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ZOZOの決算書確認してみたらPB以外の業績が意外と成長していた件

こちらのnoteではファッション業界の最新ニュースを1週間に5本程度解説し、その先に起こり得る事や豆知識を盛り込んでご提供いたします。
先週のピックアップニュースは下記の通りです。

・ZOZOの決算書確認してみたらPB以外の業績が意外と成長していた件
・メイシーズの社内インフルエンサー活用を日本の販売員活用と比較してみた
・フライングタイガーweb接客ツール導入の狙いは店頭送客?
・オーダー市場における採寸ツールまとめ
・ユニクロのクリエイティブを担当したアンダーカバープロダクションとは?


ZOZOの決算書確認してみたらPB以外の業績が意外と成長していた件

PB「ゾゾ」上期目標未達の売上高5億円 それでも通期200億円計画に修正なし

「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を運営するZOZO(旧スタートトゥデイ)の2018年4〜9月期決算は、商品取扱高が前年同期比18.0%増の1412億円、売上高が同25.9%増の537億円、営業利益が同27.3%減の100億円、純利益が同34.1%減の62億円で、増収減益だった。減益の要因はプライベートブランド(PB)「ゾゾ」にかかる“ゾゾスーツ”配布などの広告宣伝費や人件費の増加で、PB単体では7〜9月の四半期で39億円の営業損失だった。

ゾゾタウンの2018年第2Qがまたしても減益。半年前くらいに時価総額1兆円を超えたのが嘘のように株価も下落しております。上記にも記載がありますようにZOZOスーツ配布を含んだPBの広告宣伝費、荷造運賃の増加が販管費を圧迫。この2項目で63億円の支出です。そりゃ販管費も増大しますね。これが成功への投資ならまだいいんですが、ZOZOスーツの精度も上がらずちゃんとした体系データが取得できていない中で、在庫も溜まってしまうというダブルパンチ。今期はto Bへの支援事業やプロダクト広告なんかも始まっていましたので、利益は上がるんじゃないかなーと安易に思っていましたが、本業であげた利益をはるかに上回るほど、PB事業への投資額が大きかったという結果に終わっています。

こちらが販管費の内訳です。減益とはいえ、まだまだ利益は出ていますが。。

○平均出荷単価下がりすぎ…
PB事業以外で気になる点をいくつか。毎回言ってますが平均出荷単価の下がり方がなかなかです。

2015年くらいの時って普通に10000円超えてたんですよね。もっと遡ると15000円くらいの時もあるくらいです。

上記はロコンドの決算資料です。直近ではありませんが、2018年の通期決算ではロコンドさんが平均出荷単価は勝っていると盛大に決算書で報告しているくらいです。ZOZOはしまむらのような低価格ブランドの出店がどんどん増えていっていますし、クーポンやセールの乱発なんかもかなり影響している事でしょう。

出店ブランドはまだまだ増加していますが、主要なところは大体取り込み済み。単価上げる為のショップってもうほとんど残されていないように思います。あくまで噂ですが2019年には契約満了により、大手アパレルの一角が抜けるのではないかとの予測もありますが…。

○会員数はかなりの伸びを見せているが…

一時期鈍化していたと思われた会員数がここにきて大幅増加。(19年の第1Q〜第2Qで377,420人の増加。)気になるのはアクティブ会員とゲスト購入者数の比率がどんどんと開いてきていて、アクティブ会員比率が高くなっている点。この第2Qでのアクティブ会員比率は74.4%。2018年の通期には70.7%、2017年の通期は61.5%。ここ1〜2年でめっちゃ比率が高くなっています。特に2017〜2018年にかけてがでかいですね。しまむらを含めた新規出店が多く、PB効果もあってか全体の会員数はかなり伸びていますし、アクティブ会員の比率が上がっている理由はクーポン・セールでリピートさせているせいかと推測されます。

では最近増えたアクティブ会員の状況はと言いますと、上記で確認できます。年間購入金額が減っていますが、年間購入点数が増えているのがわかります。1点あたりの平均は4118円程度。低価格商材が増えたからこそ、新規で増加したユーザーも単価低い商材を買いやすいのでしょうか。

