フォロワーの方からご依頼があったので、オンワードクローゼットを簡単に解析してみた!

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フォロワーの方からご依頼があったので、オンワードクローゼットを簡単に解析してみた!

TwitterのフォロワーさんからECサイトの批評や改善の提案をnoteで書いてほしいというご依頼がありましたので、ニュースは関係無いのですがECサイトを簡単に解析してみました。今回ご依頼があったのはオンワードクローゼット。百貨店アパレルながら自社ECの売上比率が非常に高く、改善する点なんかあるのかな?とも思いましたが。。

以前にもオンワードさんのECには軽く触れております。

大手アパレルのEC売上におけるZOZO比率をまとめてみた

EC全体 203億円
自社    152億円 ※自社比率75%から逆算
ZOZO比率 25%以下

自社EC比率が脅威の75%。40代アッパーがメインのモールなのでZOZOとは親和性低いのでしょうけど、これはすごい。EC比率見ても、もう自社の顧客にリーチしきっているのでは?と思える数字です。特にこの年代はEC使う母数が若年層に比べて少ないでしょうし。

まずはトラフィックを計測。

similarでセッションを見てみますと、月間380万セッション。国内アパレルで自社EC売上が高い「ベイクルーズストア」で450万セッション、アダストリアの「.st」で650万セッション程度になりますので、決して悪くない(というより良い)数字なんではないでしょうか。

流入経路の内訳見てみると、ダイレクトの比重が85%。similarなんで誤差は結構あるかもですが、ベイクルーズ ・アダストリア共に52%程度でした。で特に低いのがオーガニック検索。オンワードクローゼットは2%弱に対して、ベイクルーズ は17%、アダストリアは42.54%。なんでこんなにダイレクトの比重高いのかと調べてみると、

○オンワードクローゼット
LINE    5,637,646
Facebook    7,718
Instagram      2,610
Twitter      359

LINEの会員数がめっちゃ多い。これも比較してみると、

○ベイクルーズストア
LINE    2,971,169
Facebook    155,180
Instagram     120,000
Twitter                 7,617

○ドットエスティ
LINE              5,914,718
Facebook           5,062
Instagram        80000
Twitter              21,524

自社よりトラフィックが高いベイクルーズストアより格段に多い。ドットエスティよりは少ないもののセッションで170万近く違うのにこれだけの僅差です。で、代わりにソーシャルがめっちゃ弱い。各ブランドのソーシャルがあるからこっちは力入れてないのかな?(というほど各ブランドのソーシャルも強くないけど。。)

という訳でパッと見たところの弱点は、「検索」と「ソーシャル」になります。既存顧客は取り込みきっている印象があるので、この二つを軸に新規セッションを獲得していければいいのかと思います。

○ソーシャル強化はInstagram一択!
先日、永江さんの下記の記事を読んで震撼しました…。

【驚愕】InstagramはおばさまのSNSになっていた。

インスタユーザーって若年層のイメージ強かったんですが、何と40代、50代の伸び率が半端ない。。特に50代がすごいですね。このあたりの年代は特にオンワードさんと親和性ありそうです。まだ取り込めていないF2層をInstagramで獲得できるかもしれませんね。ではどのような内容を投稿したらいいのか?なんですが、

競合他社を見てみるとモールはリポストがめっちゃ多い。ECモールって情報が雑多だから、付加価値付けようと思うと自社サイト内のキュレーションが一番手っ取り早い。で、各社のサイト見てみても大体そういうコンテンツ中心で、オンワードさんも例外ではありません。

こういった感じのページですね。で、オンワードさんのInstagramの投稿は「オンワードメイツ」の方のリポスト中心。

Instagramフォロワーが数百から数千単位のアンバサダー的な方中心にコーディネートを掲載しているページですね。この方々がキュレーター的な役割だと思われます。ただ、投稿内容とサイト上でのコーディネートが連動しておらず、また本人の投稿にはブランドオフィシャルのアカウントは紐付けられていますが、オンワードクローゼットのアカウントが紐付いてなかったりと中途半端な印象を受けます。ここは徹底した方がいいでしょう。またオンワードメイツも数があまり多くありませんので、ここが増えてコンテンツの量と質が上がる仕組みが欲しいですね。質を担保する為にも数を厳選してるのかしれませんが、WEARが以前優秀なWEARISTAにポイント付与してZOZO上でお買い物させて投稿のクオリティを向上させていったような取り組みがあると質と量を増やせるかもしれませんし。

