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就職浪人をするべきじゃない理由/就職浪人をしようかと思っているあなたへ①

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もう受ける企業がない!

ちょうど10年前の今頃だった。僕の周りでは、友人たちがとっくのむかしに就活を終えて、入社する企業も決めてしまっていた。かたや僕は、まだ1社も内定がなかった。いや、内定がないどころか、選考中の企業さえなくなってしまっていたのだ。

僕の就活はまったくうまくいかなかった。いくら応募しても書類選考すら通らない、まれに面接までいってももちろん一次面接で落ちてしまう、そんな就活を続けるうちに季節は夏になっていた。はじめは何十社とあったはずの応募企業が、数週間前には書類選考中の何社かと、どうしてか一次面接までたどり着いた企業が1社残っているだけになっていた。そのいくつかの企業からもやはり、1社、2社と不合格通知が届いた。そして、気がつくと選考中の企業は1社もなくなってしまっていた。

これでは、就職どころか、就活だってできなくなってしまう!驚いて焦った僕は、新たな応募企業を探しだした。夏の暑い盛り。街ではリクルートスーツを着ている学生なんてほとんど見なくなっていた。

エアコンの効かないアパートで、僕はナビサイトを開いた。僕はそのころ、ある業界のメーカーを志望企業郡にしていた。まずは、まだその志望業界で応募可能な企業があるか検索をしてみた。すると、検索結果には2社しか出てこない。しかも、その2社だってすでに受験済みで不合格になっていた。

ただ、これは探す前からうすうすわかっていたことだった。志望業界の企業にはおおかた応募してしまっているのだから、当然のことだ。となれば、望業界などと贅沢を言っていられない!もっと広く探してみようと、メーカー全般、もしくはメーカー以外にまで対象を拡げて探してみる。

そうすると、やはり多くはないけれど、極端に少ないとも言えない企業が出てくるようになった。ただ、出てきた企業は、申し訳ないが少し怪しい企業ばかりに見えた。健康食品の訪問営業って、本当に大丈夫だろうか、などと思いながら検索結果を見ていく。なんとかメーカーはないだろうか。せめて志望業界と近い企業を、と見ていると、なんとか1社メーカーを見つけた。ただ、その企業の所在地は受けにいくのに勇気がいるような遠方だ。たしかに贅沢は言えないけれど、そんな遠くまでいく旅費はとてもすぐには工面できない。

就職浪人は勧めない!

選考中の企業もなくなり、新たに応募できそうな企業もほとんどない。そうなっていよいよあの四文字が浮かんだ。就職浪人。もちろん、できれば就職浪人なんてしたくなかった。でも、もう応募する企業もないし、このままではとても今年中に就職先を決められそうにない。そのころは秋採用だって、今よりも応募を受け付ける企業は限られていたのだ。

結論から言えば、僕は就職浪人をしなかった。そのひと月後、もともとの志望業界とは全く別の業界の企業を探しだして、なんとか内定をもらうことができた。その内定をもらった企業に入社し、たまたま採用担当になって、今に至る。

採用担当をするようになってからというもの、友人や親類、ときには就活生から就職浪人について相談されるようになった。とくに夏を迎えてスーツを着て歩くのがつらくなる時期になると、そんな相談が増える。そんな相談を受けるたびに、僕は10年前の自分を思い出す。

就職浪人の相談をされたときには、原則「僕は勧めない」と答えてきた。もちろん、就職浪人をするほうがいいと話したこともあるが、それはすこし特殊な場合だ。

僕が就職浪人を勧めないのは、そのメリットよりもデメリットが大きいと感じているからだ。採用担当をしてきた経験からすれば、はっきり言って、就職浪人生はかなり不利だ。これから書いていくように、実のところ、就職浪人生は他の就活生に比べてかなり不合格になりやすいのだ

就職浪人生は不合格にされやすい!

