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旅行系サービス開発における、ユーザーとの向き合い方

C向けの旅行サービスを開発する上でのユーザー(旅行者)との向き合い方について意見を述べさせていただければと思い、noteに書き留めることにしました。過去のnoteで言語化しきれなかった部分を自分の整理がてらにまとめています。

サービス開発において、ユーザーとの向き合い方は最重要項目ではない

論じ始める前の大前提として、C向けの旅行サービスを開発する上でもっとも優先するべき事項は、ユーザー(旅行者)の視点での課題解決ではないと考えています。それよりも大事なのは”マネタイズにおける革新性”だと考えています。そのあたりは以前のnote記事に書いたとおりです。

今回は、”マネタイズにおける革新性”が大事であるということを踏まえた上で「じゃあユーザーとはどう向き合うべきだろう?」という問いに対する個人的見解をまとめてみました。私はユーザーと向き合う際には2つの必須条件があるのではないかと考えています。

1つ目の条件:"相対的な価値"を複数提示する必要がある

上でも紹介している過去のnoteを抜粋しますが、私の持論は以下の通りです。

【noteより抜粋】
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旅行領域において、もはや根深いユーザー(旅行者)の課題など存在しないと考えています。
(中略)
AirbnbはC向けのサービスでありながらも、マネタイズの価値のほうが革新性がありました。ユーザーに対する価値は、キャッチーではあるものの”ちょっとした付加価値の集合体”でしかありません。

私は、根深いユーザー(旅行者)の課題など存在しないと考えています。宿泊や航空券などが個人で自由に予約できるようになり、個人旅行(FIT)が活発化しています。また情報収集の方面でも紙のガイドブックはもちろん、スマホを活用してwebやSNSなどから様々な情報を取得することが可能です。特に実現できないことはないように感じます。

ですがC向けにサービスを展開する以上、ユーザーの獲得は必要不可欠です。(当たり前ではありますが。)そこで私は”相対的な価値”に注目をしています。

"相対的な価値"とは、「もっと便利になったらいいのに」という既存のユーザー行動を改善してくれるものを指して、私がそう呼んでいます。既存のユーザー行動を破壊するような革新性はありません。あくまで相対的に価値を感じるものです。これらは「現状をもっと良くしたい!」という、誰もが思っている人間の欲をついています。そのため旅行の領域においても多く存在しており、例えば「もっと安く旅行したい」「もっと手軽に旅行したい」「もっと楽しく旅行したい」などが挙げられます。

これらに取り組むことのメリットはシンプルで、価値を提供しやすいことです。抜け穴を探すように、ユーザーにとって画期的である”絶対的な価値”を探す必要がありません。しかし一方で"相対的な価値"は1つだけだとあまり魅力的ではありません。既存のサービスと比較して新しいサービスへ乗り換える魅力が薄いからです。このようなデメリットを抱えているからこそ、「ユーザーへ”相対的な価値を複数用意して、その集合体を提示する必要がある」と考えています。小さい魅力でも、チリも積もれば山となります。複数の"相対的な価値"で既存のサービスに勝ちに行く。これがC向けの旅行サービスにおけるユーザーの向き合い方の王道なのではないでしょうか。

”相対的な価値”を複数用意したサービスの例は後述します。

2つ目の条件:サービスの魅力が伝わるようキャッチーに言語化

価値を複数用意することのデメリットは、「ユーザーにそのサービスの魅力が伝わりにくくなる」ことです。だからこそ、開発したサービスがいかに魅力的であるかがユーザーへ伝わるようなキャッチーさ必要だと考えています。

キャッチーであればあるほど、ユーザーがサービスの魅力を理解してくれる可能性が上がります。しかし複数の価値を提示しているため、それらを取りまとめて1つの表現にすることはとても難しいです。そのため、価値そのものではなく「サービスの機能」や「サービスの思想」に目を向けて言語化する方が良いでしょう。

Airbnbを例に考えてみましょう。以下のように整理することが出来ます。

◆キャッチーな表現(サービスの機能)
「家に泊まることができるサービス」

◆ユーザーにとっての価値
・「OTAよりも安く泊まれる」
・「OTAよりも個性的な宿に泊まれる」

Airbnbをユーザー向けに一言で説明しようとすると「家に泊まることができるサービス」という形に収まるかと思います。これはサービスの機能において非常にキャッチーな特徴です。また、Airbnbの価値について整理してみると、ユーザーに対して”相対的な価値”をユーザに対して複数提示しているサービスであることもわかるかと思います。Airbnbはユニコーン企業にまで成長してますが、「根深い課題を解決」しているわけではなく、「複数の”相対的価値”を提示」している企業と言えるのではないでしょうか。もっと言えば、キャッチーな言語化ができるサービスこそが良いサービスと言えるかもしれません。他の成長し続けている旅行系スタートアップにも、おおよそ当てはまるように思います。賛否両論あると思いますので、ぜひ考察を深めてみて欲しいです。

まとめ

これらの理由から、C向けの旅行サービスを開発するのであれば、これら2つの条件はユーザーに対する向き合い方として欠かせないのではないでしょうか。

1:複数の相対的な価値を提示する
2:キャッチーな表現をできるサービスにする

私自身、インバウンド(訪日観光)に取り組むスタートアップで働く身であるため旅行領域に限った話として上記の2つの条件について述べてきました。しかし、もしかしたら全領域のスタートアップに言えることなのかもしれません。

まだまだ未熟で的はずれな意見もあるかもしれませんが、スタートアップで働く者の一意見として捉えていただけると幸いです。私自身も自社サービスである9Pocketをユーザー向けにキャッチーな表現ができるよう努力をしている最中です。自分自身で提示している条件をすぐに満たせるほど優れている人間ではありませんが、良いサービスを作る知見はを共有しながらみなさんでスタートアップを盛り上げていけたらいいなと思っています。

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