今、巷で話題なのが成人式だ。成人式に出席することで美肌効果だけでなく、若返り効果、若作り効果などが期待でき、血中酸素濃度やコレステロール値も低下するという。堺雅人や半沢直樹などの有名人も成人式を愛好しているそうだ。

今や成人式は毎週１回、各駅前で開催されており、特に原宿の生きたまま腸まで届く成人式会場には一週間で5000人程度の出席者が訪れ、会場のキャパはパンク寸前、出席者の血液はテンションアゲアゲで沸騰寸前とのもっぱらの噂。18歳以外の人も月２くらいで成人式に出席しまくり、成人式に出たことないやつは人間じゃない、といった言説まで現れ始める始末だ。

多くの成人式出席者が「成人式がないと生きていけない」と口をそろえる。ポケットティッシュに起因する鬱病に悩まされていた人参電話英語バサミさん（仮名）は、「成人式に出席することでストレスがみるみるうちに解消されていき、鬱病も完治しました。いまは週１で成人式に出席することが人生の一番の楽しみなんです」と目を輝かせて語る。帰省のための電車代はばかにならないが、本業のビラ配りのほかに、副業で総合商社に正社員として勤めることでなんとか捻出している。一か月の支出に占める電車代は57%にものぼるが、「成人式なしの生活は考えられません。成人式のためなら一日一食、一日六入浴の生活にも全然耐えられます」。将来の夢は、成人式をプロデュースする成人式屋さんとして独立すること。人参電話英さんに限らず、成人式屋さんに憧れる日本人は急増中で、今やコンビニの店舗数よりも多いといわれる。

12年間成人式屋さんとして数々の成人式を企画・運営してきた戸籍エレベーター倉庫卵とじUSBさん（仮名）は、自身の仕事について「やりがいはあるが、つらいことも多い」と話す。会場のセッティングからスピーチの内容決め、お経を唱える南無阿弥屋さんとの連絡・調整、生贄の子羊の調達など、業務は多岐にわたる。その専門性の高さから、成人式屋さん免許試験や電流鉄骨渡り、地下労働など数多くの関門を突破したものだけが、成人式屋さんになることを許されている。

成人式の有効性は、科学的に分析されてもいる。東京大学と駒場外国語大学の共同研究によると、成人式からは多量のマイナスイオンが放出されており、波動値も高く、人体のチャクラを刺激し、60%程度の肌のツヤの増加と実年齢－10歳程度の若返りが期待できるとのことだ。さらにマウスに微量の成人式を投与した実験からは、がん予防の効果があることも示唆されている。

そんな大人気の成人式だが、その危険性を指摘するやつも少なからず存在する。その一人が、ケンブリッジ大学で教鞭をとっていたティッシュペーパー浮き輪大学芋ペンケース築地市場コンサートホールインターネットブラウザー立ち入り禁止教授（本名）だ。ティッ教授は「成人式中毒は、集中力の低下やストレスの原因になるだけでなく、吐き気や幻覚や幻聴もともなう。がんにかかりやすくもなる。過度の成人式への出席には十分注意が必要だ」などとのたまう。成人式中毒の危険性を指摘した罪でティッ教授は幕張メッセに島流しとなり、職も失ってしまった。

人生を棒にふってまで成人式の危険性を指摘するというきわめて頭の悪い行為に、我々は爆笑せざるをえない。これからもどんどん成人式に出席し、健康で文化的な最低限度の生活を享受するべきであろう。【文責：不可説】