見出し画像

誰が得するのかわからないC CHANNELのインフルエンサーブランド


こちらのnoteではファッション業界の最新ニュースを1週間に5本程度解説し、その先に起こり得る事や豆知識を盛り込んでご提供いたします。
先週のピックアップニュースは下記の通りです。



誰が得するのかわからないC CHANNELのインフルエンサーブランド

「Cチャンネル」とTOKYO BASEが“ゾゾ”限定の新ブランド インフルエンサーとコラボ

女性向け動画メディア「Cチャンネル(C CHANNEL)」を運営するC Channelは、TOKYO BASEが「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」で展開するEC業態「トウキョウ デパートメント ストア(TOKYO DEPARTMENT STORE)」と共同で、新しいウィメンズブランド「インタビュー(INTERVIEW)」をスタートさせた。3月20日からゾゾタウンで販売している。

C CHANNELとTOKYO BASEとZOZOのコラボ…、なんでしょうか。TOKYO BASEがZOZO上で運営するショップ(TOKYO DEPARTMENT STORE)がありまして、そこでの限定商品ですね。色々と謎な部分がありますので順を追って確認して参ります。


○ C CHANNELは何が関係しているのか?

今回起用するインフルエンサーが全て、C CHANNEL上の人気クリッパーなのかな?と思ったら、出てきたのはこの方のみ。

その他の二人ですが、


普通にモデル活動などされています。つまり、他の二人はこの機会にC CHANNEL側が起用したインフルエンサーで、彼女たちを看板にした商品を展開するって事でしょうかね。しかしそれでTOKYO BASEとZOZOを絡ます理由がよくわかりません。何故ならC CHANNELは、

田中里奈さんを起用したインフルエンサーブランドを既に自前でやっていて、実績もあるはずだからです。


上記のページを見てもわかるように、C CHANNELが集客装置になっていて、ECへ送客しているのがわかります。自前のクリッパーを起用するなら尚更、この手法で売ればいいのでは…。


○支払うのはZOZOへの手数料のみ?

上記がZOZO内でのページですね。C CHANNELとしてはZOZO内に出店しているセレクトショップへ出店という形。ZOZOの手数料はもちろん発生するでしょうけど、在庫はTOKYO BASEが買い取るのか委託なのかは不明。TOKYO BASEはZOZOの手数料がかなり優遇されているという噂ですが、TOKYO BASEとC CHANNELの掛け率が50%と仮定し、ZOZOの手数料が20%の場合、

C CHANNELは10000円の商品を5000円でTOKYO BASEへ卸し、そこから20%程度抜かれるのでプロパーで販売しても3000円の利益。セール時どうするんだろうか…。そして、インフルエンサーが拡散してリーチしてくれた顧客リストは全てZOZOに吸われるのです。ZOZO以外得していないように見えるのですが。。


○そういやその昔「百貨店限定商品」というものがありまして…

これ、ちょっと既視感がありまして、今もやってるかもですが「百貨店限定商品」というものがブランドの中にあったのです。内容としては、ブランドの展示会にて百貨店バイヤーが来店。気に入った商品を「うちの百貨店限定にしてほしい」と仰る訳です。しかし百貨店との取引内容は「消化仕入れ」。つまり在庫リスクは当然ブランド側にあり、販売するのもブランド側。なのにその限定商品を百貨店側が指示する点数仕入れてくれ、とリクエストされる仕様。これとちょっと似てるなぁと。。しかも今回はそこに更に販促費までもがブランド側の負担という感じでしょう。

何故、この内容でゴーサインが出たのか全く理解しがたいです。C CHANNELが自前で集客と販売が出来ているなら、わざわざ利益吸われながら今回の取り組みをやる必要性が全くありません。「実は自前で集客できなくなってきたのか?」と邪推してしまいますね。TOKYO BASEにしても「from japan to the world」どこ行った?という感じ。。国内で短期的に儲けれたらそれでいいのでしょうか。ちょっと疑問だらけの取り組みと言わざるを得ませんね。



古着屋の原点回帰?

創業の地アメリカ村に復活した"古着屋のウィゴー"が移転拡大オープン、期間限定で「100円古着」企画も

リニューアル後のWEGO VINTAGE アメリカ村店はファッションビル「BIGSTEP WEST」の地下1階に移転し、世界中から集めた一点物のヴィンテージアイテムや、1990年代のストリートシーンを席巻したブランドのヴィンテージアイテム、リメイク古着などを取り揃える。ショップインショップとして常設するのはレコードショップ「マンハッタンレコード(Manhattan Records)」、ビンテージショップ「ビッグマン(BIG MAN)」、ウィゴーが運営するデニムブランド「ドゥニーム(Denime)」の3店舗。マンハッタンレコードは中古レコードの販売スペースを拡大するほか、インストアイベントを定期的に行う。

先々週のヒューマンフォーラムの「森」に続き、先週はWEGOが「古着」にフォーカスした店舗をオープン。僕が学生時代だった約20年前くらいは、どちらもアメ村や堀江にある普通の古着屋さんでした。(スピンズは京都発祥ですが。)それが一時期から多店舗展開や大型店の出店など規模拡大していき、現在自社ブランドの展開までするような状況まで変化しています。参入障壁が低く、供給過多で競合が多いアパレル市場において、自社のリーチを伸ばしていく為の変化は致し方ないといったところでしょうか。「読モ」という名のインフルエンサーマーケティングに力を入れ出したのもあり、本来のアイデンティティであった「古着」のイメージが薄まっていった印象があります。が、ここに来て「原点回帰」とも思えるようなショップを出店。しかもヒューマンフォーラムと同時期、、という事で「そういう流れなのか?」と気になりましたので早速店舗へ行ってみました。


○古着において重要な「バックグラウンド」「カルチャー」の演出

ヒューマンフォーラムが運営する「森」でもそうだったんですが、やはり古着において欠かせない要素は「バックグラウンド」や「カルチャー」といった要素。僕は古着マニアでもないので、その部分について深く語れるものはありませんが、オタクな人でショップの店員さん以上に詳しい人がザラにいます。WEGO新店の店内を見てみますと、

(音楽)


(スポーツ)

(アウトドア)


(ゲーム)


(アニメ・コミック)

などの要素がコーナーごとに散りばめられています。バックグラウンドを知ってもらう事で商品の付加価値を高める手法は、うんちくの多い古着の方が向いていると言えますね。

パックマンはAmazonや楽天でも購入可能なようです(笑)


○ショップとしての個性がやや弱い?

「古着を拡張する」という明確なテーマがある「森」に対して、WEGOの新店からはその店独自のコンセプトが伝わってきませんでした。店内に散りばめられたカルチャーも、既にあるものですし、記憶に残りやすいものとしては「マンハッタンレコード」が店内に入っているくらい。(WEGOが親会社です。)創業の地に戻って「古着」にフォーカスしたという点だけで、それ以外の要素が薄い気がします。「ストリート」の要素は若い世代には受けがいいでしょうから、そのあたりは売りやすいんでしょうけど。

過去、個店の古着屋が多かった頃、その店を起点としたコミュニティが形成されていて、それが売上の源泉になっていました。今は細分化されたコミュニティがソーシャル上に存在し、個性の強い古着屋はInstagramなどでコミュニティを形成し集客に繋げています。創業の地で古着屋として復活させるなら、WEGOならではの個性を打ち出しコミュニティを形成する事こそが、過去の古着屋を現代的にアップデートする事なのではないでしょうか。



ここから先は

4,429字 / 18画像

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?