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あらゆるものに値がつく時代

CASH」や「メルカリNOW」など、現金化サービスの波がすごい。
日常の中で、自分が持っているものが瞬間的に現金化される、という世界が訪れる。

そんな中で、自分が最近いちばん驚いたのは、今月初めに中国で開催されたWorld Internet Conferenceで初登場したという、笑顔による割引システム。
参考:最新の無人スーパー、スマイルで割引--人民網日本語版--人民日報

第3世代天猫(Tmall)無人スーパーで、商品横のカメラによって、利用客の表情を読み取り、AIが解析。商品に対する感情を測定し、それに応じた割引がなされる、という仕組みになっている。

このニュースを見たとき、「ついに、笑顔や感情が現金化される時代になったのか……」と、若干のディストピア的なイメージが浮かんでしまった。


ここで思い出したのが、社会学者ホックシールドが提唱した「感情労働」という概念。たとえばフライトアテンダントなどの接客業においては、労働の中で笑顔が強いられるなど、他律的に感情管理が統制され、いわば「感情」が商品化されている、としている。提供側から見ると、スマイルは0円ではない。
参考:管理される心―感情が商品になるとき A.R. ホックシールド


アメリカの「fico」や中国の「芝麻信用」など、海外では、個人の信用を数値化するような取り組みも、一般化している。結局は、その信用レベルによって、受けられるサービスや待遇に差が出ることになるので、現金化とはいかないまでも、この「信用」も交換可能な経済的価値となる。

身の回りの持ち物が査定されて現金に変わるように、自分たちの感情やふるまいも、査定され、現金あるいはそれに準ずるような価値になっていく。


対価を得られる局面の増加で、生活モデルがさらに多様化するであろうという希望と、あらゆるふるまいが査定されかねないことによる、オフタイム消失の危惧と。そんなことを考えている。

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