「ありがとう」の使い方
こんにちは。
話し方研究所の代表、福田賢司です。
読売新聞が運営している女性向け情報サイト『発言小町』をご存知でしょうか。
仕事・恋愛・子育てをはじめ、投稿者の悩みや疑問に読者が回答やアドバイスを寄せる情報サイトです。
『発言小町』には、投稿内容に沿った、その道のプロがコメントする枠があり、私もお声がけいただきコメントを書かせていただくことがあります。
例えばこのような形です。
「謙虚な性格 仕事頼まれ困惑」
こうしたご縁もあり『発言小町』を読んでいたところ、とても興味深い相談を見つけました。
それが、今日お話ししたい「ありがとうの使い方」です。
「ありがとう」の価値
今回、私が興味深く読ませていただいた記事がこちらです。
「ありがとうの多用 よくない?」
投稿者は大好きだった祖母を亡くした際「もっと感謝を伝えればよかった」と後悔した経験から、何かをしてもらった時には積極的に「ありがとう」と伝えるようになったそうです。
ですが、友人から、
「いつもありがとうって言うけど、安売りになっていて、うれしくない」
と言われたとのこと。
投稿者の心がけはとても素敵なもので、言われる方も幸せになれる行動だと思いましたが、ありがとうを伝えることが逆効果を生んでしまっているそうなのです。
この投稿に対し、
「私もたくさん言いますが、安売りなんて言われたことは全くありません。言われて気分が悪くなる人なんて、ほんの少しでしょう」
「私はそうは思いません。何かをしてもらって無言でいるより、ずっといいと思います」
「お友達の言うこともわかります。誰彼かまわず「ありがとう」をあいさつ代わりに使うと、言葉が軽くなる気がします」
「そう受け取った人がいたということは、そういう場面があったということでしょう」
をはじめ、様々な賛否両論の意見が飛び交っていました。
「ありがとう」という言葉に対し賛否両論が出るのが面白いなと思いつつ、コミュニケーションを生業としている立場から、この投稿について考えてみました。
「ありがとう」の言い過ぎが問題ではない
投稿に対し「ありがとうの使い方」に関する様々な賛否両論が飛び交っていましたが、私は、問題は別にあるのではと思います。
「ありがとう」は、感謝を示す言葉で、関係性を良くする力を持っています。
投稿者は「ありがとう」を使い過ぎと指摘されたとはいえ、都度、感謝の意味を込めて発していたはずです。
だとしたら、問題は「ありがとう」という言葉を使い過ぎたことではなく、友人との「関係性」が悪化するような出来事にあったのではないでしょうか。
友人は投稿者に対して何かしらの不満を抱いており、それが「ありがとう」への文句として表れたのかもしれません。
友人との関係性が良好であれば、何度「ありがとう」と言われても、特段嫌な気持ちになるとは考えにくいです。
面と向かって指摘されるレベルなのは、友人が「ありがとう」を素直に受け取れないような関係性に問題があるように思えます。
もし、私がこの投稿に回答させていただくなら、お二人の関係性を振り返ることをお薦めするなと考えました。
「ありがとう」から生まれる関係性
仮に、「ありがとう」の使い過ぎが安売りになるのだとしたら、私たちは「ありがとう」をどう使えばよいのでしょうか。
私は「ありがとう」を使うにあたり、
・相手が「ありがとう」を期待している
・「ありがとう」を伝えられたら素直に嬉しい
いずれかのタイミングで伝えると、「ありがとう」が効果的に相手へ伝わります。
そして、タイミングの良い「ありがとう」は関係性を良くするものだと思います。
例えば、コピー印刷を頼んだ際、本来は頼んだ側から「ありがとう」というべき場面で、
「コピーを印刷していたら、やらなければいけない書類整理を思い出しました。ありがとうございます!」
のように、あえて頼まれた側から「ありがとう」と伝えてみると、頼んだ側は「思わず嬉しくなる」かもしれません。
また、「ありがとう」と言う場面でつい使ってしまいがちな「すみません」「大丈夫です」を「ありがとう」にかえるだけで、あなたの好感度は上がるでしょう。
感謝の気持ちがあることを前提に、戦略的な「ありがとう」があっても良いのではないか。
私は、コミュニケーションの専門家としての立場から、「ありがとうの使い方」についてこのように思っています。
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