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noteをグロースさせる方法

noteユーザーかつ、サービスグロースがすきなので、下記の企画にのってみようと思います。

考え出したらおもしろくて、長くなってしまった。。


私は、どちらかというと数値を見てのグロースのほうが本業なのですが、

・詳しいデータが手元にない
・ごりごりの数値上げや、へたなハックをしたいわけでもない

・・・というところから、noteが大事にするものをいちユーザーとして汲み取りつつ、フェーズを分けて考えてみました。


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グロース Phase.1

■ 実現するサービスの(勝手な)イメージ

「なにかを発信したい人が、伝わりやすい形式で、手軽にコンテンツを作成・公開できるサービス」

*主な競合(ターゲットにとっての他の選択肢)
・各blogサービス
・Tumblr
・Medium
・Qiita(プログラミング系中心)
*Podcast、Voicy(音声形式のみ)
*SlideShare、Speaker Deck(スライド形式のみ)


■ グロースのエンジン

<グロースのサイクル> ※収益部分を除く

<グロースのポイント>

・コンテンツのシェア促進
・読者のアクション促進
・書き手がnoteを選ぶための、認知と競合優位


■ これをふまえた、さらなる向上施策案

・ブックマーク機能の導入(反応増加)

ブックマーク、お気に入り、後で読む、といった機能を導入する。

コンテンツに対する、現状いちばんハードルの低いアクションは「スキ」。しかし登録/ログインが必須で、そもそも対象ユーザーが少ない。
そして、自分の「スキ」一覧を見る導線も弱いので、実行の意味・メリットがやや希薄な印象。

ただ、noteの「スキ」が、Mediumの「clap」と近しいものとして、別でbookmark機能を入れるのか、あるいはTwitterの「fav」と近しいものとして、そのままbookmark的に使える設計にするのかは、要検討。。


・記事下での他クリエイター記事のレコメンド導入(シェア促進)

現状webの記事下は、下記のように構成されている。

他のクリエイター記事への直接導線がなく、noteがクリエイター主体のサービスであることが窺える。しかし、記事回遊(コンテンツとの出会い)を促進すれば、シェア率を上げることができると思う。

新規ユーザーのLP、つまり新規ユーザーとnoteのタッチポイントとして多いのは、TOPよりも記事ページのはずだ。
コンテンツフックでの記事流入が主要な新規導線とすると、そこでユーザーにしてもらいたいことは、大きく下記の2つになる。

・いい記事をシェアしてもらい、note拡散に貢献してもらうこと
・「ここは良い記事がある、また来よう」と思ってもらい、noteユーザーになってもらうこと

上記2つのどちらにしても、たった1記事の閲覧体験内で訴求するより、note内で何記事か読んでもらったほうが、CVRは上がると思う。

もちろん、クリエイターページ内に他者の記事を載せることになり、クリエイター主体の設計を崩すことに繋がるので、バイラルメディア的なハックを安易に導入したいわけではないが、未ログイン時・最下部への追加実験はしてみたい。


・記事下でのクリエイターフォロー訴求整理(読者増加)

上記の流れで、もうひとつ。

「こちらもおすすめ」→「フォロー」の流れを、「このクリエイターの他の記事」→「読者になる」、に整理する。

記事ページにランディングした新規ユーザーにとっては、「読者になる」という表現のほうがしっくりくる気がする。(推測なのでABテストできれば)
また、「こちらもおすすめ」で並ぶ記事が、同一クリエイターの作品であることが、現在の表記ではわかりづらい。

記事閲覧をきっかけとした「このクリエイターの作品をもっと読みたい!」という気持ちの醸成 ~noteユーザーになってもらう、という導線の設計を、よりスムーズにしていく。


・記事下での書き手の勧誘(書き手増加)

コンテンツ拡散でユーザーがnoteを認知・接触した段階で、「あなたもnoteで書きませんか?」という訴求、DL/登録導線をつける。

noteは通常のblogサービスよりも、始めるハードルが低いはずなので、タッチポイントとしてあると良さそう。(下記は、はてなの例)


・Markdownなどの記述対応(書き手増加)

エンジニア系はMediumやQiitaユーザーが多いけど、「内容・届けたいユーザーによっては、noteを使うほうが良い」という選択肢もあり得る。
たとえば、グロースハッカーは開発寄りの人が多いけど、開発界隈からすればグロースハックはメジャーな話題ではない。

そういったことをふまえると、Markdownなどの記述対応をすることが、書き手の増加に繋がると考えられる。

もちろん、Markdownは思いつきの一案で、実際は(想定母数や世界観をふまえて)獲得したいユーザー層に狙いを定め、彼らが書き手としてnoteを選ぶように、必要な機能を拡充していくイメージ。



