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Twitterの情報だけを頼りに北海道を9日間旅してみた① ~ふっこ旅 in 北海道 冬編~

私がその人物に会ったのは2019年2月20日@新千歳空港

ちょうど北海道を襲っていた大寒波がおさまり、寒さが少し和らいだ頃のことであった。

彼?彼女?の名前はふっこちゃん。

出会った時のことは鮮明に覚えている。
ふっこちゃんはアルファベットの"F"の形をしており、どこが手でどこが足なのかよく分からない黄色い身体を大きく動かし、肩をはずませ、

「はじめましてふっこだっこ! 今日からふっこの旅がはじまるっこ!!! よろしくっこ!!!!!」

と奇妙な口癖とともにこれからはじまる北海道の旅の抱負を楽しそうに語っていた。

今回の私の役目はこの正体不明のキャラクター"ふっこちゃん"のマネージャーである。
旅の詳細などは決まっておらず、とにかくふっこちゃんに付いてサポートしてほしいというのが上司の命令であった。

初北海道で異様にテンションの高いふっこちゃんを穏やかに制し、私は尋ねた。

「今日はまずどちらに向かいますか?」

するとふっこちゃんはこう答えた。

「まだ決めてないっこ!今からTwitterで聞いてみるっこ!」

なんという無計画性。
北海道を応援する企画として来道しているのに完全なノープランで来たという。
聞けば、北海道に来るのは初めてで北海道については勉強中とのこと。
そんな北海道初心者のふっこちゃんから早速信じられない言葉が飛び出した。

「とりあえずTwitterで仲良くさせてもらっている十勝のフリーマガジンchaiさんに会いに帯広に行こうと思ってるんだっこ。新千歳から帯広まで30分くらいでいけるっこね?

この子は何を言っているんだろう…?
帯広まで30分?そんなわけがない。
空港から帯広までは160kmくらい。
東京から静岡までの距離よりも遠いというのに。

ただ、この間違いは東京から初めて北海道に来た人は結構よくしてしまう間違いなのだ。初北海道のふっこちゃんが間違えても仕方ない。

「そうなんだっこね~ まあ大丈夫だっこ! そんなに急ぐ旅でもないし、ゆっくり向かうっこ。とりあえず帯広方面に向かう電車に乗ってみるっこ!」

良くも悪くもふっこちゃんは常にフラットである。
何事にも動じないふっこちゃんの自由さが後々、このふっこ旅には欠かせない要素だと分かるのだがそれはまだ先の話だ。

私は上司から「とにかく旅の行先はふっこちゃんがすべて決めるから君はただついていけばいい」と言われていた。ふっこちゃんと私は何も考えず汽車に乗った。

するとふっこちゃんのTwitterにこんなリプライが。

なるほど。確かにこれは公共交通機関しか使わないふっこちゃんの旅には打ってつけだ。
ふっこちゃんは早速、途中の乗り換えの駅で北海道フリーパスを購入した。

「これがあったらもう自由に乗り降りできるっこね。じゃあとりあえず次の追分駅で降りてみるっこ!」

と言ってふっこちゃんは追分駅で下車したので私も黙って電車を降りた。
正直、私も降りたことはない駅であった。

ふっこちゃんがこうTwitterで尋ねるもフォロワーの反応は薄い。
だれもがなぜその駅で降りた…?と不思議がっているようにも感じた。

ふっこちゃんと一緒に周辺を散策するもあたりはまだ雪が積もっており、駅近くの鹿公園も冬の間は営業停止中であった。

(いきなりリスに遭遇するというミラクルは起こったが…)

「仕方ないっこ。次の駅に向かうっこ!・・・えっ次の汽車が車であと2時間…?」

そう、北海道は列車の本数が少ないのだ。

東京のように2、3分待っていれば次の列車が来るなんてことは北海道においては夢のような話である。
これも東京から初めて北海道に来た人に陥りがちなミスなのだ。


最初にたどり着いた駅で早速、途方にくれるふっこちゃんと私。


しかしそんなとき、とある人からTwitterにあるコメントが届いたのであった…

(続く)

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