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伝説の?10秒商談

前職のカー用品コーナー担当から『Jac 日本中古車査定センター』の査定スタッフとして働くことになった私は、入社手続きを終えてあのソニー生命出身、教育担当のA課長さんから仕事の説明を受けました。そして翌日オートオークション会場で中古車の査定研修を行うと言われました。

初めて見るオートオークション会場。印象としては『黒いセカンドバックを持った怖いバイヤーが多い』でした笑

明らかに見た目があっち系の方や、ツナギでタバコを吸いながら車を下見している方など、ガラの悪さが目立ちました。

私を含めた研修生は約50名。教育担当A課長さんが最初に説明をして、研修生が自由に出品車輌を何台も査定をしていくという研修でした。

先に車を査定して、答え合わせで出品リストを確認する。何度やっても全く分かりませんでした。2月の寒い中、夕方まで車を査定し終わってヘロヘロで解散した後、何人かの人は『思っていた仕事と違う!もう辞める。』と怒っていました。

気がつけばほぼ同時期に入社した50名は1年以内に全員辞めていました😅

翌日、突然A課長に声をかけられて『がんさん、来店査定のお客様が来たからやってみて。』と言われました。『車の査定に自信がないのですが、よろしいですか?』と聞いたら『俺が査定するから大丈夫!』とのこと。

前職は接客業だったし、お客様と話をするのはなんとかなる。よし、買い取ってやるか!と意気込んで商談スペースに行きました。

忘れもしない、フォルクスワーゲンゴルフ。30-40代くらいの男性でした。査定はA課長と一緒に行い、『カーチェックシート』と呼ばれる査定票を作成し、『値差し』と呼ばれる5-6人の上長がいる部屋に行かされました。

ドアを開けると5-6人の上長が『なんで買えねーんだよ、ふざけんな!』とか『さっさと次に行けよ!』とか『買うまで帰ってくんな!』とか全員が電話片手に怒鳴っていました。

電話が終わった人に恐る恐る『値、値差しをお願いできますか?』とカーチェックシートを渡すと黙って受け取り、ある本をパラパラめくった後に『50万。』と言われカーチェックシートを返されました。

『はい、分かりました。』と返事をしてそのままお客様の元へ。『お待たせしました!査定額は50万円です。』と最高の笑顔と元気で価格提示をしたところ『あー、やっぱりそんなもんか。検討します。』と言われたので『はい!ご検討をお願いします!ありがとうございました!』と商談終了。約10秒です。

お客様が帰られた後に、『値差し』の方に報告しに行くと、先ほどはクールな感じで『50万。』と言っていた方が烈火の如く怒り出し、『お客様の希望金額は?』『どんな理由で売るの?』『手放し時期は?』『他社競合はいるのか?』『なんで勝手にお客様を帰らせたんだ?』『君は買う気はあるのか?』と詰められて『すみません、聞いていません』しか答えられず自分にガッカリしました。

このエピソードは現在も営業研修で使っており、『シンプルな商売でも必ずお客様には事情があり、それらの情報を集めること』と『偉そうに研修をしている私も最初は素人。10秒で商談が終わってしまった。だから君たちも努力をすればできるようになる』とネタにしています。

そして次の日から不安のまま『無料出張査定』に行くことになったのです。

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