三麻ヘッダー

【データ三麻】1 データから三麻と四麻の違いを読み解く

一番手の遅い4人目がいない世界

まず、三麻における基本的な数値を見ていくことで、三麻と四麻の違いについて考えてみます。

(表1-1)をご覧ください。この表は天鳳・鳳凰卓の三麻と四麻の牌譜解析結果のうち重要な数値をピックアップしたものです。このデータは「ツモ損・抜きドラあり」ルールのものですが、他のルールであっても三麻なら近いものになると思われます。打点系以外の数値はとくに。

具体的な数値を見ていきましょう。まず流局率を見ると四麻は16%、三麻は15%であり、それほど差がありません。つまり、対局者が減っても流局の割合は増えず、4人で分けあっていたアガリをそのまま3人で分けあっていることを意味します。また、1局あたりの場に出るリーチ棒の期待値が四麻は0.67本、三麻は0.73本となっており、三麻の方が多くなっています。

これらのことから、三麻は手の遅い人が少なく、オリる人も少なく、みんなで殴り合う世界だとわかります。すなわち、三麻は四麻の一番手の遅い4人目がいない世界と例えることができます。三麻は煮詰まった麻雀です。

被追リーチ割合の驚異的な高さ

続いて(表1-2)の被追リーチ割合(リーチをかけた後に追いかけリーチをこうむる割合)を見てみると、四麻が16%、三麻が19%となっており、三麻の方が高くなっています。なかでも先制リーチ(1局で最初になされたリーチ)の被追リーチ割合は四麻が19%、三麻が22%となっています。つまり、三麻の方がリーチに対してリーチで反撃される割合が多いのです。追いかけリーチをかける側は3人から2人に減っているのに、数値が増えているのは驚きです。

そしてフーロ率は四麻では35%、三麻では25%となっています。また、アガリ時フーロ割合は四麻が48%、三麻が34%となっていて、フーロの割合が減っています。三麻はチーができない影響もあってメンゼン志向となっていることがわかります。メンゼンで殴り合うのが三麻の世界です。アガリの半分以上はマンガンより高い

つぎにアガリ素点(アガリ時の収入から積み棒と供託リーチ棒を除いた基本点)を見てみると、四麻は5600点、三麻は8000点と、三麻の方が高くなっています。とくにロンアガリ素点を見ると、四麻が4900点、三麻は8400点となっており、三麻のロンアガリ素点は四麻の1.7倍になっています。さらに、アガリ時のマンガン割合を見てみると四麻が約24%なのに対して、三麻は約56%となっています。三麻のアガリ素点を高くしているのは抜きドラです。抜きドラありならアガると半分以上はマンガンより高いという恐ろしい世界です。

さらに、アガリ時タンヤオ割合を見てみると、四麻が23%、三麻が7%となっています。また、アガリ時染め手割合は四麻が5%、三麻が10%となっています。マンズの2 ~ 8が抜けることによって、タンヤオが作りにくくなる一方で、染め手が作りやすくなっていることがわかります。三麻ではクイタンなしのルールが採用されていることもありますが、もともとタンヤオが少ないことを考えると、クイタンなしであっても本書の結論への影響はそれほど大きくなさそうです。

打点が影響しない部分は四麻と大差ない?

最後に、リーチのデータに目を向けてみましょう。再度(表1-2)を見てください。

まずアガリ率は、四麻は48%、三麻が53%となっています。三麻の方が多少アガリやすいと言えますが、5%の差に過ぎません。さらに放銃率を見てみると、四麻は約14%なのに対して三麻は約16%です。三麻の方が多少放銃しやすいと言えますが、これまた大差ありません。抜きドラの影響で点数関係の数値は違いますが、アガリ率などの数値は変わりません。リーチに関する戦術論は四麻と大きな差はなさそうです。

三麻と四麻は結構近いゲーム

三麻と四麻は基本的なところは一緒やと思うんです。三麻は戦術書がないし上手い人が周りにおらんかったんで基本的には独学やったんですが、牌効率なんかは四麻の本を読んで三麻に使ってましたね。四麻の知識は大切で、四麻の打ち方を否定して三麻に入る必要ないのかなって思います。

三麻が四麻と違うところは、押し引きの境界とか、手組みの方向性とか、鳴きを減らしたりとか、山読みが結構効いたりとか、そういう細かいところ。四麻の人はそういうところで三麻に対応できてなくて、うまいこといかへんなって思っちゃうのが多いんちゃうかなあと思います。押し引きが違ったら確かにそれは違うゲームなんで。

あと打点への意識も違うと思ってます。昔から三麻ばっかりやってる大阪のおっちゃんは、なんかもうひたすら鳴かずにゴリゴリ高い手を作ってリーチするみたいな感じなんですけど、結構それが強い打ち方だったりもします。ルールにもよりますし、基本的にはスピード重視で良いんですが、そういう人らの打点に見合うよう、無理をしない範囲で打点を意識して作るのも大切になってきます。

自分のウェイトが大きくなる世界

「三麻は四麻の一番手の遅い4人目がいない世界」って表現は面白いですね。三麻において大事なのは、自分のアガリと放銃の価値が大きいということ。四麻より傍観者でいられる時間が短くて、自分のウェイトが大きくなる世界っていうか。なので、全局、積極的に自分が参加していく必要があります。フリー雀荘のツモ損なしルールなら、配牌オリはもちろん、ベタオリもほとんどしない方がいいですね。オリてると置いてかれちゃうので、少し極端ですが半日麻雀して両手で数えるくらいしか中抜きベタオリしないなんてこともあります。とにかくテンパイできるよう形を残すイメージです。

天鳳三麻であっても、5万点もあれば足で打ってても勝てるやろってテキトーにやってると逆転されます。三麻は3人しかいないので、自分がその局諦めたら、あと2人しかいない。2分の1やったら、親が3回連続でアガることもあるって思いますよね。だから自分がダントツでもしっかりアガりにいくし、アガれなくても他の人をアシストするとかして参加していくのが大事ですね。

三麻の方が追いかけリーチ割合が高くなっているのは、そもそも三麻と四麻ではリーチの割合が違ってるからなのと、先制リーチに対して鳴いてかわすことがあまりできないからなのかなって思いました。天鳳三麻の場合は、先制テンパイ取られたら基本オリて自分テンパイやったら押し返すっていう戦い方は四麻とあんまり変わらないですね。

鳴きすぎは負ける

三麻がメンゼン志向は間違いないです。チーできないっていうのもあると思うんですけど、四麻みたいにクソ鳴きして得な局面って少ないんですよね。四麻から三麻に入ってきて一番やってしまうのは、鳴きすぎと流局間際の押しすぎかなと思ってます。三麻の場合は鳴いてもそんなにスピード上がらんので、四麻の急所を鳴くくらいのイメージでいいかなと。もう少し噛み砕いて言うと、3フーロしないといけない鳴きはそもそも鳴かないというイメージが良いと思います。

打点はこのデータくらいの感覚を持ってました。だいたいマンガン率6割、アガリ率3割弱のイメージです。例えば、オーラスにマンガン差なら、だいたい2割から3割くらいはまくられます。

本にはない福地の感想

最初は、三麻をそのまま四麻と比較するという方法に衝撃を受けました。だって、まるで違うゲームじゃないですか。あまりにも。でも、今になってみると適切なアプローチだったなーと。
出てきた結果は、かなり、そりゃそーだわって感じですね。タンヤオが少なくて染め手が多いのも当たり前すぎる話ですし。
でも、四麻の傍観者となる最後の一人がいない世界ってのは面白いですね。三麻にベタオリ=傍観者はないと。

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