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旅と教育が好きな大学生

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旅と教育が好きな大学生

マガジン

  • 21の私、22の私

  • 「Word」で切り取る日常(4月~)

  • 「1文字」で切り取る日常

    2020年1月から3月までの三ヶ月。一週間一文字づつ決めて、漢字一文字を意識した生活をして、何を感じたかを書く。 [ルール] ・一週間、漢字1文字を意識する。 ・ランダムに選んだ人に翌週の一文字を決めてもらう。

  • 船旅

    2019年10月から、横浜・ベトナム(ホーチミン)・シンガポール・ミャンマー(ヤンゴン)・マレーシア(クアラルンプール)を船で巡りました。紀行文を自分のために綴りました。

最近の記事

「二度と会えないことがある。」

 祖父の額のひんやりとした冷たさが、17年経た今でも鮮明に思い出される。学者だった祖父が、史資料を広げながら原稿を書く姿に幼心ながら憧れていた。おじいちゃん子だったことや初めて直面する死を前に、「死」とは何か、5歳ながら畏れていた。落ち込んで寝込む母の姿を初めて見たからかもしれない。幼稚園児の私は、寝るが怖くなった。寝静まった部屋の片隅で、一人だけ取り残されるような「怖さ」に苛まれていた。  その後、16年ほどそこまで切実に死を考えなくなっていた。東日本大震災の被災地に通う

    • 人間ジャンクション

       「表象としてのロータリーは好きなんだよね」どこか懐かしむように大学院生は話していた。彼女にとって、ロータリーは通りすぎる場所。特に思い入れはないという。シンボルとして、表象としてのロータリーは好きだと言う。それは、仕事や生活に縛られず、ある種のモラトリアム的な空間だ。  私にとっての「ロータリー」は、講堂前の階段だった。1年生の6限終わりに、ファミマで買った缶ビールを片手に講堂前の階段で、先輩と飲む時間が好きだった。20歳になり立ての「僕」は、お酒を飲むというだけで、「大

      • 社会学と私

        「なぜ社会学を選んだんですか?」17歳の澄んだ瞳を前に、思わずたじろいだ。好奇心が赴くまま動いていたら、社会学を学んでいた。ってことが、率直な答えだが、答えになっていない。  店内に流れるサックスのBGM、深煎り珈琲の香り、落ち着いた店内に対して、あまりにも味気ない。あの時、どう答えればよかったか。洒落たカフェに似合う「ことば」を紡げる「大人」でありたかった。  大学生活を通じて、学問以上に打ち込んだことは旅である。旅の醍醐味は、別の前提がある空間に身を置くこと。自分がいる

        • 22の私

           22の私  いや、ちょっと嘘をついた。2時間前に23になっている。遅くなってしまったが、「21の私」を読んで、ふいに書き始めた。  1年前の私は、再開発後の二子玉川にどこか寂しさを抱えながら、幼き日の痕跡を探していた。1月に引っ越し、新しい町に来た。去年8月にはじめて訪ね、住む日が来るなどと想像もしなかった町だ。落ち着くカフェが3つ、古本屋が2つある。それだけのことで、町に居場所を感じられる。  前の街みたいなきらびやかさも知名度もないけど、22の私には「ちょうどいい」町だ

        「二度と会えないことがある。」

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        • 21の私、22の私
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          3本
        • 船旅
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        記事

          ワクワクを離れて

          1年前ならワクワクしたんだろうな。どこか懐かしむような少し老いた気持ちになることが多い。ワクワクより、満たされることを求めているのかもしれない。 ビジネスコンテスト、NPO法人での学生支部立ち上げ、チュニジア大使館との共同プロジェクト立ち上げのお誘い、どれもが「成長」できるお話だ。 半年前の自分なら間違えなくワクワクしていた。憧れやワクワクがあれば、迷いなく進めた。 「to do」へのワクワクから「to be」での心地良さへと変わった。そんな風に言えば聞こえがいいかもしれない

          ワクワクを離れて

          21の私

          21歳最後の日、カメラを持って最寄り駅を歩いた。 再開発の繰り返された街、幼稚園は跡形もなく商用施設になり、いつもおしゃべりをしてた八百屋さんはお洒落な有機野菜のお店に知らぬ間に代わった。 駅の近くには、小さかった私が確かにいた、それだけのことを伝えてくれるものすらない。 ただ、多摩川が運んでくる清々しい風だけが、今も変わらない。 不意に、「今ここ」の私を、静止画に押し込めたくなった。 赤かとした夕焼けと、それに照らせる多摩川、夜空の向こうへと羽ばたくアオサギ、 いい写

          21の私

          珈琲

          コーヒーではなく、珈琲が好きだ。 カタカナや漢字か、そんな差じゃない。 僕の中では、全く別物だ。 注いでくれた人の表情や想い、空間へのこだわり、一緒にいる人、それまでの物語、、、 そういったものが折り重なって、 その時しか飲めないアート、それが珈琲だ。 コーヒーってより、珈琲と書かせる店、そんな店に巡り合うと嬉しくなる。 国分寺で水彩画を書きながら親友と飲んだ珈琲、東ティモールの民家で満面の笑みとともに渡された珈琲、石畳を歩き疲れて癒し求めて飲んだウィーンの珈琲、全てが思い

          "word"で切り取る日常【第1回】

          [プロローグ] https://note.com/fukuhappu/n/ncec92b4b2012  ストリート(street)って、不思議と温もりのあることばだ。このサイズ感が、やさしく。そして、美しいと思う。  「道」とかそういうことを表すだけなら、なにもストリートである必要はない。ロード(road)、アヴニュー(avenue)、パッセージ(passage)、パス(path)…数多くある。でも、それぞれの単語には、それぞれのイメージがある。  ロードだったら、無機質

