亡くなった人について語る時、私の語ること。
幸福について言えるのは失って初めて幸福だったと気づくことだ。言い換えれば自分たちが幸福だと思うことはあるかもしれない。だけど本気で信じていないんだ。
些細な戯言、次の仕事、なんでもいいから集中するんだ。
幸福がどんな感じか本当に理解するのは、振り返ってみて、そのあとに待ち受けているものと比較する時だけだ。
高架下。痛んだしおり。折れた傘。ぬるくなった缶ビール。クラゲ。水溜り。寂れたビル。リストカットされた手。鶯谷。フィッツジェラルド。
もしすべては存在しないのだとしたら、