三麻ヘッダー

【データ三麻】5 先制リャンメンテンパイ

リャンメンならほぼリーチ

この章では他家のリーチがない状況、いわゆる先制でテンパイしたときの戦術について考えます。まず先制かつメンゼンでリャンメンテンパイした場合のリーチ判断について見てみます。

結論から言うと、原則として先制リャンメンテンパイはリーチが正解となります。役がない場合はリーチをかけないとロンできませんからリーチをかけるのも納得しやすいですが、役がある場合も基本はリーチです。このことはツモ損があろうがなかろうが、抜きドラがあろうがなかろうが関係ありません。

以下、天鳳ルールにおけるリーチ判断を見てみます。まず、①ピンフのみ、②ピンフドラ1、③ピンフドラ2でテンパイしたときに、リーチとダマのどちらが得か局収支を比較してみます。すべて自分が子で8巡目のテンパイという条件で、(表5-1)の局収支を見てみましょう。

すべてリーチの方が局収支は高くなっており、リーチすべきです。差が大きいほどその選択が有利ということで、ピンフドラ1やピンフドラ2をダマにするのはかなり損です。こういうのは豆ダマと呼ばれ馬鹿にされます。

ピンフのみは局収支が0付近になってますが、マイナスになってしまうダマよりもリーチした方がマシです。

なぜリーチが優位になるのか

ここでリーチが優位になる理由をデータから考えてみます。理由は①ツモ損ルールといえどもリーチの打点上昇の効果は大きい、②リーチをしてもアガリ率はそこまで下がらないになります。リーチとダマのアガリ率と放銃率は(グラフ5-2)の通りで、①②の理由を順に見ていきます。

まず、ツモ損の場合でもリーチの打点上昇の効果はそこそこあります。(表5-3)を見ると、リーチピンフのアガリ素点は3400点であり、ダマを選んだ場合の1000点の3.4倍になります。また、リーチピンフドラ1のアガリ素点は5600点であり、ダマを選んだ場合の2000点の2.8倍となっています。このようにリーチの打点効果がリーチを優位にしている理由の一つです。

次に、リーチをかけてもアガリ率は劇的に低下しません。(表5-4)を見ると8巡目のリーチのアガリ率は61%であり、ダマのアガリ率である76%の8割程度あります。また、12巡目のアガリ率を見てもリーチのアガリ率は47%であり、ダマのアガリ率61%の約8割を維持しています。

リーチをかけると出ない、リーチをかけるとアガりにくくなる、というイメージは実際にはあまり正しくなくて、リーチをかけてもアガリは2割程度しか減らないというのが正しい姿なのです。これもリーチを優位にしている理由の一つです。

リーチすべきじゃないとき

例外的にリーチすべきでない状況もあります。具体的には、ダマで十分打点があり、打点上昇効果があまりない場合はダマ推奨です。以下、具体例を述べます。

まずは、ダマでハネマンある場合、具体的には、

のようなタンピンイーペーコードラ3リャンメンテンパイのような場合です。子の8巡目のリーチの局収支が6100点、ダマの局収支が6900点ですから、ダマにするべきです。

また、ダマで6400点ある場合、例えば、

のような50符2ハン(役牌ドラ2)のリャンメンテンパイでは、リーチの局収支が3000点、ダマの局収支が3500点ですからダマにすべきです。

では、ダマ7700点リャンメンテンパイ、ダマ5200点リャンメンテンパイの場合はどうでしょうか? 前者はリーチとダマの局収支がどちらも4100点、後者はどちらも3000点となっていて、リーチもダマも差がありません。よって、ダマ7700点やダマ5200点の場合は「どちらでもいい」ことを前提として、アガリ率を重視すべき場合はダマに、点数が欲しい場合はリーチに選択して使い分けることになります。ただし、ダマのデータが現実より有利に見積もられている現状を考慮すれば、リーチ寄りです。

ツモ損・抜きドラなしについても言及します。このルールにおける先制リャンメンテンパイの局収支を(表5-5)に示しました。ツモ損・抜きドラなしの場合は天鳳ルールの基準をほぼそのまま使えます

