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あなたには一緒に無茶をやる仲間がいますか─『我らコンタクティ』

冴えない会社員をしているカナエは、小学校時代の同級生中平かずきと再会する。彼はナゼか一人でロケット開発をしていた。かずきの驚くべき目的を知り、カナエは思わず脱力!だけど、二人は一緒にロケット開発をすることに!カナエとかずきが小学校の時に見たUFOも絡み、思いもよらぬ方向へ物語は進む!いくつかの短編漫画をアフタヌーン誌上に発表し好評だった森田るい氏が満を持して放つ初長編漫画!

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なんとなく社会人になって、それなりに生きる。それなりな刺激はあれども心が揺さぶれられるほどの体験には会わない。
学生から社会人になってみて、そんな現況に陥っている人も少なくないのではないか。

社会人生活は思ったより単調で毎日はある種の繰り返し。劇的な出会いがあるわけでもない。
本作の主人公の一人でもあるカナエもそんな不満を持つ一人の人間であった。

しかし、ある日、小学校時代の同級生・かずきと出会う。子どものころからどこか独特な雰囲気を持つ彼は、なんと今は趣味でロケット開発をしているという。
最初はかずきの技術力にお金の匂いを嗅ぎ付け近寄ろうとするカナエだが、次第に、純粋にロケットをつくり「ある目的」を達成しようとするかずきの志に感銘を受け、プロジェクトに積極的にかかわり始めるようになる。

本作は大仰なアップダウンはないが、日常の中にふと現れる「異化」を敏感にかぎ取ろうとする物語である。
本作では、それは「ロケット開発」という派手な意匠を纏い登場するが、おそらく私たちの日常には、気づかぬ「浪漫」が存在していて、それに気づかずにいる。本作を読むことで日常に潜んでいる「浪漫」に敏感になれるのではないだろうか。そんなことを考えた。

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