのはTSIホールディングスですかね。

(上記はTSIの第三Qの決算資料です。)

百貨店の売上構成比は16.4%でEC比率が19.2%。もはや「百貨店アパレル」とも言えないような数字です。

三陽商会はバーバリーが無くなった事もあってか、2016年から百貨店の店舗を300店舗以上閉めています。上期、成長鈍化かな?と思われたECは下期に入って数値が改善。通期で106%と成長はしたものの、前年度と比較するとやや鈍化したかなぁという印象。百貨店の特性上、ECには送客し辛いでしょうから(売上に対しての掛け率なので、ECに送客されると百貨店側の損失になる為)、チャネルの構成比を更に大きく変えていく事がEC成長の為のキーになるんではないかと思います。

自社のモールだけでなく、ブランド別のECサイトも立ち上げていく予定のようですね。三陽商会のブランド公式サイトは元々、自社ECモールに送客するまでしっかり作りこまれていましたから、カート付けるだけでちゃんとしたものができそう。


余談ですが、アウトレットと並列で商品展開してプロパーが売れにくくはならないんだろうか…。ここちょっと気になるな。。


○その他の成長戦略は?

2019年の計画では売上30億円ほど伸ばす予定。チャネルの構成比を変えただけでは大幅に売上を伸ばすのは難しいので、新規出店や新ブランドの構想が必要になります。

来期の事業計画では新ブランドを立ち上げる予定があるようです。企画・MDに関しては肝いりのAIを活用するとの記載もありますが、これがどうなるのか…。個人的にはちょっと微妙な気もしていますが。。

トータルして見ますと、確かに黒字化しそうな印象はありますね。問題はやはり新ブランドの展開でしょうか。ここでヒット商品ができなければ根本的な解決には繋がらないでしょう。他の百貨店アパレルを見てみますと、to B施策やM&Aに活路を見出しているようにも思えますが、三陽商会の新ブランドがどうなるのか、勝手に期待して注目していきたいと思います。


GUCCIのここ三年くらいの業績を調査してみた

ケリングは18年度も絶好調 CEOはブランド買収に意欲

ケリング(KERING)の2018年12月期決算は、売上高が前期比26.3%増の136億6520万ユーロ(約1兆6944億円)、営業利益は同47.2%増の37億2140万ユーロ(約4614億円)、純利益は同101.2%増の37億5350万ユーロ(約4654億円)で増収増益だった。

売上・利益共に爆増中のケリング。営業利益率も27%と超高水準。その中でも特に好調なのがGUCCI。若者に好きなブランドを聞けば、大概GUCCIの名前が上がるほど、ミケーレに変わってからの人気ぶりがすごい。ミケーレがGUCCIのクリエイティブディレクターに就任したのは2015年秋冬からなので、2016年から現在までGUCCIがどの程度伸びたのかをちょっと調査してみました。

○GUCCI

・2016年
売上   :4378m ユーロ(5472億5000万円)
営業利益 :1256m ユーロ(1570億円)
営業利益率:28.6%

・2017年
売上   :6211m ユーロ(7763億7500万円)
営業利益 :2124m ユーロ(2655億円)
営業利益率:34.1%

・2018年
売上   :8285m ユーロ(1兆356億2500万円)
営業利益 :3275m ユーロ(4093億7500万円)
営業利益率:39.5%

※1ユーロ=125円で計算

数字の伸びもすごいんですが、営業利益率が40%近いって異常…。そりゃケリングも好調ですよ。現時点でGUCCIより営業利益率高いブランドってあるのかな。。伸びすぎてて怖いレベル…。

サンローランとボッテガもIRに掲載されていたのでついてに掲載しておきます。

○SAINT LAURENT

・2016年
売上   :1220m ユーロ(1525億円)
営業利益 :269m ユーロ(336億2500万円)
営業利益率:22.0%

・2017年
売上   :1502m ユーロ(1877億5000万円)
営業利益 :377m ユーロ(471億2500万円)
営業利益率:25.0%

・2018年
売上   :1744m ユーロ(2180億円)
営業利益 :459m ユーロ(573億7500万円)
営業利益率:26.3%

サンローランも売上・利益共に非常に高い水準なのですが、GUCCI見てからだとちょっと霞んでしまいますね。2017SSより、エディ・スリマンからアンソニー・ヴァカレロにディレクターが変わっても売上は順調に伸びている模様。

○BOTTEGA VENETA

・2016年
売上   :1173m ユーロ(1466億2500万円)
営業利益 :297m ユーロ(371億2500万円)
営業利益率:25.3%

・2017年
売上   :1176m ユーロ(1470億円)
営業利益 :294m ユーロ(367億5000万円)
営業利益率:25.0%

・2018年
売上   :1109m ユーロ(1386億2500万円)
営業利益 :242m ユーロ(302億5000万円)
営業利益率:21.8%

上記、2ブランドと比較すると伸び悩みを見せるボッテガですが、それでも営業利益率は20%を超えています。

GUCCIが飛び抜けて業績が良く、ケリングの売上を牽引しているという結果ですね。しばらくはミケーレ続投なんでしょうけど、次のディレクターがちょっとかわいそうな気がしますね。。



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深地雅也

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深地雅也

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コメント2件

実際のところはわかりませんが、特別損失で在庫を評価減してた場合、来期「は」黒字になる可能性は高いかもしれません。その場合、ノープランだと来来期は即死ですけど。苦笑。
在庫量が増えすぎなだけに確かに死にますね。。。
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