では、MJルールの場合はどうでしょうか。リーチとダマの局収支を(表5-6)に掲載しましたが、MJルールでも先制リャンメンテンパイはリーチすべきです。

ツモ損がないとリーチのアガリ素点は増加しますから、リーチの優位性は高くなります。ピンフのみ、ピンフドラ1、ピンフドラ2でリーチすべきなのは当然ですが、例えば天鳳ルールでは微妙となるダマ5200点、具体的には、

の手牌では、リーチの局収支は4200点、ダマの局収支は3700点となりリーチ優位となります。

また、ダマ7700点の場合、具体的にはこの手牌↓では、

リーチの局収支は5400点、ダマの局収支は4900点となりこれまたリーチ優位となります。

ダマ7700点がリーチ有利になるのは8割近い確率でハネマンになるからです。ダマ5200点、ダマ7700点でも積極的にリーチです。

また、ツモ損なし・抜きドラありにおける先制リャンメンテンパイの局収支を(表5-7)に示しました。ツモ損なし・抜きドラありの場合はMJルールの基準をほぼそのまま使えます

いずれにせよ、先制リャンメンテンパイはリーチが原則です。どのルールであっても、どんどんリーチをかけて点棒を稼ぐのが勝利への道です。

良形5200点はリーチ

ここでリーチとダマの分岐を5200点にしてますが、基本的に僕は天鳳であっても良形5200点はリーチしてますね。マンガンもそこそこリーチします。さすがにハネマンはダマにしますけど。

点数を稼いでオーラスに楽したいっていうのがあって、5200点をアガってもあんまり平均順位が上がったって思わないんですよ。ダマにして5200点を拾っても大差ないんやったら、アガリ率が多少減ったり放銃率が増えたりってリスクがあっても、マンガンハネマンをアガりに行って、平均順位的に得なところを取りに行く方がトータルでは得なんかなと思ってます。その後の局面の打ちやすさというか、やりやすさはリーチしたほうが良いですね。

細かい判断を言うと、自分の抜きドラが2枚以上だとオリられやすいのでダマにするとか、捨牌が弱いと簡単にオリられちゃうのでダマにするとか、ピンズで染めてる人がいるのでソーズ待ちはダマにするとか。場況を見てダマ判断をしてます。一方でツモ損なしのフリールールならハネマンリーチもしていきます。

安い良形は全部リーチ

安い手のときは、1、2、3ハンは全部リーチでいいと思います。ピンフのみやピンフドラ1は全部リーチですね。

例えば、非常に早いテンパイだけど、他家が抜きドラを2枚以上抜いてる状況のとき。このときは、どうせ抜きドラ2枚以上の人は押してくるのでリーチです。中盤になって手が進んでそうな抜きドラ2枚以上の人がいる場合は、ピンフのみはダマにします。

この数字はダマ有利にブレている

みーにん これは調査上の限界があって、データの数字はおそらくダマが有利に見積もられてるんですよ。

やっぱそうなんですね。これだとダマが有利すぎて、間違ってるかなって思ったんですよ。間違ってるというか、統計の取り方の問題かなとも思ったんですけど。

みーにん ダマはその後の手変わりがあって、データを取る妥当な方法が今のところないんですね。全部のデータを放り込めば、手替わりしてリーチしたケースも入ってしまうし、まともなデータに揃えるのはかなり大変で。なので、この偏りがあるデータでもリーチの方が有利であれば、それは自信を持ってリーチでいいだろうと、そういう使い方になります。だから、アバンテスさんはダマ5200点でもリーチしてるって言ってましたけど、局収支が同じくらいならリーチしちゃえとも言えるんですよね。

本にはない福地の感想

ぼくは以前、天鳳三麻を数百戦打ってて、途中で役ありは全部ダマにするという必勝法を見つけてからは勝ちまくり、250戦ほどで六段になりました。
役ありは全部ダマという必勝法は、大阪人の天鳳プレイヤーのおっさんにも教えて、そしたらそのオッサンも勝ちだして「さすが福地先生や」とゆーてたんですが、それがすべて迷信だったとは(;・∀・)
こんな必勝法に気づく俺さすが!と思ってたのですが、まったくの勘違いだったみたいですね。データによる本文だけじゃなく、アバンテスさんも基本はリーチと言ってるんで。
この内容は新鮮というかショックでした。
経験則だけで考えると、オカルト必勝法に行きやすいという好例だったんでしょうか? なんてこったい!(´;ω;`)ウゥゥ


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