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LayerXのビジネス

はじめに

LayerXってどんなビジネスをしているの?コンサルしてるんでしょ?研究開発にかなり力入れててビジネスはしてないんだよね?みたいなことをよく聞かれます。

(そもそも企業とのプロジェクトが多いため)外に出せる情報が少ないので詳細を語ることはできないので仕方ない点もありますが、上記認識は間違っています。LayerXは「ソフトウェアライセンスビジネス」および「それを活用した共同事業」を行っている会社です。もちろんコンサルティングや研究開発も行っているのですが、それはあくまで上記2つのコアビジネスを強化するために行っています。

現状LayerXには30人ほどの、社員・業務委託が参画しています。弊社は大きな資金調達をしていませんので、キャッシュを燃やしてゆっくり研究していればいいやとやっていてはすぐ立ち行かなってきてしまいます。LayerXはすでに(多くのブロックチェーン企業とは違い)、30名ほどのメンバーがしっかり生きていけるためのキャッシュフローを事業から得ており、自走できるくらいのビジネスを作り上げている会社でもあります。

今日のnoteでは、LayerXがどういう考えで上記のビジネスをどう組み立てて考えていて、何を狙っていくのか、どういうスケールの事業を目指しているのかを書いていきたいと思います。

(LayerXがどういう考えで運営されているかは前回のnoteを参照してください)

LayerXのビジネスモデル

LayerXはブロックチェーンテクノロジーを基軸に、企業のDX(Digital Transformation)を支援する会社です。またそこのビジネスの形態としは「ソフトウェアライセンス」と「それを活用した共同事業」によって収益を上げていきます。

なので実際に企業様と取り組むときもコンサルして終わり、開発して終わりでなく、ビジネスモデルを一緒に考え、実際の開発以降の運用であったり、改善まで一緒に取り組むという形で事業をやっています。その分、数多く案件をうけるというよりは案件を絞ってやらせていただいてます。

インターネットの企業からすると、全部自社でリソースをそろえて云々みたいなのが王道のように思われますが、今後ソフトウェアが飲み込んでいくリアルな領域では上記の形が王道となっていくと思います。

Uberは自動車を1台も保有しない、世界最大のモビリティソフトウェアネットワークです。Airbnbはホテルを1棟も保有しない世界最大の宿泊ソフトウェアネットワークです。彼らは集めてくるアセットがCtoCなので多少性質が違いますが、今後ソフトウェアが飲み込んでいく、金融・不動産・貿易・流通などの分野はそもそもアセット自体が重いのでゼロから集めるよりはパートナーにソフトウェアを提供しつつ導入するという形が当たり前になるでしょう。

現に、機械学習ソフトウェアの領域では、PFN, パークシャ, アベジャ, HEROZなどは上記の戦略をとっており、それが一般的です。

もう少し具体的に考えると、例えばソフトウェアライセンスビジネスとは要はSaaS的ビジネスです。お客様にシステムを導入いただいて、システムに対する利用料を取ります。共同事業とはそのソフトウェア上で展開される事業を互いのアセットを持ち寄ることで成立させレベニューシェアすることです。Gunosyではニュースパスやルクラがそれにあたりました。

証券を例に取ると、証券発行・決済のソフトウェアをSaaS的に導入し(ソフトウェアライセンスビジネス)、そのソフトウェア上のAUM(Assets under management, 運用資産残高のこと)に応じて、レベニューを分け合っていく(共同事業)といったような形です。

LayerXは上記のような形でブロックチェーンを基軸に、ソフトウェアプロダクトを作ることと共同事業を組み合わせることでスケールしていくことを志向しています。

ですので、コンサルして、研究だけやって、はいさようならという形ではなく、実際の実務や既存システムのつなぎこみも含めてプロダクトづくりが必要な会社です。上記のコンサル・研究開発的なイメージから、大変ありがたいことに研究開発に強いエンジニアから多数応募いただいてますが、実は普通に優秀なソフトウェアエンジニア、リアル×ソフトウェアという切り口でプロダクトを作りたいエンジニア、PM、ビズデブをLayerXは求めていますので、ぜひそういった方々もガンガン弊社に応募してほしいなと思っています。(もちろんR&Dは積極的にやっていくので引き続き研究開発に強いエンジニア研究者も募集中です)

飲み込むべきは企業のDX需要

LayerXが意識している企業は?とよくきかれます。競合視しているわけではまったくないのですが、LayerXは「ブロックチェーン業界のPFN, パークシャテクノロジー」になろうとよく社内では話しています。またビジネスの規模としてベンチマークにしてる会社は「NTTデータ、NRI、日本ユニシス、シンプレックス」のような会社を研究しています。

えっと思われた方が多いかもしれません。世間的にはあまりセクシーだと思われている会社ではありません。しかしこれらの会社はここ10年で着実に成長してきた会社なのです。

