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「日本再興戦略」を読んで 11 エジソンとフォードがつくった20世紀

日本の再興戦略を考えるうえでカギになるのはテクノロジーです。
20世紀に、もっとも生活にインパクトを与えた発明はトーマス・エジソンに代表される「電気製品」と、フォードが量産した「自動車」の2つでした。自動運転が実現したら、それらの発明に匹敵するものになります。

ここで少し20世紀を振り返ってみましょう。
20世紀は、エジソンが電気製品をつくって売り、フォードが自動車を大衆化しました。
これからの時代の課題は、エジソンやフォードが生み出した大量生産式のモノのつくり方やマス体験の存在の仕方をどう変えていくかです。

電気自動車といえば、みなさんはイーロンマスク(アメリカの起業家。スペースX社の共同設立者及びCEO)を思い浮かべるかもしれませんが、100年前エジソンとフォードが試験運用していたのは実は電気自動車でした。

実際に販売はされませんでしたが、当時も時速40km、1回の充電で約100km走行できました。

要は、今も昔もそこは劇的には変わらないわけです。しかし、今後はそうした枠組み自体が大きく変わる可能性があります。なぜなら人間の能力を拡張する技術がたくさん生まれてきているからです。

例えば、
●バーチャルリアリティー(人の現実認識を工学によって書き換えたり、拡張したりできる)技術
(VR:仮想現実)
●ミックスドリアリティ(現実空間と計算機による空間を混合し、現実のモノと実質的なモノが影響しあう新たな空間を構築する技術全般)技術
(MR:複合現実。現実世界と仮想世界を融合させた映像をつくりだす技術)
●空間ホログラム(空間に対して波動の強度差や位相差を考える分野。例えば空中に映像を表示したり音を表現する)技術
(音や光などの波を空間中で自由に操り、波面を制御する技術)

のように、
●3次元空間を直接「音と光」、オーディオビジュアルを存在させるような技術と、自動運転のような
●人の介入しないものに自動で運搬能力を付与する
ような技術が生まれています。

また、生産技術も、フォードのような大量生産ラインではなく、個人化・個別化した製造方法として
●3Dプリンティング(3DCGデータをもとに立体を造形する3Dプリンターを使って立体物を形成すること)
●人の介入しないCAD設計による個別製造技術(人工知能や最適化計算で、人が設計しなくても対象物を自動設計するような分野)
です。

個々人にカスタマイズされた製品をつくりやすくなっているのです。

エジソンとフォード境界の最高到達点はトヨタとソニーとアップルだと思いますが、これからそれを超えていくものが出てきます。

ソフトウェアとハードウェアを自由に行き来し、データの蓄積によって個別化されと多様性を生み出すフレームワーク、それを「機械学習」(知能が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピューターで実現しようとする技術・手法の事)と呼んでも、人工知能や手法の名前の代表例をとってディープラーニング(多層のニューラルネットワークによる機械学習手法)と呼んでもいいですが、呼び方はどうでもいいとして、今社会で起きていることは、そういった個別化と多様性を生み出すための変革ではないかと思います。

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