仮に、採用担当になったとしよう。採用担当は、就活生の前ではさわやかな顔をしていても、その実かなり忙しい。説明会が連日あるし、それ以外の日は一日中面接をしたりしている。当然、無尽蔵に時間あるわけじゃない。残業が褒められる時代ではなくなったし、そもそも残業時間の上限だって法律で定めることになっている。

一方で、採用担当は応募者を増やそうとする。その方が優秀な人材を採用できる可能性が高まるからだ。けれど、そうすると説明会や選考するための時間がもっと増えることになる。とくに選考はやたらと時間がかかるのだ。

僕の経験からすると、10人採用しようとすれば、最低でも数百人の応募者を集めようとするのが一般的だ。そうすると採用担当はその数百人分のエントリーシートを読まなければならなくなる。一枚5分で読んだとしても、200人なら1000分、500人なら2500分。採用担当は説明会や面接をする合間に、エントリーシートを何十時間も読むことになるのだ。

そんな忙しい採用担当は、できるだけ効率的に合否判定をしようとする。もちろん、すべての採用担当は丁寧に選考することが大事だとわかっている。ただ、くりかえしになるが、時間は限られている。だから、採用担当は効率化の名のもと、ついつい「経歴(のみ)による判断」に頼ってしまいがちになる

たとえば、真面目な人を採用したいと考えたとする。そうすると、ついやってしまうのが、大学で成績優秀だった就活生を合格にする、といったやり方だ。体力がある人を採用したいという場合でもいい。採用担当はついつい、体育会に所属していた学生を合格さてしまったりする。

一見、これはまともな判断のようにも見える。成績優秀なら真面目に勉強してきただろうし、体育会所属ならたくさん運動しているだろうと思えるからだ。ただ、これは本来、適切な判断方法とは言えない。それはこれが単なる「経歴による判断」であって、個人にフォーカスした選考とは言えないからだ。

つまり、成績優秀ではなくても(たとえば他の活動に打ち込んでいた)真面目な人はいるからだ。体育会でなくても(たとえば筋トレ好きの)体力がある人はいる、というのも一緒だろう。逆に、成績優秀でも地頭がいいだけの不真面目な人はいるし、体育会に所属していてもサボってばかりだった体力がない人もいるはずだ。つまり、「経歴による判断」では、実際に真面目か、体力があるかといったことを判断しているとは言えないのだ。

とはいえ、おおむねこの方法で真面目な人や体力がある人を合格にすることはできる。しかも、この方法ならば経歴を確認するだけで、エントリーシートを読み込んだり、本人にいろいろと聞いたり確認したりしなくても、合否判定をできるのだから手間がかからない。

ただ、このような合否判断の方法は、当然、ネガティブに働いてしまう。たとえば、文科系のサークルに所属していたから体力がないだろう、とか、留年していたから不真面目だろう、とかいったいった具合に、より乱暴な形で使われてしまうのだ。採用担当はついこんな風に判断をしてしまいがちだし、応募者数が多ければ多いほどおそらくこの傾向は強くなる。

就職浪人生は、「経歴(のみ)による判断」をする採用担当からはどう見えるだろうか。僕の経験からすれば、就職浪人生は格好の不合格対象だ。なぜなら、就職浪人生は(おそらく)たくさんの企業で不合格になってきた人だからだ。もちろん選考基準は企業によってさまざまだけれど、たくさんの企業で不合格になってきた人ならば自社でも不合格となる可能性は高い。何か特別光るものがあるなら話は別だけれど、そうでなければとりあえず不合格にしておこう、といった意識が働くのだ。

実際には、就職浪人生にもいろんなパターンがあるし、みんながみんな他社で不合格になってきたとは限らない。僕が知っている例であれば、内定はもらっていたけれど家庭の事情でやはり地元で就職することにした人や、どうしても留学して勉強したいことができた人など、いろんな事情の人がいるのだ。

だから本来採用担当は、きちんとその人の事情を確認したうえで、他の要素と合わせて人柄や能力を見極め合否判定をすべきだ。ただ、忙しい採用担当ほどつい、そういうところを省いてしまいがちになる。そして、残念なことに、ほとんどの企業の採用担当はかなり忙しい。

就職浪人していい人、していけない人

就職浪人生は他の就活生に比べて不合格にされやすい。だったら、絶対に就職浪人はしないほうがいいのだろうか。もちろんそんなことない。過去に僕だって、就職浪人を勧めたことがある。では、どんな人なら就職浪人をすべきだろうか。

それはずばり、浪人中に『目に見えるグレードアップできる人』だ。はっきり言えば、就活生にとって採用環境がさほど悪くない現状で、しっかり就活をしたのに内定をもらえなかった就活生は企業に(あくまでに企業にだけ)評価されにくい人や評価される機会を逃した人だ。その人が、来春まで待って再び就活をしたとしても、その人がそのままであれば結果は同じことにしかならない。おいしくなかったパンをまた翌週に再び食べても、相変わらずおいしくないのと同じことだ。

