見出し画像

でもって、太地町の本気の朝市のこと

※まずはこちらこちらを御覧ください。
さて、つちのこフェスタと、美濃太田駅の「のうりん」の話を先に書いたわけなんですが、僕の頭のなかにあったのは、「太地町の町おこしはどうすればより良くなるのだろうか?」ということで、とりあえず同様のイベントとして比較できそうなのは「本気の朝市」かなぁと思って、昨年の12月に参加した時のことを思い出しながら、少し考えてみようと思います。

画像1

まず、太地町とはどんなところか?画像2太地町は紀伊半島の南端近くにある、過去には捕鯨産業で栄え、今でも「古式捕鯨発祥の地」を標榜している人口3100人程度の町です。
最近では高齢化が進み、近隣の町と同様に過疎化の問題を抱えています。
主となる産業は漁業と観光ですが、観光に関して言えば、交通の便がよくない(とは言いつつも大阪方面からの便は良くなりつつある。特急が停まるようになったし……)せいもあって、客観的に見るとあまり芳しいとはいえないでしょう。

画像3主な観光スポットは「太地町立くじらの博物館」です。
鯨類に限定して生態から産業、歴史、文化までを知ることができる、国内でおそらく唯一の施設です。
そして、数年後には、森浦湾を仕切って小型鯨類を飼育するという「鯨の海構想」を実現させるために、試験的にイルカの飼育をするなど、実験的な試みを進めています。

画像4他にも、美しい眺望が楽しめる熊野灘の中にあるだけあって、素晴らしい日の出を見ることができます。
和歌山県朝日夕陽百選に入るスポットはいくつかあり、気持ちのいい朝の散歩が楽しめます。
……とまあ、太地町はそんな場所なのですが「本気の朝市」は、そんな太地町の新たな観光の機会として期待されているイベントで、年に四回(春夏秋冬に各一回ずつ)行われますが、天候によっては中止になることもあります。
僕が参加した2013年12月8日の本気の朝市は、晴天に恵まれて、冬にしては暖かい日に行われました。

画像5

画像6
僕が参加した時の朝市の会場は、太地町の港の駐車場(ふれあい広場)でした。開催される場所は時々変更されて、くじらの博物館の付近で開催される場合もありますので、事前の確認が必要です。

画像7入り口には、このような立て看板がありました。
反捕鯨団体との複雑な関係から、このような表示を出さなければならないというのも、この町の現状の一つです。
こちらの動画をご覧頂くと、そのあたりの事情が若干わかると思います。

画像8朝市自体は朝9:00から開始とのことでしたが、準備自体は朝9:00より前から始まっているようで、ある事情で遅めに会場に向かったら写真のように、既に沢山人がいました。もううろ覚えなのですが、漁師町だけあって魚介類を多く販売していたような気がします。

画像9定期的に会場中央でセリが始まります。
(これもうろ覚えなのですが)突然始まるので、お客さんは若干引き気味……。
このあたり、事前の準備や打ち合わせが不十分なんだろうなと、その時は感じました。
もしくは、お客さんが会場に来ている理由とのギャップがあるのかもしれません。

画像10この行列は、無料で振る舞われるイセエビの味噌汁とウケジャ(お芋の入った茶粥のようなもの。太地ではよく食べられてきたもので、甘くて優しい味がします)目当てのお客さんの列。
沢山のお客さんが会場には来ていたのですが、振る舞われた食べ物を落ち着いて食べられる場所があまりないのがネックになっています。容器が二つにお箸を渡されるわけですから、立って食べるというわけにもいかず、この辺りは改善する必要がありそうな気がしました。

画像11これはクジラのコロ(鯨の皮の部分を油で揚げたもの)です。
関西方面では、おでんのタネとしてポピュラーなもののようです。
しっかりとおでんの汁が染みて、プルプルな食感は癖になるくらい美味しいです。

