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つちのこフェスタで思ったことだとか

今年で26回目を迎えるこのイベントは、岐阜県の東白川村という場所で、毎年5/3に行われています。
目的は単純で、「指定エリア(主に茶畑)の中に潜むと思われる、つちのこを発見すること」ですが、他にも賞品や賞金がもらえる木の板が隠されていてそれらを発見する楽しさや、地面に生えている山菜を採る楽しさ、単純に自然の中を歩く楽しさが味わえます。

参加者は参加費として運営側に1,000円を支払い、上のようなでクーポンを受け取ります。
全部使わないかもしれない(傷害保険は使われないほうが幸せですしね)んですが、そのうち200円の金券はどのような使い方もできますし、飲み物関係は無料引換券があります。
美味しいじゃがいもドーナッツも無料なので、小腹がすいた時にでも使うといいかなと思います。

開会宣言の後、チーム分け(捜索エリア分ける)があり、そのチームごとに最初の会場から捜索エリアまでは徒歩約10分程度の移動があり、これが運動不足の体にはこたえます。
また、家族連れも多いのでペースはゆったりですが、目的地がわからないとペース配分がわからないので若干つらいかもしれません。

捜索エリアは、こんな感じの茶畑一帯です。一応、舗装された道を歩いてくるのですが、捜索エリアは舗装されていませんので、歩きまわるのはなかなかしんどいです。
捜索エリアのイノシシ捕獲用の檻があったり(なぜか写真が貼れないので別の機会にお見せします)、イベントすぐ外側に村の現実を垣間見るところも、ある意味このイベントの良さかもしれません。
捜索時間は約1時間で、つちのこを一生懸命探す人、最初から野草目当てで参加してるであろう人、歩き疲れてその場にしゃがみ込む人など、一時間の過ごし方はいろいろですが、捜索時間が長すぎるとダレてくるので、ちょうどいい時間の長さかもしれません。
捜索が終わると、最初の広場に戻ることになりますが、今度は下り坂なので行きよりも楽に戻ることが出来ました。
しかし、やはり疲れているせいもあり、参加者の足取りは重かったに思います。

捜索が終わると……、基本的にピクニックのような感じになります。
広場では一応、司会進行の方がいろいろと話していたり、太鼓の演奏の・ようなものもありましたが、参加者はそれに注目する必要もなく、食べ物を買って食べたり、飲み物を飲んだりして、閉会までの時間を過ごすことになります。
閉会前に帰宅するのも自由なのですが、最後までいないと景品の抽選ができない(意外に景品が魅力的。最後の飛騨牛の抽選はかなり盛り上がった)ので、多くの人が最後までその場にいるようでした。

9時30分からイベントが始まり、15時に終了ということで、朝早く出かけてその日のうちに帰ってこられることもあり、翌日筋肉痛で悩まされたとしても問題ないスケジュールで、お手軽だとも言えます。
会場では、つちのこに関する商品やグッズの販売、そしてテーマソングの発表などもあり、運営側や村全体で、つちのこという観光資源をよりよいものにしていこうと努力されている雰囲気が伝わってきます。
東白川村はつちのこの目撃例が非常に多く、日本で唯一のつちのこの資料館(つちのこ館)もあり、そちらではつちのこフェスタ以前のつちのこ目撃に関する話や、つちのこフェスタが始まった経緯などがを知ることができます。

で、個人的に思ったことだとか。
このイベントは、確かに「つちのこを探す」ことが最大の目的なのですが、実はそれはきっかけに過ぎなくて、実際には東白川村の自然のいいところを味わってほしいというところが、本当の目的なのだろうなと思うわけです。
現地の美味しい食べ物を食べ、自然に触れ、最後にはおみやげに特産品を買って帰ってもらって、その話をいろんな人に伝えてもらうことで、翌年には興味をもった人が更に多く集まるというような感じで、参加者を増やしているのではないかと。
そんなふうに感じました。

次に「観光資源ってなんだろうか?」と考えさせられたんですね。
町おこしに関わると、「観光資源」という言葉を耳にするようになりますが、多くの場合は実際にあるものを「観光資源」として活用しています。
観光施設に名所旧跡、郷土料理など、ぱっと思いつくものは「何らかの形でそこに存在するもの」だと思います。
もちろん、「萌えによる町おこし」の場合のように、新しくコンテンツを作っていって、それを軸に町おこしを進めていくものも存在しますが、他にも形のないものや、今まで価値を見い出すことができなかったものも、見せ方や演出の仕方で観光資源として活用は可能なのだと感じました。
このつちのこフェスタの場合も、つちのこを目撃された方が、その話を様々な人に話しても信じてもらえず、そのことを知人に打ち明けたところ「じゃあみんなで探してみようじゃないか」ということになり始まったとのこと(つちのこ館にそういった展示がありましたが、写真を撮りそこねてうろ覚えです。確かこんな内容だったと思います)で、それが26回も続き、立派に人を呼べるイベントになり、そしてイメージキャラクターやイメージソングまで作られるようになったのですから、この試みは成功したのではないかと思います。

当然「じゃあ探してみようか」と呼びかけるだけではイベントとして成功するはずはなく、その呼びかけにあたって、様々な準備がなされたのではないかと思います。
参加の際に受け取るチケットの中身も、そういった準備の中で試行錯誤していったのでしょう。
傷害保険の存在や、お茶と飲み物(ジュースまたはビール)の別々の交換チケットや200円という金額設定もとても興味深いです。
そういえば、ステージのある会場の横に、普通の屋台も4つほど来ており、詳しく見てはいないのですが、そちらにも客が流れていたようでした。
自治体で行うイベントで、自治体でも飲食物を提供している場合は、外から屋台を呼ばないんじゃないかなと思っていたので、とても意外でした。
この辺りも、とても興味がわきます。
その地域の人達が一生懸命話し合って、これらの仕組みを作り上げたのではないかと思うと、頭がさがる思いです。

結局、町おこしというのは人が行うことで、どんなに有望な観光資源があったとしても、人が動かない限りはやがて忘れられてしまうのかもしれません。
逆に、人が動けばこそ、僅かなことであっても、それが徐々に盛り上がるのかも知れません。
結局はその地域を愛する人達の地道な活動が、その地域を活性化させるのだろうかと、そんな風に思いました。


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