ドーナツを壊せ!―キュンチョメ《完璧なドーナツをつくる》に寄せて[1]

日本はサーターアンダギーなのだろうか、それともドーナツなのだろうか。

前者に沖縄を、後者にアメリカを、それぞれ象徴させた構図はわかりやすい。それが見る者に米軍基地とのあいだの距離感を測定させていることも理解できる。だが、サーターアンダギーとドーナツが合体する直前で映画が終わることも手伝って、見る者には明快な答えというより、むしろ大きな問いが残される。

わたしの場合、その問いは日本の立ち位置だった。現在、沖縄は日本の一部だが、沖縄の米軍基地はその日本が米軍の占領下にあることの例証である。だとすれば、日本は沖縄を支配しつつアメリカに支配されるという両義性に貫かれていることになる。逆に言えば、沖縄は日本とアメリカに二重に支配されているということだ。沖縄にとって日本はドーナツなのだ。

だが、沖縄の民意は米軍基地に明確に反対している。であれば日本はサーターアンダギーをドーナツの穴に埋めようとするのではなく、サーターアンダギーの大きさによってドーナツを破壊しなければならないのではないか。

※本稿はキュンチョメの新作《完璧なドーナツをつくる》に寄せた一文です。本作は2018年11月16日から18日に開催される「TERATOTERA祭り」で上映されます。近年稀に見る傑作です。ぜひご覧ください。


言葉と沈黙のあいだ―キュンチョメ《完璧なドーナツをつくる》に寄せて[2]

2018年現代美術回顧 「五輪」を引きこみ「沖縄」に飛びこむ


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