グロース Phase.2

これ以上にnoteが大きくグロースするには、ここまで築き上げたものを土台として、新たな提供価値を見出していく必要がある。

上記の提供価値では、ユーザーが「note」を利用する主なきっかけが、下記2つとなり、解決できるユーザー課題がかなり限定される。

・なにかを書こうと思ったとき
・特定のコンテンツを読もうと思ったとき(流れ着く)

また、提供価値とともに、成長エンジンのサイクルも変わる。


■ Phase.1での主な課題

・このモデルでは、利用者母数の飛躍的成長・ハンドリングが難しい

上記は「書き手」主導、いわば記事公開プラットフォームとしてのサービスで、「読者」が愛用するプロダクトとしての価値を産み出せない。

コンテンツが増えないとグロースしない構造だが、コンテンツ作成に対する動機付けという働きかけが弱い。


・サービス愛用のバロメータでもある継続率が、上がりづらい

note上でのコンテンツ閲覧が、経路流入として他のソーシャルネットワークなどに強く依存。コンテンツの指名買い流入+直帰になっている。

また、noteとしては、比較的ストック型のコンテンツも多い一方で、コンテンツデリバリーがソーシャルタイムタイムラインに依存しているため、過去コンテンツという財産を、SEO以外活かしきれていないことも残念。


*補足

正確性は欠けるが参考程度に見ると、Similarwebでの「note.mu」のレポートからは、下記の状況が見える。(アプリはもう少し回遊しているはず)

・ソーシャル流入が過半数
・滞在時間が短い、PV/セッション低く、直帰率が高い
 →つまり、サービス内回遊していない

深津さんが、特に「継続率」と「発見性」(拡散性)についての意見を特に募集していたのも、こういう状況をふまえてのことなのかなと。


■ 目指すべきサービスイメージのupdate

ここで、noteにおける最優先のユーザー体験「読んで楽しい」と「書いて楽しい」に立ち返ると、「コンテンツ作成公開に適したサービス」(流通がソーシャルメディア任せ)に留まるものではないことが見える。

「決まったものを書きにいく、読みにいく」ために訪れる場所ではなく、「読みたいものに出会う」さらに「書きたいものに出会う、書きたくなる」場所というように、提供価値をさらに拡張できる。


■ グロースのエンジンとポイント

note自体が、人やコンテンツにおける出会いのプラットフォームとすると、書きたくなること、読みたいものと出会えること(マッチング率を上げること)が、グロースのエンジンになる。

たとえばフリマアプリやスキル提供など、他のCtoCマーケットプレイスと同様の話で、欲しいものが見つかり、欲しい人に届きやすくなれば、プラットフォームとして栄えていく。

「読者」にとってもメリットのあるサービスにしていくことで、他のソーシャルネットワークなどに依存しない、媒体指名買いでのユーザー数向上、継続率の向上・安定も見込める。

また、note自体が、ビジネス・漫画・日記エッセイなど、多様なコンテンツクリエイターを受け入れ、バーティカルなメディアではないため、余計にマッチングの精度が求められることになる。


<グロースのポイント>

・「読みたいもの」に出会えること
 ―コンテンツとのマッチング率向上

・「書きたい」と思わせること
 ―書くメリットの増加
 ―書くきっかけの増加


■ これをふまえた、さらなる向上施策案

<コンテンツマッチングの向上>

これには、大きく分けて2つのアプローチが考えられる。

1. コンテンツと出会うための、クリエイターフォロー導線強化(既存の方向性の延長)

2. 直接コンテンツ単位で出会う、導線の強化

前述の内容と重複するが、2を強化するメリットとして大きいのが、未ログインユーザーの体験も合わせて向上できる点。

新規流入ユーザーに対しても記事回遊を促し、初回体験の満足度を上げることができれば、そこからのアプリDL・利用登録も促進することができる。


・フォロー時のクリエイターレコメンド(フォロー促進)

instagramなどで採用している、クリエイターをフォローしたタイミングで、近い属性の他のクリエイターをレコメンド表示する機能を追加する。


・おすすめユーザー表示の更新(フォロー促進)

アプリ内「さがす」機能での、おすすめユーザーの更新性を上げる。

何度かユーザーに表示していてもフォローされなかったユーザーを、表示し続けても、ユーザーがフォローする可能性は低い。それならば、一定期間で非表示にするか、(おすすめロジックに利用されるデータの更新がなくとも)表示を定期的に入れ替えたほうが、フォローは活性化すると思う。


