あえて“聞かないフリ”ができる人
“聞かないフリ”は大人の配慮?!
こんにちは。
話し方研究所の代表、福田賢司です。
子供は、聞いてないフリをして、よく話を聞いているものです。
大人同士で話をしていると、連れていた子供はウロチョロして、話などまったく興味がないように見えますが、帰り際に、
「ねぇ、お母さん、さっきの人さ、調子が悪くてとか言ってたじゃん、でもすごい元気そうだったよね」
などと急に言い出して母親を驚かせることがあります。
一方で、大人は、聞いているフリをして聞いていない、ということがあるので困りものです。
しかし、あえて聞いてない、聞かないフリをする、というのは、大人としての配慮と言えるのではないでしょうか。
随分昔のことですが、交流会に一緒に出かけていった先輩が、初めて会う男女が複数いるテーブルで、酒の勢いもあり、私の新人時代の失敗談を話し始めたことがありました。私は恥ずかしさと気まずさで下を向いていました。
「こいつね、法務局で間違った書類とってさ、取り直しに行けって言ったら、着いたときに5時過ぎてて、受け付けてもらえなかったから、会社に戻りにくくなったみたいで、1時間会社の前で俺が出てくんの待ってたことがあったんだよ!」
事実ですから、仕方がありません。私も苦笑いしながら、
「そんなこともありましたね。いや、あの時はお世話になりました」
と次の話題へと移りたかったのですが、さらに
「何がお世話になりましただよ、あの時会社の外で待ってるお前を見て、かわいそうになって飲みに行ったじゃん、あの時さ・・」
とまだ嫌な話は続きそうだと、うんざりしたときに、目の前の女性が、
「へぇー、おもしろい」
と言いながら、つまらなそうな冷めた表情をしたのです。あわてた先輩は、
「昔の失敗談より、何か、別の話、しましょうかね」
そう言って話題を変えたのです。
私は彼女のほうを見ながら、本当につまらなかったのか、私をかわいそうと思って「聞きたくないフリ」をしてくれたのか、その時はわかりませんでしたが、今思うと、きっと、フリをしてくれたのだと思います。今でもその時に目があった彼女の表情が記憶に残っています。
「聞かないフリをする」って、案外大事なことかもしれませんね。
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