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百貨店がECを強化したいなら「消化仕入れ」を辞めるべき

こちらのnoteではファッション業界の最新ニュースを1週間に5本程度解説し、その先に起こり得る事や豆知識を盛り込んでご提供いたします。
先週のピックアップニュースは下記の通りです。


ECを強化したいなら「消化仕入れ」を辞めるべき

三越伊勢丹HDが基幹3店舗のリモデルに100億円超の投資、ハイエンドブランドや化粧品の売り場拡張へ

三越伊勢丹ホールディングスが2019年3月期通期連結決算(2018年4月1日〜2019年3月31日)を発表した。売上高は1兆1,968億300万円(前年同期比4.7%減)、営業利益は292億2,900万円(同19.7%増)、経常利益は319億9,500万円(同17.1%増)、純利益は134億8,000万円(前期は9億6,000万円の赤字)で減収増益。今期は人件費の削減や伊勢丹松戸店の閉店、子会社マミーナの事業終了などの構造改革を行った結果、計238億円の販管費削減に繋がったという。

三越伊勢丹の通期決算発表ですが、販管費削減から利益率が改善しています。

これが2018年の業績なんですが、

こちらが今期の予測。ちょっと驚きましたがほとんど数字変わっていない…。引き続き販管費削減により、若干の増益を見込んでいますが売上は下がる計画になっています。めっちゃ手堅い予想ですな。

引き続き店舗閉鎖、事業縮小と販管費削減の動きが活発。2021年には現在より200億円近く販管費を下げていく予定になっています。

その傍ら、新事業も精力的にスタートしていっています。シェアリング、カスタムオーダー、オンライン専業などなど。バズワード盛りだくさんのラインアップ。

・定期宅配


・オンライン専業ブランド


・パーソナルスタイリング


・シェアリング

こちらはまだ実証実験の報道なので、サービス自体はリリースされていませんね。


個人的に注目しているのはリユースサービスとの連携ですね。これは百貨店事業と相性がいいのではと思っております。


○成長戦略の一つであるEC

ECにてちょっと面白い資料があったのでご紹介します。この資料を見る限りでは、「リサーチ:オンライン→購入:店舗」=ウェブルーミング(現在18%)と「リサーチ:店舗→購入:オンライン」=ショールーミング(現在6%)の割合を増やしていくといった施策。(オンライン専業ブランドは「リサーチ:オンライン→購入:オンライン」になってしまいますが。)

そしてこちらが対策。ちょっとざっくりすぎて具体的に何やるのかわかりませんが、別の記事に一部取り組みが紹介されていました。

現状はECサイトの店舗取扱商品の掲載率が2割程度にとどまるため、4月に東京・新宿に開設したEC専用の撮影・編集のスタジオを拡充し、今秋に200~300人体制にしてECを強化する。
(中略)
また、ポイント制度は現状、百貨店で同社運営のクレジットカード利用時に付与されるが、ECサイト専用のポイント制度を構築した上で、現行のポイント制度との統合を計画する。

取り組みとしては2点。一つは以前からも報じられている撮影スタジオの拡充ともう一つは新ポイント制度の導入。ECで購入時に得られるポイントを店頭でも使えるようにするという方針でしょうか。これやるならTポイント廃止せずに、TポイントユーザーをECに誘導したら良かったんではないかと思いますね。オンライン専業の「アームインアーム」は価格帯もこなれているので、百貨店主要顧客ほどお金持ってなくても買えそうですしね。ていうか、百貨店で買い物しない層を取り組む為のブランド展開でしょうし。

店舗取り扱い商品の掲載率が低いのはスタジオのせいではなく、消化仕入れが主な原因でしょう。在庫リスクを取らずに、ブランド側が何故百貨店にECの在庫まで保証しないといけないのか。スタジオが拡充されれば、ささげ業務のリードタイムが短縮されるかもしれませんが、どのタイミングで商品を撮影するのか。ブランドが在庫を店頭に送る際にまずスタジオで撮影してから店頭に届くといった経緯であれば、ブランド側はその撮影にかかる日数を承諾するのでしょうか。

EC成長させたいなら繰り返し言ってますが、消化仕入れを辞めるか自社で買い取ってる在庫からスタートするかどっちかしか無いかと。今更ECモールの真似事しても後発すぎて難しいでしょうし、海外の百貨店を見習った方がいいと思いますが…。

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