          "word"で切り取る日常【第1回】

          "word"で切り取る日常

          井の頭公園の桜が咲き誇る頃、親友と町歩きをした。予測変換の最初に出てくる「街歩き」ではなく、「町歩き」と書きたくなるサイズ感。18切符旅のような「非日常」じゃなくて、日常から片足踏み出したような町歩きにも面白みがある。一人では気づかなかった空間との巡り合わせ。親友と歩くから感じる場所の魅力。そこを流れる緩やかな時間が好きだ。 こじんまりした昔ながらの中華屋さんからの帰り道、ブログの話になった。高円寺のアーケードの片隅に「ストリート」とのカタカナがぽつんとあった。このストリー

          "word"で切り取る日常

          1文字が切り取る世界 ~「幸」~【1月編②】

          [ルール] ・一週間、漢字1文字を意識する。 ・ランダムに選んだ人に翌週の一文字を決めてもらう。 ・他人に見せることを意識せず、自分に向けて書く ・届く人に届けばいいなというスタンス 【第二週:2020年1月12日~】 「幸」by Arisa 「幸せ」って何だろう。今週は中学3年の友人に貰った一文字だ。 15の僕なら、曇りなくこう答えた。「やりたいこと」に向けてワクワクしながら全力で取り込むこと。 いつからだろうか。僕の「幸せ」感が変わった。 今でも、「やりたいこと

          1文字が切り取る世界 ~「幸」~【1月編②】

          1文字が切り取る世界 ~「丸」~【1月編①】

          [ルール] ・一週間、漢字1文字を意識する。 ・ランダムに選んだ人に翌週の一文字を決めてもらう。 ・他人に見せることを意識せず、自分に向けて書く ・届く人に届けばいいなというスタンス 【第一週:2020年1月5日~】 「丸」by mika 世界は丸で満ち溢れている。初日の感想だ。 時計盤、ニッポン「丸」、二ノ丸、、、、、。 名古屋経由で松本に行った東海道・中山道周回、4回目のガンプハウス、、、。 私にとって「丸」は何か? あえて、マンホールについて語りたい。 旅好き

          1文字が切り取る世界 ~「丸」~【1月編①】

          Cゾーンを広げる旅

          Cゾーン、Comfortゾーン。 それは、その人が快適に過ごせ、安心できる空間。 自らCゾーンを飛び出し、新たなCゾーンを築けた。  「普段いる環境」を飛び出したい。その環境で新たな仲間と過ごしたい。これが東南アジア青年の船に応募するに至った一番の動機だ。小中高と同じ附属学校で育ち、似たような大学に進んだ。常にCゾーンにいた。300人中40人しか日本人がいない青年の船は、自分にとって、Cゾーンを超えるチャンスだと思い、参加を希望した。  PPY20人程とラーメン屋に行った成田

          Cゾーンを広げる旅

          2020、何して生きよう

           2020が始まり気付けば一ヶ月。ふと抱負とやらを書きたくなった。  2019、ひたすらに旅をする一年だった。福島、松本旅、東北旅、タイ、チェコ、オーストリア、ベトナム、シンガポール、マレーシア...。暇さえあれば旅をしていた。旅が生き甲斐になってきた。 旅って言っても、遠くに行くことだけじゃない。山ゼミっぽく定義すると、こうなる。 五感を解き放ち、「日常」から外れた関係性を楽しむこと  高校時代3年間通った三軒茶屋を大学の友達を交えて、サイコロを使って街歩きすることも

          2020、何して生きよう

          1文字が切り取る世界

          ~プロローグ~ [はじめに] 船旅を終えて3週間、東京で生きることが退屈にありつつあった。 日常生活を何か「再発見」したい。そんな思いが湧いてきた。 東北へ18切符旅をしている友人に、そんなことを打ち明けた。 友人は、一週間一色決めて、その色を意識して、毎日を「再発見」しているという。 これだ。2020年1月から3月までの三ヶ月。一週間一文字づつ決めて、生活することにした。 [ルール] ・一週間、漢字1文字を意識する。 ・ランダムに選んだ人に翌週の一文字を決めてもらう。

          1文字が切り取る世界

          出港の朝(船旅Ⅰ)

          眼を覚ました時、これはもうぐずぐずしてはいられない、と思ってしまったのだ。(沢木耕太郎『深夜特急』より) 出港の朝、朝焼けとともに、目を覚ました。目の前には、二段ベットの階段、そう、にっぽん丸のキャビンにいるのだ。 ほんの物事ついた頃から幾度と訪ね、第2の故郷と呼びたい横浜。いつも見送っていた憧れの外国船航路。乗れるなんて、夢のようだ。 出港のテーピングカットまで4時間。今もなお、現実味がない。 たが間違えなくこれから、大海原を渡り、ベトナム・シンガポール・ミャンマー・マ

          出港の朝(船旅Ⅰ)

          なぜ、僕は旅をしたくなるか

          「福ちゃんにとって、旅の目的って何?」 「最近、このことをよく考えるんだよね」 手を伸ばせば届きそうな雲。 翼を広げる鷲のような形が神々しかった。 茜色に染まる空と海の交差点。 夕焼けに照らされる海を眺めながら、3人で語り合った。 考えながら友人は問いかけた。 旅程のゆっくりと1人で考える時間が好き。 新しい世界・そこで知り合った人との会話、 それが旅の醍醐味だ。 でも、旅をすればするほど、「新しさ」が薄れる。そうやって、慣れていく自分が怖い。楽しいものを無くしてしま

          なぜ、僕は旅をしたくなるか