あと、このコンテンツはスタッフコーデでも使えると思います。オンワードクローゼットにはスタッフコーデの一覧がありますが、個人にあまりフォーカスしていません。「アメリヴィンテージ」ではInstagramとスタッフコーデは完全に連動していて、個人名とスタッフのアカウントがサイト内にも紐づけられています。お気に入りのスタッフのInstagramが導線になってサイト内に流入…、というケースもあるかと思います。オンワードさんくらいスタッフたくさんいるなら、オフィシャルアカウントからの流入だけでなく、スタッフアカウントからの流入もかなり見込めそうです。

○サイト内コンテンツがアーカイブ化されてない
先ほども出てきた「キュレーション」という言葉。オンワードクローゼットとしてシーズン性に特化したおすすめだったり、インフルエンサーのフィルターを通してセレクトされたアイテムの提案だったりと、そういった記事がそれに当たるかと思います。しかし、それらがサイト内にアーカイブ化されておらず、一覧で確認できません。

他社ではこのように「マガジン」という項目で一覧で確認できます。もしかしてオーガニック弱いのはこれのせい?ブランド数・アイテム数が多いからそれでも検索で引っかかるとは思うのですが、コンテンツが溜まっていかないのは良くないです。一覧ページを作って整理する必要がありますね。で、せっかくのこういったコンテンツもソーシャルと連動していません。このあたり、結構機会損失してるかもです。

○ショップブログは検索強化に繋がらない?
ショップブログ( https://shopblog.onward.co.jp/ )はサブドメインで運用していますので、これはオンワードクローゼット( https://crosset.onward.co.jp/ )自体を強化はしません。オンワードクローゼットへ送客するメディアとして活用しているのでしょうけど、ECの検索を強化するなら、オンワードクローゼット直下のディレクトリにコンテンツが必要になりそうです。(ちなみにオンワードマルシェもサブドメイン。。)

※サブドメインは検索上では別サイトとしてみなされます。オンワードの事例ではshopblog.onward.co.jpとcrosset.onward.co.jp/ はonward.co.jp/ のサブドメインになります。ベイクルーズ の事例にならってコンテンツページをサブディレクトリに格納するならcrosset.onward.co.jp/magazine/ で運用するとドメインが強化されます。

と、ざっくりと「検索」と「ソーシャル」の強化施策を考えてみました。(解析時間は1〜2時間程度なんで不十分かも。。)偉そうに言いましたが、オンワードさんのサイトは既にかなり対策されており、言うほどやる事ないなーという印象です。新規顧客獲得は百貨店アパレルにとってECだけの問題ではありません。既に長年運営しているブランドも多くありますから、新しいブランドを開発するなり、新しいプラットフォームで認知度上げていくなりしないと大きな需要獲得は難しいでしょう。同様の問題は三陽商会も抱えており、同社の新規獲得施策は下記の通り。

・EC専用ブランドの販売
・他社商材を自社ECにて販売
・ウェブマガジンの開設
・外部モールへの出店 (ストライプデパートメント ・アンドモール・伊勢丹オンラインストア・マルイウェブチャンネル)

オンワードさんの新規獲得の取り組みは下記になるのでしょうか。

オンワードとストライプ、アパレルEC相互出品など包括提携

一番簡単なのはZOZOがやってるようにたくさんブランド持ってくる事ですから上記のような取り組みをしていく事は理解はできます。しかしいつの時代でも重要なのは「欲しいと思える商品を作る」に行き着きます。MDでもECでも売上の一番の対策って結局これなので、テクニカルな事は二の次なんですよね。。(身も蓋もない)


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