画像12こちらはフィッシュバーガーなんですが、地元の海で穫れたシイラを使っています。
すぐに売り切れてしまうそうで、食べてみると確かに美味しかったです。

画像13太地町というと、すぐに捕鯨やイルカの追い込み漁を思い浮かべそうですが、伊勢海老の刺し網漁なども行われており、写真のようにどっさりと伊勢海老が売られていたりします。

画像14で、行列に並んで、伊勢海老の味噌汁(左)と、うけじゃ(右)です。
伊勢海老の味噌汁もたしかに美味しかったのですが、個人的にはうけじゃのほうが美味しかったです。
番茶の風味とさつまいもの甘さがお腹に優しくて、もう一杯頂きたいくらいでした。
これ、レトルトで出していただけないでしょうか……?

画像15

画像16で、会場では、南努さん(和歌山県の串本町出身のシンガーソングライター)のミニライブもありまして、規模と比較すると賑やかでした。
確か昼ごろまで朝市は続いていたと思います(事情があって最後までいられませんでした)。

画像17
で、どう感じたか?

年末とはいえ去年のお話なので、うろ覚えになっていることが多い(記憶力がないんです。ホント申し訳ない)んですが、ざっくりと雰囲気だとかを書いてみました。
途中で、関係者の方とお話をする機会がありました。
集客の状態は好調なので、毎月開催にできるのではないかと期待していたようです。
でも、感想を尋ねられた僕は、こんなことを言いました。

「面白いし、定期的に開催される分にはお客さんも来るのではないかと思う。でも、毎月開催となると、その面白さや価値が失われてしまうのではないか?」

関係者の方は、若干表情を曇らせていましたが、僕は「面白いことだからこそ、飽きられないようなペースで開催する必要があるんじゃないですか?」というように続けて話したところ、納得をしていただけたようでした。

僕がどうしてそう思ったかですが、現状の太地町の力では、毎月飽きられないような朝市を開催するのは難しいのではないかと、そんな風に感じたからで、もし毎月開催して、お客さんに飽きられないような朝市を運営していこうとするのであれば、運営スタッフや下準備にかけられる時間が、圧倒的に足りないのではないかと感じたからです。
本気の朝市の告知でさえも、あまり十分に行えていない現状ですから、都市部から観光客を呼ぶのは難しいでしょう。
セリのタイミング、無料で振る舞われる料理のタイミング、駐車スペース(駐車場が限られているので、バスを止めようとすると、かなりお客さんに歩いてもらうことになります)……などなど、改善すべきところが素人目線でも目についてしまう現状では、逆にその素人っぽさ(言葉を変えれば手作り感とでも言いましょうか)を売りに出来るようになったほうがメリットがあるのではないかと、そんな風に思ったわけです。

で、つちのこフェスタと比較すると、もちろんイベントの質や土地柄も違うとは思いますが、申し訳ないけれどやはり「本気の朝市」はまだ始まったばかり(多分、次で10回目かな?)のイベントですから、足りない部分は多いと思うんです。
イベントに慣れていない人たちが、自分で仕事を持ちながら、内容が決まっているとはいえ、たった三ヶ月サイクルでイベントの準備をして、本番を迎えて、反省をしつつ次に備えるというのは、かなり難しいと思うんです。
それを毎月ペースで行ったら、これは長続きしないんじゃないだろうかと心配になってしまいます。
毎月開催を目指すよりも、定期的に長く続けていくことのほうが実は大切で、続けていく中で朝市の名物(主催者側が定義したものではなくて)が生まれて、それを求めて各地から人がやってくるようになる……、というのが理想なのではないかと、そんなふうに思っています。

画像18

目次はこちらです。
自己紹介はこちらです。



もし、あなたが、何かの間違いで、僕のような酔狂な人間のしていることに興味を持っていただいて、サポートをしていただけるのでしたら、本当にありがたいです。 この先、捕鯨に関する様々な話に首を突っ込んでいく予定です。 よろしくお願いいたします!