ベガルタ仙台 vs 横浜F・マリノス~J1 2019年 第2節~

1.スターティングイレブン

<ベガルタ仙台>
GK シュミット・ダニエル
DF 平岡、大岩、永戸
MF 蜂須賀、シマオ・マテ、富田、関口
FW 兵藤、長沢、石原

仙台は開幕戦スタメンだったハモン・ロペスが左脚の違和感でメンバー外に。代わりの吉尾は契約上、マリノス戦は出場できないので元モザンビーク代表のシマオ・マテを起用しました。

予想されることはメンバー表通りの3-4-2-1。もしくはシマオ・マテをアンカーに置いた3-1-4-2。大穴狙いでは兵藤をトップ下に置いた3-4-1-2等がありましたが実際は3-1-4-2でしたね。

<横浜F・マリノス>
GK 飯倉
DF 高野、畠中、チアゴ・マルチンス、広瀬
MF 天野、喜田、三好
FW マルコス・ジュニオール、エジガル・ジュニア、仲川

マリノスは開幕戦と同じスターティングイレブンでシステムは4-1-2-3。ある程度やってくることは同じであると予想できます。

特徴としてはかなり機動力のあるメンバー選考になっていること。ボールロスト後の即時奪還やポジションチェンジを考えてでしょう。
起用されたポジションとしてのタスクではなく、色々なエリアでタスクをこなせる選手が起用されていることも特徴だと思います。

2.噛み合わせの確認

仙台がボール非保持の際に生まれる噛み合わせのズレ
①2FWの脇のスペースに対応する選手がいない
②DHに対応する選手がいない
③HVとWGとの距離がある

仙台がボール保持時の噛み合わせのズレ
①DHに対応する選手がいない
②WBがSB-WG間で浮く

両チームのスターティングイレブンからはこういった噛み合わせのズレが予想できます。

僕の印象としては仙台の方が噛み合わせ的にはあまり優位ではないように感じます。
最終ラインの同数を許容するチームは欧州で最近見かけますが、それでもユヴェントスやレアル・マドリー、ワールドカップのベルギーといった理不尽なまでの対人能力を持った選手を抱えているチームくらいで、他のチームはあまり見かけません。
仙台の選手が対人に優れているかどうかは別としても、理不尽なまでではないので厳しいのかなと思います。

なのでどうしても撤退してからの守備になってしまうと予想されます。

3.ベガルタの守備規準設定の甘さ

マリノスのキックオフで試合は開始。
マリノスがボールを保持する展開ではじまりました。

ベガルタは5-3-2のブロックを敷いて対応。この試合は前からは行かないという意思表示を感じます。
ボール奪ってすぐ前線へボールを蹴った事から、ゲームプランとしては可能な限り失点は0で抑えて、あわよくばカウンタ―から点を取りたいといったところでしょうか。
アウェイでの戦い方としてはよくあることですし、昨シーズンの対戦を考えての選択だと思います。

仙台の守備の規準
①2トップ脇の選手にボールが出たらIHが前進
②残った2枚の中盤は横スライド
③WB、HVは人に強くついていく守備をする

試合をみていくと、仙台の守備にはこれくらいしか明確な決まりごとはなかったように感じました。

2トップに関していえば、縦関係なのかなとも思いましたが試合が進んでいくと石原はDHの喜田とデートとまではいえないことが分かります。
石原は中盤底のあたりに立ち位置をとっているだけで、喜田がCB-CB間やCB-SB間に降りてもついてはいかないからです。

2トップはバックパスを切るわけでも、DHについていくわけでもないので、初めから守備は2枚存在していないような状態で、個人的にはもったいないなという印象です。
少なくともDHについていれば、サイドチェンジにワンクッションかかることでスライドする余裕が生まれたのではないでしょうか。
開幕戦もそうでしたが、FWに守備のタスクを設定するのがもしかすると苦手なのかもしれませんね。

この規準で守ると何が起きるかというと上の図のようになります。

①2トップ脇で受けた選手は大外へのパスコースがある
②2トップ脇で受けた選手はアンカー経由で逆サイドへパスができる

仙台は本来ならボールサイドの大外に誘導してボールを奪う。
その後、前進守備をしたIHを含めた前3枚でカウンターを仕掛けるのが1つの狙いだったのではないでしょうか。しかしアンカーが浮いているため、大外へは誘導することができず中へ通されてしまいます。