・おすすめユーザーの表示情報改善(フォロー促進)

ユーザーのプロフィール文や、フォロワー数、自分のフォローユーザーの誰がフォローしているかなど、掲載情報を追加する。

現状、表示情報がプロフィール画像とユーザー名のみなので、なぜおすすめされているのかもわからず、「見てみよう」という気持ちにもなりづらい。


・ハッシュタグフォローを入れる(コンテンツとの出会い促進)

これもinstagramにある機能だが、ユーザーだけでなく、ハッシュタグもフォロー対象とすることで、興味のあるコンテンツに出会う確率を上げる。

現状では、クリエイターフォローとは別軸で、自分の興味関心のある内容の記事と出会うには、マガジンをフォローするか、都度探しに行く必要がある。


・記事下での記事レコメンド強化(コンテンツとの出会い促進)

ここは、Phase.1 の内容と重複。

そのユーザーが気に入る確率が高い記事を掲出するために、記事下の回遊枠を追加。イメージとしては、Amazonレコメンドのような仕組みの導入。

ex. この記事に「スキ」をつけた人は、この記事に「スキ」をつけています


・公式SNSアカウントのカテゴリ分け(コンテンツとの出会い促進)

これは流入施策でもあるが、note公式のSNSアカウントを、漫画・ビジネス・デザインなど、ジャンル別につくる。

noteは、多様なコンテンツ・ユーザーを受け入れているため、ブロードキャスト的なコンテンツ発信では、どうしても刺さる確率が低くなると思う。

セレンディピティが生まれづらくなるが、刺さらないとフォロー解除に繋がるので、全体のアカウントに加えて、カテゴリ別のものもあると、ユーザーが選べて良いと思う。(下記は、女性向けメディア「Locari」の例)


<書くモチベーションの醸成>

これには、大きく分けて下記のアプローチがある。

・書くきっかけの増加
・書くメリットの増加

※前述のコンテンツマッチングが強化されれば、記事がより興味を持つであろう多くのユーザーに届くことになるので、それももちろんここに繋がる。


・人気・急上昇ハッシュタグの表示(書くきっかけ増加)

note内でどのような内容が人気なのかを開示することで、ユーザーのニーズがわかり、「これについてなら自分も書けそう。知りたい人がいるなら書いてみようかな。」というような、発信のきっかけをつくる。

また、それによりコンテンツのマッチング率にも寄与する。


・お題企画の民主化(書くきっかけ増加)

公式のハッシュタグ企画や「#noteをグロース」のように、テーマに沿ったnoteの募集を、一般ユーザーができるようにする。さらに、お題に対する「スキ」機能も設ける。

これにより、書くきっかけが増え、さらに記事だけでなく企画の発信者も増えると思う。また、記事が読者と出会う新しい経路になり、記事への反応も活性化しそう。

noteでは、図解シリーズやノウハウ記事など、みんなが知りたいことをわかりやすく解説した記事に、人気が集まる傾向がある。これを、知りたい側発信で、活性化する動きがあってもいいと思う。良質なQ&Aサービス、「知乎(zhihu)」や「Quora」などに近い方向性。

ここで知見がたまれば、ゆくゆくは、知りたいことへの解答・解説を求めてnoteを利用するユーザーを増やすことができる。そして、noteにある良質でストック系のコンテンツが、資産として活きる。

また、良い質問をした人への報酬配布など、新しい課金形態も模索できそう。


・報酬や評価制度の導入・強化(書くメリット増加)

ここについては、具体案までは落とせず。。

安易にインセンティブを与える設計にすると、仕組みをハックするような動きが出て、コンテンツの質の低下に繋がったり、ニッチなコンテンツが淘汰されたり、目指すサービス像から離れる可能性が出てしまう。

ただ、現状の市場環境として、UGCコンテンツプラットフォームはどんどん拡大している。フォロワー獲得(ソーシャルでの影響力)だったり、あるいは投げ銭などの直接報酬だったり、個人が手軽に発信し、対価を得られる時代になっている。

そうなってくると、対価を得られない・得づらいプラットフォームは、ユーザーを獲得できなくなるので、サービスへの導入設計は必須になると思う。

ここでひとつ、参考になると考えているのが、中国のサービス「嗶哩嗶哩(bilibili)」の、クリエイターに対して毎月一定額以上の投げ銭をすると、プレミアム会員になれるというモデルだ。

書き手がメリットを受けられる設計でありつつ、下手な操作がしづらいところが良いと思う。

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