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これはソフトウェアが飲み込む世界がどんどんリアルに広がっており、そのDX需要をしっかりとらえているということが大きいのだと思います。

また上記の様に我々は、人月商売ではなく、ビジネス経済性に連動するような形で事業を作っていくことを想定しています。上記の会社も一部そのような動きがでており、たとえば有名な全銀システム、I-Star、日本ユニシスが手掛けるQR決済の裏側などはきちんとトランザクションボリュームに連動したフィー体系となっています。スケールするようなビジネスに徐々に転換してっているのです。

上記に上げた会社は、当社が勝手に研究しているだけで現実にはやっているビジネスドメイン、強みとなるテクノロジーは別となるので競合ではなく、むしろパートナーととらえているのですが、当社はビジネスのスケールイメージやどのようなPL構造を作るかという意味において上記のような会社をベンチマークにしています。

この10年を振り返るだけでも、ソフトウェアがリアルを飲み込むという流れは始まっていて、今後10年はスタートアップもそこが主戦場になると思っています。

またその領域は1社単独では起こり得ないため、業界をまとめる力、ドメイン知識からしっかりソフトウェア的ソリューションに落とせる力、そこでキャッシュを生んでいく力が企業には必須になっていくと思っています。

日本の産業界の生産性をソフトウェアテクノロジーで改善する

僕の今までのインターネットはPower to the people. 機械学習の力でメディアというソリューションを作り、「人々が手軽に情報にアクセスできるようにする」という事にかけてきました。

今回LayerXではブロックチェーンの技術特性がtoB向きということもありますが、それ以上にいままで培った経験を持って、よりインパクトが大きくスタートアップがなかなか取り組めていない、「既存産業のソフトウェアのアップデート」に取り組みたいと思ってます。なのでLayerXでやることは、Power to the enterpriseであり、「企業にソフトウェアという武器を配ることで、日本全体の生産性が向上する」ということに賭けていきたいと思います。

こここそが今後10年の王道になると思っていますし、もちろん最終的にはその武器を企業が使うことでエンドユーザーにとって便利なプロダクト、そしてそれは「ブロックチェーンを使った〇〇」ではなく「便利な〇〇」として世の中に普及させていくようなプロダクトを作っていきたいと思っています。

LayerXのメンバーは私も含めて、C向けのサービスを作ってきた事業家集団です。並走して事業一緒に創れるということが明確に強みになります。

LayerXは一貫して「プロダクトの会社」でありたいとおもいます。(not コンサル、not 受託開発)。世の中から勘違いされがちなのはB向けのビジネス=コンサル、受託開発という先入観があるのだと思います。そうではなくPower to the enterpriseを通じて、世の中を良くするプロダクトを作ってる会社なんだということをここに主張していきたいとおもっています。

王道を歩む

最後に余談ですが、とあるディスカッションをしたときに、「王道」って大事だよねとなり、まさにそうだなあと感じたました。

今後10年の王道ってなんだろうってなると、やはりそこは「ソフトウェア×リアル産業」なんだと思います。そのためにすべてを王道的にそろえていくことが、真に社会に大きな良いインパクトを残すための最短経路なのだと思います。

経営も王道であるべきだと思います。つまり表面的な、コンサルはだめ、受託はだめ、共同事業はだめっていうのは、オンラインで完結したインターネットの事業だけの話だと思います。リアルを絡める際は、どうしても時間がかかるのでどうキャッシュポジションを作るのか、どうパートナーシップをくんでいくか、意思決定が複雑化する中でどう共通のアジェンダを持ち推進していくかという力が今まで以上に重要になると考えています。

採用も王道であるべきと思います。上記のような難しい課題を解かないとといけないので、社内では「自分より優秀だと思う、手強いと思う人のみを採用しよう」という話をしています。また「餅は餅屋」でとにかくドメイン知識があるプロを集めようと動いています。

組織も王道であるべきです。「透明性」「フラット」という言葉を表面上取らずなんのための「透明性」なのか、どういう瞬間の何の機能が「フラット」であるべきなのか、ひとつひとつの意思決定になぜなぜを再確認し、決めています。変な平等主義でなく、人材という貴重なリソースが効率よく回転するように組織は設計されるべきと思います。

会社の社会的意義も王道であるべきです。日本の課題は労働生産性の低さやソフトウェア的な社会へのビジネスモデルの変化、給与体系・インセンティブ体系がいおいついていないことです。つまりはテクノロジーと経営の融合ができてないゆえの敗北が続いています。「日本の産業界の生産性をソフトウェアテクノロジーで改善する」という王道の目標を我々は追求していきたいと思います。

LayerXは「今」の王道ではなく、「今後」10年の王道を作ることにかけています。10年単位で一緒に腰を据えて「新しい王道」を作ってくれる仲間を常に募集しています。

次回はもう少し、技術的な話やブロックチェーンの話をするつもりです。お楽しみに。

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