アンカーにボールが入ると、IHがアンカーへプレッシャーをかけるべきか、スペースを埋めるべきかという選択を強いられます。
この状態でボールを持たれるのは予定にはない不測の事態なので判断が遅れ、結果クリーンな状態でサイドチェンジを許すことになります。

サイドチェンジされる(=3センター脇を使われる)と
①HVが前進して対応するのですが、仙台の最終ラインは各選手が1レーンずつ埋める役割になっているので、チェーンのように連動しません。
そうすると②ガラ空きのローポストへ侵入を許すことが多かったです。

ボール奪い先は考えていても、じゃあそこにはどうやって誘導していくのか。そういった守備設定の甘さがまだあるように感じられます。

またゴールを奪われない為の守備に関しても、まだまだ良くできる部分がたくさんあるように感じますね。

仙台は現状この感覚が逆になっています。

①ハーフスペースやチャンネルを相手がいなくても埋めておく。
②埋めていた選手が釣りだされると、そこを代わりに埋めるスライド、再圧縮ができない。

僕のように本だったり、インターネットで調べてみていると言葉が先行してこういう解釈になりがちだと思いますが、現役のトッププロ、仙台の場合は5レーンを意識したボール保持で戦ってきた結果生まれてしまった解釈なのだろうと思っています。
圧縮すべきなのか、スライドすべきなのか。
そういった規準はまだまだ高められるでしょうから、楽しみです。

4.マリノスの目的地はローポスト、道は切り拓く

前半から圧倒的にボールを動かし続ける横浜F・マリノス。
彼らの目的地はペナルティエリア内のゴール脇、”ローポスト”。道を切り拓いていきます。

マリノスのボール保持の特徴は各選手があらゆるエリアでタスクをこなせることでしょう。

例えばIHの三好や天野はIHらしくライン間でボールを引き出したり、ローポストに侵入することもできますが、後方に降りてSBのようにゲームを作る事も可能ですし、WGのように大外で勝負する事もできます。

これらの動きをIHだけではなく、SB、WG、CFの選手がみんなできることによって、役割が被って遊ぶ。もしくはボールがくる可能性もない場所でボケーっとしている選手というのが生まれません。ローテーションができるのです。

仙台の守備はというと、5レーンをベースに守備をしています。
最終ラインのDFは1レーンに1人ずつ配置されていて、ボールがくる可能性がなくても各レーンを守り続けます。
この守り方だと相手に過負荷(1人に対して2人)をかけられた際にサポートがなく必ず数的不利が発生しています。
DFはローテーションにより降りる選手についていくべきか、新しく入ってくる背中をとる選手についていくべきか。この規準が定まらず破壊されていました。

三好のいう「場所を守っているだけでは自分たちは止められない」という言葉がすべてでしょう。
相手(個人・全体)を見て、あの選手は何がしたいのか。さっきはパスを出してきたけどパスコースを消すとどうするのか。ドリブルはできるのか、中に入るのか、縦にいくのか。どこのスペースを狙ってプレーするのか。そういった相手選手が持つ可能性をみていかないと止めれない時代になりつつあるのだと思います。

5.攻撃の課題を感じた後半の戦い

後半は前半と比べるとマリノスのピッチで戦う時間が少しだけ増えました。これは仙台がなにかを変えたからではなく、スコアや経過時間に起因するものだと思います。

マリノスは前半と変わらず崩しているような感覚でしょうが、手間をかけなくなっていました。
それが疲労からなのか(とはいっても後半早い段階からそうだったので、疲労ではないと思いますが)、前半簡単に崩せていたイメージからシンプルにローポスト侵入やクロスを狙ったからかは分かりませんが、仙台の選手を完全に押し込んで自分たちが高い位置をとる時間が少なくなっていました。
するとリバウンドに反応できる仙台の選手が残っていたり、自分たちが高い位置をとりきれていないのでボールロストした際に即時奪還をかけるのが遅くなり、仙台のプレーに制限をかけれなくなりボールを少しだけ持てるようになりました。

ただ仙台はボールを奪ってもロングフィードしかできませんでした。
これはプレーの最優先事項だから!といってしまえば簡単だし安心できるのですが、例えば少し時間がかかってマリノスが帰陣していても状態が悪くなるとすぐロングフィードを蹴っていましたね。
帰陣する前ですら競り勝てていなかった相手に工夫もせずに蹴り込んでいたので、プレッシャーをかけられると単純にボールを後方から繋げられない可能性があるなと見ていて感じました。
開幕戦では引き込んでフィード!高さも新たな武器に!と喜んだのですが、それしかないは話が違うのでこれは次節以降ですね。