だから、就職浪人をするのであれば、明確に来春までに自分が(就活生として)アップグレードして企業に評価されやすい人になることが必要だ。そして、そのアップグレードは、たとえばコミュニケーション能力のように人からぱっと見て変化がわからないものでは意味がない。すでに書いたように、就職浪人生は不合格にされやすいのだから、不合格にされにくくなる(合格させたいと思われるような)、特別光るようなアピールできる材料が必要なのだ。

僕が過去に就職浪人を勧めたのは一人(A君)しかいない。A君は、就活をはじめた当初はある業界を志望していたけれど、就活を進めるうちに別の業界で活躍したいという気持ちが強くなったという人だった。ただ、それの業界は非常に狭い(企業の少ない)特殊な業界で、A君がそう思ったころには大半の企業が募集を締め切っていた。しかもA君は、その業界で世界を舞台に活躍するようなプロフェッショナルにもなりたいと考えていたので、業界の中でも比較的規模の大きな数社に就職したいと考えていた。

そのA君から相談を受けた僕は、よくよく話を聞いてから、就職浪人を勧めることにした。なぜなら、そのときのA君は就職浪人で得ようとするものを明確に描いていたからだ。

A君が就活浪人で得ようとしていたのはまず、応募の機会だった。すでにA君の志望企業はすべて応募を締め切っていたうえ、秋採用も予定されていなかった。だから応募するには来春まで待つしかなかった。

そしてもうひとつ、A君が就職浪人中に獲得しようとしていたのが、語学力だった。彼は世界を舞台に活躍したいと考えた一方で、語学力は十分とはいえなかった。そこで、浪人期間中を利用して、彼はTOEICのスコアを200点UPさせることにした。そのほかにも彼は、OB訪問をしたりしながらその業界に関する知識の収集もする予定にしていた。

その計画を聞いて、僕は就職浪人を勧めることにした。とはいえ、もちろん就職浪人のデメリットもきちんと説明した。A君のように計画を持って就職浪人をしたとしても、やはりうまくいくかどうかはわからないからだ。就活には運がつきものだし、企業との相性もある。計画的に努力をしたとしても、それが報われるとは限らない。一度別業界で就職してから転職するという手もある。そう説明をしても、彼の意志が変わらなかったので、僕は就職浪人を勧めた。そして、浪人中も面接やエントリーシートの練習のために(志望企業以外の)企業の選考を受け続けるようにアドバイスしたりした。

僕は、A君のような場合には就職浪人をするという選択肢もあると考えている。一方で、就職浪人を相談してくる人の多くは、ここまで就職浪人に関して計画立てていない。その場合には、ただ就活が不利になるだけで、その人はより苦しむことになる。だから、僕は原則、就職浪人はしない方がいいときっぱり言うことにしているのだ。

じゃぁ、どうすればいい!?

とはいえ、(多くの場合には)就職浪人をしない方がいいとすると、どうにか今期に就職をしなければならない。これまでうまくいっていないというのに、これから頑張ったところではたして内定がもらえるのだろうか、と思うだろう。

結論から言えば、内定はもらえる、と僕は考えている。そう考える理由は、今の日本の新卒採用においては、応募者(就活生)よりも募集数(企業の採用予定数)のほうが多いからだ。募集数のほうが多いのだから、業界や職種を選ばなければ就職先はあるということになる。

もちろんどんな会社でもいいとは言えない。明らかなブラック企業や、事業自体が違法である可能性がある企業などには、絶対に入らないほうがいい。ただ、そこまでいかなくても就職できる会社があるくらいに、今は売り手市場だ。だから、最低限ブラック企業などを避けたうえで、就職できるようまずは就活を継続すべきだ。

とはいえ、全く同じやり方をしていても、同じように不合格になり続けるだけだろう。僕は、この時期に就活を継続する場合には、いくつか意識を変える必要あると考えている。それで、全てうまくいくわけではないが、すこし良くなるきっかけになるはずだ。

ただ、ここまででずいぶん長くなったので、その内容は次の記事で書くことにする。「いま内定がない人はどう就活をすべきか?」というタイトルで、いくつか僕が考える方法を書いていきたいと思う。

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フクシマタイキ

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フクシマタイキ

千葉大学卒業/人事として年間約200名を採用/就活が苦手で学生時代には書類選考で70社以上落ちる。なんとか入社した会社で採用担当となり、転職を経て、現在は外資系メーカーで人事担当。就活が得意な人ばかりが就活情報を発信していることに違和感を覚え、苦手な人の目線で情報発信している。
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