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収穫の頃には

いっぱいに実がなっているオレンジの木とマンダリンの木に比べてレモンの木は今はお休み中のようだ。

こちらメキシコ・オアハカは気候の良さが幸いして2回、品種によっては3回収穫ができるようだ。この自宅待機で八百屋さんは誰も買わないので野菜が余ってしょうがないとニュースでも言っていた。

さて、レモンの花は白くて小さくて、遠目で見るとあまり目立たないのだが、そこに蜜蜂が飛んできて賑わってきたら今年もシーズンの到来だなーとわかる。律儀に家の中にまで季節のご挨拶に来てくれる蜂もいて僕たちもお客さんの対応に追われる。傷つけないようにスーパーの買い物袋にお招きしてドアーの外までお見送りする。それを1日に何度か繰り返すこともある。

それにしても、レモンの木の存在はほんとうにありがたい。例えば醤油に加えてポン酢の代わりにしたり、蜂蜜レモンの素を作るときなどに拝借しているのだがひとつ困ったことに背が高い木なので素手では届かない。

なのでペットボトルを半分に切って、飲み口がある方を逆さにし棒をさしテープでぐるぐるにまいて固定し手作りのレモン収穫棒を作った。収穫にはなかなかテクニックがいるし見上げたままなので首が疲れるが、とれたときの喜びは格別だ。

家から一歩出ると、すぐそこの曲がり角にグアバの木がなっていて、僕は背が高い方なのでその辺を散歩中のおばさんに『一個とってくれる?』と頼まれることもある。手渡したときのまるで女学生のように屈託のない嬉しそうな姿がなんとも可愛らしかった。

家のレモンの木は未だ眠っている。目覚める頃には今の状況も変わっているのだろうか?

見上げるオアハカの空だけが雲ひとつなく青くどこまでも澄み渡っている。

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