60分頃に空中戦では分が悪いということでジャーメイン良を投入した仙台は、サイドに流れさせボールを引き出すことにある程度成功するのですが、ここから先も結構怪しい。
全員がクロス待ちのような状態になり、アクションをいれる選手がほとんどいません。
1度、梁が侵入した場面がありましたがそれは"梁が得意なプレー"であって"決してチームがやろうとしているプレー"ではないので、崩しの局面もまだまだこれからなのかなと思います。

6.不意に始まる4-3-3

後半80分、あとがなくなった仙台はFW阿部を投入します。交代するのはWBの関口です。・・・え!!関口!?
不意に4-3-3が始まりました。そんな情報全く聞いていない!と思っていたら、やっぱりほとんどやり慣れていないシステムらしいです。

不意に始まる守備規準
①CFがDHとデート。
②STは縦パス(ハーフスペースなのかIHなのかは不明)を消してSBへパスを誘導。
③バックパスを切りながら(たまたまかもしれないけど)プレス。

①CFがDHとデート。4-3-3の時は間違いないと思います。石原の高さが明らかに他の二人と違いがあったので。

②STが縦パスを消してSBにパスを誘導。これはハーフスペースを塞いでいたのか、IHを塞いでいたのか分かりませんが、とりあえずその辺りに立ってれば結果的には誘導になります。

③バックパスを切りながらプレス。これはちょっとこじつけかもしれないです。リターン何回かされていたので・・・。とはいえバックパスを消せればミドルサードから移動できないので嵌ります。

個人的にこの試合1番期待できました。ここだけで妄想がいくらでもできますよ!
今節の状況では4-3-3で守備時にアンカーが一枚余っていますが、普段なら3-4-3でセットするでしょうから余りません。
突貫工事すぎて2CBが二人ともいない凄まじい状況もありましたが、慣れている3バックならそうはならないと思います。

今までアンカーを採用しているチーム相手に噛み合わせが悉く合いませんでしたが、石原がもしこのタスクを1試合通じてできるなら次節のヴィッセル神戸戦以降の希望の光となります。

7.終わりに

これで開幕から2節勝ちなし。
昨季からの積み上げというところはあまり見えてきておらず苦しいシーズンスタートですが、メンバーが入れ替わり、フィジカルトレーニング中心のキャンプを組んできたことを考えるとこんなものなのかなという印象です。

ただこの試合を通して横浜F・マリノスとの差は大きく広がったことに気付かされましたね。

ピッチ上では「ポジショナルプレー」をする横浜F・マリノスと「5レーン理論」で戦うベガルタ仙台という試合が繰り広げられました。
似ているようで、全然違うなと改めて感じさせられました。

ベガルタは良くも悪くも立ち位置が決まっています。
大外はWB。ハーフスペースはSTやIH、HV。中央はCFとCB。
ボールを動かすと、自分たちが動かなくても相手が勝手にズレる。そういうサッカーです。
マリノスの場合は自分たちから動いて、相手をズラしてスペースを作り、位置的優位をとってきたり数的優位を生み出してきました。
より相手をみたサッカーなのだと思います。

守備面でも同じことがいえると思います。
初めから5レーンを埋めることが目的になっているベガルタと、相手の状況・立ち位置をみてボールを奪いにいくマリノス。
同じようなサッカー(ボールと相手を動かすサッカー)を目指していると思っていましたが、全然違う事にやっと気づきました。
この差はスコア以上にとても大きいものです。

さて、次節はホームでヴィッセル神戸との試合です。
まだ見れていませんけど、新加入のDFが優秀なようでここ2試合と同じようにロングフィードを蹴っていればどうにかなる相手なのか怪しい所です。
守備に関しては今節の最後に見せた石原を落としたアンカーデート。これを実現できればいい守備ができるのではないかと思います。

開幕戦で見せたロングフィードという新たな武器。
今節見せた3トップによるアンカーデート。
少しずつ、少しずつですが歩みを進めている我が軍。
どんな戦いをチームが見せてくれるか楽しみです!

そして今季初勝利を!AURAをみんなで歌いたい!

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fukuhara

ベガルタ仙台2019シーズン

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