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ロコンドの「自社EC支援」はどこが優れているのか?

こちらのnoteではファッション業界の最新ニュースを1週間に5本程度解説し、その先に起こり得る事や豆知識を盛り込んでご提供いたします。
先週のピックアップニュースは下記の通りです。

・ロコンドの「自社EC支援」はどこが優れているのか?
・情報量を担保せずにハイブランドを売る事は可能か
・意外と小さいブランド品リユースの市場規模
・幸福洗脳が某ブランドと酷似している件
・ライフスタイルブランドがアパレルに進出する狙いとは?


ロコンドの「自社EC支援」はどこが優れているのか?

年末年始とZOZOの話題で持ちきりですが、密かに注目を浴びているのがロコンドの田中社長。

ご本人のツイートも、ZOZOの前澤さんを意識したものが多くZOZO大喜利みたいになっています。なんてTwitterらしい応酬なんだろうか…。(ちなみに田中さんからお年玉をもらった人のツイートは検索しても出てきません…。みんな自粛しているのだろうか。。)

国内ファッションECモールは色々ありますが今だにZOZOが一強状態。(昨年の通期決算で取り扱い高が2705億円)AmazonはAmazonファッションの売上を公表していませんが、数年前と比較するとかなりZOZOに近づいてきたんではないかと個人的には推測しています。

それ以外のファッションECモールですが、こちらが実は相当な差が開いいます。マガシークやショップリストでも流通総額は250億円程度。ZOZOの十分の一程度の規模なんです。で、そんな中ロコンドがぶち上げたのが下記。

圧倒的な2位グループを作ると言ってまずはマガシークと組んでいます。そんなロコンドですが、今年度は月次報告を見ても月間売上の市場最高額を頻繁に更新しています。ZOZO1強状態からどう抜け出すのか今後の展開が楽しみです。そんな中、ロコンドの第三Qの決算発表がありましたので早速見てみる事に。


○第三Qで既に昨年実績を超える

通期決算を前にして、売上・粗利で既に前年実績をクリアしています。営業利益はマイナスですが、これは通期決算時に広告費にめっちゃ投資するから今年度は赤字ですよーって前もって告知してたので計算通りでしょう。

販管費の内訳見ても広告費の高騰が明らかですね。あとは3PL事業拡大に伴う荷造り運搬費がやや上がっています。

※3PL…物流の受託です。


○実は自社ブランドがある

ロコンドは以前、三鈴商事という企業を買収しています。三鈴商事はシューズのメーカーなので、ロコンドは自社ブランドを持ってるのと同じですね。

ロコンドの取り扱いのほとんどがシューズであり、「靴のロコンド」として認知されているのでシューズでのPB展開は当然と言えば当然です。今後、ロコンドの名前を付けたブランド展開もあり得るかも?「Rename」事業がこれに当たるのかなーと推測していましたが、Renameは自社EC始めましたので今ではロコンドが卸先の一つのような見え方になっていますね。


で、今回特に注目すべきが下記の施策。

○to B施策である「BOEM2.0」

ご本人もツイートしているBOEMという事業。

決算書読む限りでは、まず大手フルフィルメント事業者が提案している「ささげ業務」や「物流」「広告運営」はもちろん、他社モールとの在庫連携も網羅しています。これ、外部サービスで導入している企業も多かったんではないでしょうか。

※ささげ業務…撮影・採寸・原稿

更には自前のCMSもあり、コンテンツ管理もこちらのサービス内で可能との事。

余談ですが、コンテンツ管理に関してはロコンド自体がめっちゃコンテンツ少ないんで良いCMSあっても宝の持ち腐れな気はしていますね。自分たちは活用せんのかい(笑)とツッコミが入りそう。

メルマガやカスタマーサポート、ポイント連携などのCRMソフトも完備。これらのCRMも外部サービスと連携しているところ多かったと思うので窓口が一つになるのは利便性高そうです。

更にはペイメントまで。。

その他、開発中サービスが二件ほどあり至れり尽くせりな感じですね。これ確かにto Bでここまでやってくれるところ無さそうです。気になるのはCMSの使いやすさですね。これ、どのASPがいいかって色々な人に聞くんですけどみんな消去法なんです。「ここがいい!」って聞いた事が無いので、ロコンドが最適解になるのかどうか気になるところです。

まとめますと結局やってる事って、

○本業のECモールで取り扱い高増やす!(TVCM)
○他社ECモールとの連携進める!(マガシーク)
○to B施策強化!(BOEM2.0))
○自社ブランド強化!(三鈴商事)

ってところなんでZOZOと方針はそれほど変わらないかなぁといった印象です。唯一違うのは連合ですね。最近ではアパレル企業同士が連合組んでモール作るなんていう動きも出てきていますので、このあたりの目的は似通っているんではないかと。2020年に300億円の計画なんで、今のままZOZOに追いつこうと思うと連合10社以上必要な気もしますが。。。


情報量を担保せずにハイブランドを売る事は可能か

アジアブランドのみを集めたECセレクトショップ代表が語る、アジアブランドの勢い

今年9月にアジア各国のハイブランドを集めたオンラインセレクトショップ「シックスティーパーセント(SIXTY PERCENT)」が本格オープンした。代表を務めるのは、ストリートブランド「ナードユニット(NERDUNIT)」の日本展開も手掛ける、26歳の若手起業家の松岡那苗だ。学生の頃からアジアの国々で活動をしており、アジア各国のファッションに対する熱量を肌で感じてきたという。

「アジアのハイブランドを集めたEC」という事で、ショップの方向性もわかりやすいく、また日本では気軽に買い物ができないブランドも購入できるなら独自性もあります。ちょっと興味深いショップだと思いましてチェックしてみる事にしたのですが、、


○ナビゲーションが少ない…

まず最初に思うのがナビゲーションの少なさ。「メンズ」「レディース」「ブランド」のみでの切り口しか無く、クリックしてみると、、

ブランドが雑多に並んでいるだけです。初めて見るブランドも多いのに、ブランドの説明は一切無し。個人的には新たなブランドとの出会いを楽しみにしていましたが、これだとデザインのみでしか判断する材料が無く、そのブランドのコンセプトや世界観がわかりません。既に認知してるブランドならいいんでしょうけど。


○商品詳細の情報が少ない…

商品コメントも無く、商品の写真もめっちゃ少ないです。ドロップシッピングと書いてましたが、恐らくこのあたりもブランド側に丸投げなんではないかと思います。商品によって画像枚数に差異はありますが、基本ルックブックから抜粋したような写真が多く、置き撮りの写真もディティールにはフォーカスしていません。多言語で展開するとめっちゃ手間かかりますけど、これじゃ中々売れないのでは。。。


○マガジンが無い

ハイブランドばかりですので、とにかく情報量は必須です。海外のラグジュアリーECを見れば一目瞭然なんですが、ボリューミーなコンテンツ記事で付加価値高めるのが主流です。ていうかそれが無いとどんなブランドなのかすらわかりません。この情報量では購買意欲沸きません。繰り返しますが、これで購入するのってブランド認知が既にある人なんでしょうけど、そんな人だけが購入するとしたらめっちゃ市場規模小さいです。この先、もっとページが改修されていくかもしれませんので引き続き注目したいと思いますが、今のままでは売上拡大は難しいのではないかと思う次第です。

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