既存アクティブ会員、つまり会員登録から1年以上経過している会員の購入金額も下がっています。1点あたり4171円と最近増えたアクティブ会員とほとんど差がありません。会員歴の浅い割合が増えたからという文言が載っていますが、全体的に1点あたりの購入金額は下がっているのでは?と推測します。これもやはり低価格商材の増加が原因かと。

まとめますと、一時の成長鈍化と比較すると意外と数字が伸びた印象があります。細かく見ると色々ありますが小売もto Bもユーズドもちゃんと数字は伸びています。引き続きセール・クーポン、低価格商材のせいで1点単価は下落。で、問題はやはりPB事業でこちらの広告宣伝費やZOZOスーツ代と運賃がめっちゃ嵩んで減益っていう感じですね。更に、BS見てみると在庫が10億円程度増えちゃってるんで、ここも痛いところです。肝心のPBの売上ですが、5億4000万円。で、目標値が下記になります。

PBの売上目標はあくまで崩さない姿勢。。いや、これ相当無理があるでしょ…。発注が15億円程度なんで残り10億円の売上はたつとしても残185億円。これを下期の半年間でどう販売していくのか。ZOZOスーツの配布枚数も伸び悩んでいますが、問題は採寸データを大して取得できていない事。スーツ計測からのPB販売が伸びないなら、身長・体重入力方式で販売を促進するつもりなのか。その精度はどう上げていくのか?在庫や投資額は膨らんでいるのに、売れる見込みがあまり無い。今のままでは200億円の道は相当厳しいと言わざるをえませんね。。


メイシーズの社内インフルエンサー活用を日本の販売員活用と比較してみた

百貨店・メイシーズ、従業員300人をインフルエンサー化:「スタイルクルー」プログラムの中身

昨秋、20人の従業員を「アンバサダー」にするというスタイルクルー(Style Crew)の試験運用を開始して以来、メイシーズは、このプログラムの進展のために投資してきた。今春には、300人を超える従業員がこのプログラムに参加し、現在はSnapchat(スナップチャット)やインスタグラム(Instagram)を含むソーシャルメディアチャネル全体で、400を超えるアカウントがアクティブな状態にあるという。

自社の従業員をインフルエンサーにしたいという願望は海外の小売事業者でも同様な様子。メイシーズが従業員を社内インフルエンサーに育てあげ、自社製品の拡散を狙っているようです。そのプログラム「スタイルクルー」なるものが下記。

上記がスタイルクルーのページになります。日本でいうところのスタッフスタート的なものかなーと思い、チェックしてみる事にしました。

○フィルター機能がほとんど無い

まず一覧ページ見ただけで気づくのですが何と、

フィルター機能がない!

という事です。検索ボックスがありますのでキーワード検索のみ可能ではあります。しかし、海外の人はこれをサムネイルのみでクリックしていくのでしょうか?身長やブランドや紹介者で切り分けて探して時間短縮したりしないのか疑問です。

○人にフォーカスしている割にランキングも無い

上記画像はとあるスタッフの動画一覧ページ。一応、スタッフごとの一覧にも飛べるようにはなっているので、ある程度人にフォーカスしているのはわかるんですがスタッフ一覧やランキングのようなものがありません。これではどの人を見たらいいかの指標がなく、全体の一覧しか無いので迷子になりそう。気になるスタッフを見つけてもお気に入りにも登録できないから、スタッフにファンをつける事を促進できません。この仕様はちょっと残念ですね。

○動画の人気度がわからない

動画の再生回数だったり、ライク数だったり、その動画の評価が無いので、将来的に人気の動画で絞り込むつもりも無いのかな?と思ってしまいます。YouTubeでも再生回数が見るときの指標になったりするでしょうから、これが無いのって意外と不便かも。やはりレビューだったり点数的なものって見るときの基準としてはあった方が選びやすいです。

人によりますが、動画のクオリティはかなり高い場合があったりするので結構勿体ないなーと思ったり。ソーシャルのシェアボタンが付いてるってことは拡散する意思があるんでしょうから、もっとユーザーが選びやすく拡散しやすいように変えていったらいいかと。社内の人間をインフルエンサーにするなら、それこそ個人のソーシャルアカウントを紐づけるのは必須でしょうし。

コメ兵の藤原さんもおっしゃられていますが、確かに日本の方がかなり進んでいます。次の春にはプログラムの参加者が300人を超えるようなので、引き続き注目しておきたいと思います。


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