三麻ヘッダー

【データ三麻】はじめに 麻雀史上最大の奇書

三麻では初のデータ本

本書は世界初となるデータに基づいた三人麻雀の戦術書です。

開いてみていただくとわかるようにデータ満載です。麻雀の本としては定価1800円+税とお値段が少し(いや、だいぶ)高めなのですが、データの量を見ると、それもしょうがないかな…と思わされます(ですよね?)。なにしろ合計して103個ものグラフ・表・式が入ってるのですから。いくら読んでも読み切れません。

今後、三麻のレベルは急上昇する

素晴らしいのは、それらのデータがうんちく的なものではなく、すべて勝つための観点から取られてることです。どれも役立ちます。量が多すぎてマスターするのはとうてい不可能なのですが、「これは確かに役立つわ、うんうん」と感じられます。

強者としてコメントを寄せてくださってるアバンテスさんが、「三麻もついにデータを基に戦術を考える時代に入った、感慨深い」と114~115Pで語っています。後世から見たときに、世の三麻のレベルは本書以前と以後ではっきり分かれるでしょう。この本が出ることで、全体のレベルは急速に上がり始めるはずです。みんなが本書を読むわけじゃなくても、読んだ人から自然と波及していきます。それは四麻で15年くらい前に起きたことであり、その波がついに三麻にも到達したのです。

4ルール完全対応

さらに本書がすごいのは、ツモ損あり/なし、抜きドラあり/なしに対応してることです。多様なルールに分かれている三人麻雀で、こんな本は過去ありませんでしたし、今後もないでしょう。その点でも画期的です。

おそらく本書に書かれている戦術は、三麻を打ち込んでいる人なら当たり前と感じる部分が多いと思います。ですが、その「当たり前」がどの程度確かな「当たり前」なのか、定量化され可視化されています。その結果、長い目で見たら本書はあなたの麻雀をかならずや変えるはずです。基盤が明確になると質はかならず向上します。

存在の耐えられないつまらなさ

さて、ここまでは本書の長所でしたが、ここからは短所になります。長所が大きい一方で、短所もだいぶある本なのです。

本書の最大の短所、それはつまらなすぎることです。教科書的な無味乾燥な文章が続いてゆき、読んだ瞬間にすべてを忘れます。本書で三麻の戦術を学ぶのは苦行であり、三麻の技術以前に精神力が鍛えられます。ただつまらないだけでなく、どうでもよすぎる話も大量に書かれてます。誤差をいくらと見積もったらどうちゃらなど、研究的な話がやたらと出てきます。

どうしてこんな本になったのかといいますと、本書は三麻の戦術書のはずなのに、著者のみーにんさんは情報学の論文のつもりで書いてるからです。そんなものを求めてる読者は1000人に1人もいないと言っても、それでもいい!と頑として改めません。その姿勢は文章に表れてます。戦術を語る部分は淡々と事務的な文章が続く一方で、計算の条件やら誤差の見積もりなどの研究的な話になると、文章は急速に熱を帯び始めるのです。

なので読み手の側が自衛する必要があります。研究的な話はできるだけ小さな字にして枠内に囲ってあるので、そういう箇所は決して読まないことです。それは目にした瞬間に寝落ちしてしまう睡眠導入剤的な文章です。本書は素晴らしい内容が書かれている一方で、視線が合った瞬間に見た人を石に変えてしまうメデューサ的毒文も大量に含んでるのです。

後継者探しのツールとして

はっきりいってしまうなら、彼にとって真の対象読者は、いずれ将来現れるかもしれない自分の後継者です。自分が15年くらい前に『科学する麻雀』という本に出合って、麻雀のデータ研究をやるようになったように、この本を読んだ方の中から、いずれ自分の後継者が出てきてくれるんじゃないかという期待から本書を書いてるのです。申し訳ないことに本書を手に取ってくださっている方の99%は彼の眼中にありません。

麻雀のデータ研究者って日本に数人しかいないんですよ。他国にはゼロです。膨大な時間がかかるのに、ほとんどお金にならないから、やろうとするのは世捨て人ばかりです。なので、みーにんさんは後継者探しに必死になり、自分の代でデータ研究の伝統を消滅させるわけにはいかないと焦ってるのです。

東大理系を卒業し、そのあと旧司法試験に合格した秀才が、なんの因果か麻雀のデータ研究にハマった結果が本書です。しかも四麻じゃなく三麻。そりゃ競争相手いないでしょうよ、という分野です。

ロジカルな大阪人強者

三才ブックスの編集担当・梅田さんは、この本を「奇書ですよね」と評しました。そんな不思議な存在である本書ですが、内容が画期的なことは間違いないです。テーマごとに三麻強者アバンテスさんのコメントが入ってます。これが実戦的ですごくいいのです。

彼は大阪人であるにも関わらずすごく合理的で、すべての説明がロジカルです。でありながら、ぼくやみーにんさんとは違って頭でっかちな感じもありません。まずはアバンテスさんのコメントを読んでいくだけでも、三麻とはどういう考え方をしてどういう打ち方をすればいいゲームなのかつかめてきます。

みーにんさんの研究者魂をスルーしつつ、アバンテスさんのコメントを読む。それが本書の正しい使い方です。

福地 誠

最初に書いた文章のうち、以下の2ブロック↓はみーにんさんの激しい抗議により削除しました。
はっきりいってしまうなら、著者みーにんさんはこの本を読者の99%に向けては書いていません。おそらく99%の方は「三麻はどう打てば勝てるの?」という意識で読むと思われますが、みーにんさんにとってこの本は「三麻のデータ研究は自分しかいない、世界一だぞ、どやっ」という存在です。
つまり、彼にとってこの本は、自己の存在証明でありアートなのです。麻雀のデータ研究がアートって不思議な話のようですが、彼の意識の中では彼は戦術書ライターではなく研究者です。もっと厨二病的な言葉を使うなら真理の探究者なのです。
それ以外にも、
視線が合った瞬間に見た人を石に変えてしまうメデューサ的な無駄文章
というフレーズの「無駄文章」の「無駄」を取れと言われたので、「毒文」というさらにきつい表現にしました( ゚д゚)ウム



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