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タケプロンとガスターの違いは何か?



胃薬とは、胃薬の種類について

 胃薬は、胃の症状を緩和するために使用される薬の総称です。これらは胃痛、胃酸過多、胃炎、胃潰瘍など、様々な胃の不調を対象としています。
 胃薬は主に次のような種類があります:H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、防御因子増強薬など。中には整腸剤や、胃腸運動促進薬、消化健胃消化薬を胃薬と考える方もいますが今回はそれらは除外します。胃薬は特に大きく分けると攻撃因子抑制薬(PPIやH2ブロッカー)と防御因子増強薬に分けられます。それぞれが異なる作用機序を持ち、患者の症状や状態によって適切な薬が選ばれます。
 その中で今回はPPIであるタケプロン®(ランソプラゾール)とガスター®(ファモチジン)の違いについて紹介します。


タケプロン®(ランソプラゾール)について

 タケプロン®はその主成分としてランソプラゾールを含むプロトンポンプ阻害薬(PPI)です。PPIは胃酸の生成を抑えることで、胃や食道の内壁が胃酸によって傷つくことを防ぎます。胃酸が過剰に生成されると、胃や食道の内壁が傷つき、炎症や潰瘍を引き起こす可能性があります。タケプロン®は、胃酸によるこれらの病状を予防・治療する効果があります。

適応:
①胃潰瘍,十二指腸潰瘍,吻合部潰瘍,逆流性食道炎,Zollinger-Ellison症候群,非びらん性胃食道逆流症,低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制,非ステロイド性 抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制

②下記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
胃潰瘍,十二指腸潰瘍,胃MALTリンパ腫,特発性血小板減少性 紫斑病,早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃,ヘリコバクター・ ピロリ感染胃炎

禁忌:アタザナビル・リルピビリン
   ランソプラゾールに過敏症のある患者

用量:15~30㎎を1日1回 (一部省略)
※ヘリコバクター・ピロリの場合1回30㎎を1日2回 7日分

作用機序:
 胃粘膜壁細胞へ移行した後,酸による移転反応で活性体へと変換され,プロトンポンプとしての役割を担っているH+,K+-ATPaseのSH基と結合し酵素活性を抑制すると考えられている。

薬価:タケプロン®15㎎ 33.1円
   タケプロン®30㎎ 56.5円
   ランソプラゾール15㎎ 14.2円
   ランソプラゾール30㎎ 24円


ガスター®(ファモチジン)について

 一方、ガスターはその主成分としてファモチジンを含むH2ブロッカーです。H2ブロッカーは胃酸の分泌を抑制する作用があります。胃酸の分泌が抑制されると、胃酸によって胃や食道の内壁が傷つくリスクが減少します。ガスターは、胃酸による病状の予防・治療に役立ちます。

適応:
①胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、上部消化管出血(消化性 潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)、逆流性食道炎、 Zollinger-Ellison症候群

②下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期

禁忌:ファモチジンに過敏症のある患者

用量:1回10㎎~20㎎ 1日1回~2回 (腎機能・年齢・症状より調節)

作用機序:
 胃の壁細胞にあるヒスタミンH2受容体に選択的に結合することにより、ヒスタミンと競合することで、胃酸分泌の分泌を抑制
 胃酸並びにペプシン分泌を抑制することにより、胃・十二指腸潰瘍、胃炎等に治療効果がある

薬価:
ガスターD錠10㎎ 15.5円
ガスターD錠20㎎ 18.2円
ファモチジンD錠10㎎ 10.1円
ファモチジンD錠20㎎ 10.1円


タケプロン®とガスター®の違い

 タケプロンとガスターの主な違いは、その作用メカニズムにあります。タケプロンはプロトンポンプ阻害薬(PPI)として、胃酸の生成そのものを抑制します。これにより、胃酸が過剰に生成されることを防ぎます。一方、ガスターはH2ブロッカーとして、胃酸の分泌を抑制します。これは、胃酸が生成されるプロセスの前段階で作用し、胃酸の量をコントロールします。

 これらの薬の違いは、主に作用の速さ強さに関連しています。タケプロン(PPI)は強力な酸抑制作用を持ちますが、その効果を最大限に発揮するには数日間の服用が必要なことが一般的です。一方、ガスター(H2ブロッカー)は速効性があり、服用後すぐに効果を発揮しますが、その酸抑制作用はPPIほど強力ではありません。

 またヒスタミンは主に夜間に、酸分泌を刺激しています。そのためH2ブロッカーは夜間に効きやすいです。一方、PPIは朝1回の投薬で、どちらかというと昼間に効きやすく、夜間に効きにくい薬だと言われています。
 ※ただしH2ブロッカーは1日2回で投与することが多く、個人的にはあまり気にしていません。1日1回だとしても朝だからと言って疑義照会はしていないですね。PPIも夜処方だからと言って疑義照会はしていないです。


どちらを選択すべきか

 どちらの薬を選ぶべきかは、胃の症状や、医師の考えにもよります。胃酸による症状が重度の場合、タケプロン®のようなプロトンポンプ阻害薬が推奨されることが多いです。これは、PPIが胃酸の生成そのものを抑制するため、強力な酸抑制効果を持つからです。

 一方、ガスターのようなH2ブロッカーは、胃酸の分泌を抑制するため、胃酸による症状が軽度から中程度の場合によく使われます。また、速効性があり、服用後すぐに効果を発揮するため、症状の急な増悪に対応する際に有用です。

まとめ

 胃の症状を緩和するための薬としてタケプロン®とガスター®がありますが、それぞれには異なる作用メカニズムがあります。自身の症状や医師の指導に基づき、適切な選択をすることが重要です。胃酸過多や胃痛などの症状に悩まされている方は、自分の症状や生活スタイルに最も適した選択をするために、これらの違いを理解することが大切です。


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