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「俺らって無敵だな」と思えるあの瞬間の幸せ

「このメンバーでいれば、俺ら無敵だな」

中学生や高校生の頃、仲の良い友人といる時にぼくは心の中で密かにこんなことを思っていた。

気の合う友人といつもの軽快なテンポでバカ話をしたり、互いの将来について語り合いながら「それ絶対お前ならできると思うよ」と励ましあったり。

一緒にいるとたまにやってくる、その場の全員の思いがピタッとシンクロして、なんだかふわふわと心が高揚するあの瞬間。

そんな時にぼくはいつも「こいつらといると、無敵だ」なんて思う。

無敵とはいっても別に誰かと何かを比べている訳ではなく、心の底からふつふつと湧いてくる絶対的な自信のようなもの。

あの頃のぼくらは本当に怖いものなんてなかった。根拠のない自信を支えていたのは「俺らだったらできる」という、これまた根拠のない自信だった。

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今思い返せば、たぶんその時のぼくの視野は半径30cmくらいで、その狭い世界で無敵を誇っていただけなのだと思う。

大人になった今では子供の頃に見えなかったいろんなものが見えるようになった。見えなくてもいいものまでチラチラ見えてしまって、そんな全能感を感じることももう少ない。

そう思うと「俺らって無敵だな」と本気で信じられていたあの頃は、もしかしたらすごく幸せだったのかもしれない。幸せはいつだって過ぎ去ってから気付くもの。

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こんなことを書いたのは少し前に友人と飲んでいたときに、久しぶりに「俺らって無敵だな」と感じたからだ。

その自信には全く根拠がなかったし、むしろお酒の飲みすぎで頭もろれつも全く回っておらず無敵とは程遠い状態だったけど、あの瞬間ぼくらは間違いなく最強だった。

いまさら将来の夢なんていうのも変だけど、ああいう瞬間と、それを共有できる友人を増やしていくのが、ぼくの理想の生き方なのかもしれない。

二日酔いで起き上がれずガンガンと疼く頭の片隅で、そんなことを考えて、また眠りに落ちた。

今日の1枚

これがその夜に撮った写真。ブレブレで何が写ってるのかも分からないけれど、ふわふわとフロウ状態の心情やその場の熱量は確かにそこに感じられる。無敵な俺らの、最高の写真だと思う。使ったカメラはPolaroid SX-70。

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