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Mリーグ2022-23ファイナルを終えて

黒沢vs勝又の戦い

最終日、優勝争いに関してはアベマズでほぼ決まりだった。2日前、5/16の第1試合でタッキーが親の四暗刻をツモり、これでわからなくなったと思ったら、そのあと第2試合で松本が特大トップを取ってアベマズに決まった感があった。その後も安定感に揺るぎなし。

なので、例年みたいな「どこが優勝するんだ!」という感覚はなかったね。その点では今年は盛り上がりが小さかったかも。最終戦の結果で決まるとしたら、それこそ運ゲーの証明になっちゃうけど、そっちのほうが興行的には盛り上がるんだよな。

ただね、3位争いは残ってた。最終日スタート時点で、3位雷電と4位風林火山は98.6pt差。

それが最終日5/19の第1試合でハギーがラス、松ヶ瀬が2位で、29.5pt差まで縮まった。これは順位1個+9500点だ。最終戦は着順勝負みたいなもんだわ。

その最終戦、黒沢さんと勝又の戦いが面白かった。黒沢さんの選択に感心するのがいくつもあって。

黒沢のハネマン直撃

東2局1本場

黒沢さんの親番。勝又は2600オールをアガったトップ目で、この親はリスクを負ってでも流してしまいたい。

こんな手↓からカン5mをチー。

お出かけスタートした。

残ってるカン3mはドラ表示牌だから苦しい待ち。上家の隆晴が甘い牌を切って親を流すのに協力してくれるんじゃないかという期待もあったんだろう。

いいねー。こういう鳴き。レギュラーシーズンだと間合い遠い戦いが多いけど、ファイナル最終戦にもなると、こういう裸一貫で突撃みたいな状況も起きてくる。

勝又は8巡目にカン4sもチーしてテンパイ↓

その後、7mを持ってきて暗槓↓

この手牌で暗槓するのはリーチをかぶせられるリスクもあるけど、47mは6枚見えの筋。これを黒沢さんにチーされてテンパイを入れられてしまうほうが嫌だ。

さて、一方の黒沢さん、16巡目にテンパイした↓

ダマもありだけど、カンも入ってるからリーチすることに。47pリャンメンじゃなく、2m8pシャンポン待ちを選んだ。

観戦してて、よくシャンポンにしたなーと思ったけど、こうして牌譜を見てみたら、こりゃシャンポンにするわ。単純な残り枚数でもそっちのほうが1枚多いしね。

このリーチに、同巡6mを持ってきた勝又↓が、

しばらく考えた結果、2mを切って振り込み。うん、これは2mを切るわ。

裏が1枚でも乗ったらインパチだったけど乗らず。それでも直対の相手に親マン振り込みという勝又にとっては悲劇となった。

山に1枚も残ってないリーチがアガれたんだよね。

勝又の復活その1

東3局

勝又が10巡目にピンフドラ1でリーチ↓

このリーチに、すでに1000点でテンパイしてた隆晴が押してきて振り込んでくれた。隆晴としては、振り込んででも寿人の親を落としたほうがいいからね。

裏が1枚乗ってマンガン。勝又が復活した。

たがいに振り込み

東4局1本場

クイタン赤ドラの3900点でテンパイしてる勝又は、隆晴の親リーの当たり牌・白をつかんで振り込み↓

勝又は上がったり下がったり激しいよな。

と思ったら、

東4局2本場

下家の寿人のリーチに、黒沢がこの手牌↓から、

中筋の5pを切って振り込み。赤5p単騎のチートイツ。確かに切れる牌は5pしかねーわ。

なんという展開の激しさ。ライブ的にはこういうのが盛り上がる。

前のめりに倒れる

この時点では、黒沢が1万3700点リードしてる。

南1局

親の勝又の手↓ 対面の寿人からリーチを受けてる。

今ツモってきた1pをツモ切りして3900点の振り込みになった。

この振り込みを、日吉は、69pは6枚切れだし、ここはさすがに抑えたほうが良かったかもと言ってたけど、どうなんだろうね。難しいところだ。

1万3700点リードされてる南1局の親番。クズ手とはいえ、オリて親を流してしまうと逆転は苦しい。通ってない筋はあと7本。

とはいえ、よくて形テンの手牌だから、ここは抑えて、残り3局でハネツモを狙うほうがプロらしくはある。冷静に考えたらそっちのほうが得そうだ。

最終回の勝又は軍師じゃなくて突撃隊長だった。いや、突撃隊長というと後続部隊がいそうだから、本陣を守る最後の守備兵か。バランス取れた麻雀で勝とうという感じじゃなくて、ゴリ押し突撃だった。タイトルがかかった最終戦って、そういうもんだよな。

5/18第1試合の伊達ちゃんが「雑に打ってたら勝ってた」と言って、まつかよインタビューで、それ以上は悔しさのあまりしゃべれなくなってた。

一発勝負って結局はゴリ押し勝負だと思うんだよな。理ではそうそう勝てない。

黒沢のダマはファインプレイか?

南2局

親の黒沢が11巡目にテンパイ↓

ピンフドラ1高めタンヤオ。これを黒沢はダマにした。

じつはその前、9巡目から隆晴にピンフ赤2のダマテンが入ってた↓

その後、隆晴は7mを引き、4mを切って7pでアガったら三色の手牌に変化した。これに黒沢が振り込んでしまったら事件になる。

一方で勝又は、捨牌3段目になっても2シャンテンだった。その状態にじれて、ここ↓から上家の1sをチーして形テンに発進。

この時点で黒沢とは8100点差だから、トータルで考えたら1万7100点差。

黒沢はたぶんテンパっててもノーテン宣言して親を流しちゃうから、この手をテンパイにできたら、ハネツモ一発で逆転できる点差まで近づける。そんな理由からの必死の形テン発進だろう。こんな手から1sチーってすごいよな。

結果ようやく形テンを取れたと思ったら、ここ↓から7pを切り、それが上家の隆晴のマンガンに当たり。

これでトータル2万5100点差。これは絶望だ。このままだとオーラスは3倍満ツモ条件になる。

解説のツッチーは、「黒沢はよくダマにしましたねー。黒沢がリーチしてたら、勝又は7pを切らなかったでしょう。ファインプレイですね」とゆーてた。でも牌譜を見てみたら、黒沢の捨牌に7pあるやん。むしろ、黒沢がリーチしてたらもっと早く7pを切ってた可能性あるわ。

また、黒沢の立場でダマにするのが難しいかといったら、でかい舞台で同じ状況になったことないので体感的にはわからないけど、理で考える限りは絶対ダマにすべきだ。黒沢は勝又からリーチが入ったらオリちゃう立場だからさ。ならば先制でもリーチは不要だ。東場なら逃げずにめくりあったほうがいいけど、南2局でリードしてる立場なら戦っちゃいかん。

なので、これまた放送で観たときは、すごいと思ったけど、牌譜で見てみたら当然の選択だった。

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