見出し画像

「ジュリアン」鑑賞-1800円で買える抑止力-


チケットカウント6
新宿シネマカリテ2/6 19:00上映回を鑑賞しました。
https://julien-movie.com
見たい映画ランキング上位だったのですが、野田市の児童虐待殺害事件のニュースを見て、早く見なければと衝動に駆られて映画館へ。

グザヴィエ・ルグラン監督作品
最初正直グサヴィエ・ドラン監督作品かと思ってたんですけど
ルグラン監督はフランス国籍
ドラン監督はカナダ国籍ケベック州
2人ともフランス語圏の監督。覚えた!

DVまではいかなくても、
少しだけ、力加減が苦手なパートナーを持つひとへ
パートナーをデートに誘って、映画館で「ジュリアン」を観て欲しい。
パートナーの脳裏に、この作品に対する恐怖を焼き付けて欲しい。
パートナーが暴走した瞬間に、パートナーの脳裏に、この映画がフラッシュバックするようになったら成功。
そんな反面教師映画。
いつもの如くネタバレ満載です。ただ、

このノートを読んでいようが、読んでなかろうが、ジュリアンのラストシーンは怖い。

DV関連のトラウマを抱えてる人には、とても辛いかもしれない。
でも、1800円で買える、一生物の盾になりえるのでは?と思います。

「この世界という広大な劇場は、我々が演じている場面よりもっと悲惨な見世物を見せてくれる。」
シェイクスピアの「お気に召すまま」より
この映画「ジュリアン」を見ていてると、日本がどんなにダメな国か思い知らされます。

登場人物 
ジュリアン(子・11歳)
両親の親権争いの対象。
ブロンド→母親に無理矢理染められた可能性あり。
この物語の一番の被害者。
暴力を振るう父親を疎ましく思っている。
映画を見ている感じだと、母親を守るためというよりも、自分のテリトリーを守るために父親に嘘をついているような感じがした。

アントワーヌ(父)
ブルネット。
狩猟本能高い。(聞き取りの内容より)
目に見えるものすべてを自分の手中におさめないと気が済まないタイプ。
怒りの沸点が低い。
感情を自分でコントロールできない。
→アントワーヌの父母(ジュリアン祖父母)の影響によるもの。
誰でも一歩足を踏み外してしまったら、こうなってしまうであろう悪害オタクタイプ。

ミリアム 母
根元がだいぶブルネットなブロンドヘアー(プリン頭)
フラッパー(パリピ)体質。
恋人がいる。
お金には困っていない様子。→フランスを出て、カナダに移住すれば良かったのでは…?
悪害オタクを引っ掛けちゃったアイドルタイプ。

ジョセフィーヌ(子・18歳)
両親の親権争いの対象外。
だけども母親に縛られている。
ブルネット
遠方の恋人とイチャイチャするのに忙しくて学校をさぼりがち(母似?)

まず、フランスすごい
家庭裁判所でジュリアンの親権をめぐる裁判から物語がスタート。
画面に登場する
判事、アントワーヌ側の弁護士、ミリアム側の弁護士みんな女性。すごい。
感情を削ぎ落として、淡々と言葉を紡いでいく女性たち。かっこいい…
ミリアム側の弁護士は、言ってみちゃうと負け戦。
途中で感情的な一面も現れるけれど、判事がせき止める。

ちょっと脱線。
日本の演劇シーンって、女性が感情をあらわにし過ぎるシーンが出てくる演劇が多くて、なんだかなぁ…と常々思っていたのです。
だからオールメールに逃げがち笑
女性がキーキーしてるのって、側から見たら見苦しいですよね。そんなことはわかっているのです。でも、わかってることを表に出されると余計イライラするんです。
紀伊国屋劇場で見た舞台「テロ」でさえ、女性の判事が、悲観的な感情を全面に出して、参審員(観客たち)を有罪判決へとミスリードするように仕向けているように描かれていた。
「いま、ここにある武器」でもそう。感情むき出しの女性キャラがでてくる。
「令嬢ジュリー」のクリスティンみたいなキャラクターを、もっと日本の演劇界に、ドラマ界に、たくさん出して欲しい…

親権問題については、最終的な判決は保留ってことで良いんですよね?(ちょっとよくわからなかった)
この作品では子供に対して、親に(野田市事件で言う所の)アンケートを見せることを確認している。

そして取り決めによりジュリアンは、週一回父親と会うことに(で合ってるんだろうか…)
司法関係の女性たちかっけーーー!っていう気持ちが先行しちゃってこの辺りの内容をつかみきれなかった。。。

この後、ミリアムがアントワーヌから全力で逃げている描写がたくさん出てくる。
住居を変える、携帯電話の番号を変える…etc…
途中でジュリアンがアントワーヌから暴力を受けながら、無理矢理情報を探られているシーンが出てきて、胸が痛かった…
最近、中学生の時の教科書に載っていた「少年の日の思い出」を読み直したくなって、読んだのですが、ミリアムが蝶みたいに逃げるから、アントワーヌが余計に追いたくなってしまうのだろうな…

そして、アントワーヌがアントワーヌ宅で自分の感情をコントロールできず、ジュリアンに暴力を振るうシーン。
アントワーヌ父母が、アントワーヌを叱る。この父母の叱り方も酷い。
理性を放り投げて怒る。
アントワーヌの父母による躾が、冒頭のシーンの法務関係の女性たちのように、理性的な躾であれば、アントワーヌのDVはここまで酷くてならなかったのでは?

パーティのシーンを見た感じだと、多分ミリアムがアントワーヌを軽い気持ちで引っ掛けたら、アントワーヌがやばい男だった。とか。そんな感じの出会いだったのかなぁ。なんて思いました。
ノートルダムの鐘のエスメラルダがフロローの手中に収まってしまった。みたいな感じ。

アントワーヌの逆鱗に触れる。
アントワーヌが猟銃を持って、ミリアムとジュリアンが居る部屋に押し込んでくるラストシーン。
ゾンビが出てくる映画って、結局は作り物じゃないですか。
だから全く怖くない。
でも猟銃なら日本にもあるし、最近DV被害で亡くなった子供もいる。
圧倒的リアリズム。こわい。いつ自分の身に降りかかるかわからない。
こわいし、現在進行系でこういう被害に遭っているひとが居ると思う。
この映画のように、近所の人がファインプレーをしていれば助かった命があったかもしれない。
だから私は、このノートを通して、この映画に出てきた隣人役をやりたいなぁと思いました。

アントワーヌのDVって遺伝的だったり、刷り込みによるものだと思うのです。
どこかで負の連鎖を断ち切らなければいけない。
そのための映画「ジュリアン」日本でめちゃくちゃ流行してほしい。

各種メディアーーー!!! 
しょーもないくだらない芸能ニュース流すくらいなら、野田市のニュースとセットで、なんとかメディアに乗せてほしい。

そんなことを思いながら、この映画を見ていました。

「カメラを止めるな!」くらい流行してほしい。
私も見ました。低予算でも面白いものがつくれるという証明、素晴らしかった。
でも私は「お腹を抱えて笑える」コンテンツばかり取り上げられていくのに我慢がならない!
学校が嫌いだった私にとって、映画館や劇場は気軽に足を運べる学びの場だと思っています!
カメ止めって、有名人・芸能人の方々の口コミで広がっていったんですよね?

このノートを読んだ誰かが
映画「ジュリアン」を見て、口コミしてくださることを願って!



ありがとうございます( ´ v ` )