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「ケリング・ジェネレーション・アワード」ローンチイベント in Tokyoで弊社代表・瀬川が登壇。当日の様子とパネルセッションをレポートします。

フルカイテン広報の斉藤です。2024年4月8日(月)に開催された、サステナビリティ x イノベーションを考える 「ケリング・ジェネレーション・アワード」ローンチイベント in Tokyoで弊社代表の瀬川がパネルセッションに登壇しました。

本アワードは、グッチやボッテガ・ヴェネタ等を有するケリング社が、スタートアップの成長支援プログラムを運営するCIC Instituteと共に今年日本初開催するプログラムです。

「サステナブル・ファッション& ビューティ」をメインテーマに、「代替原材料」「製品製造」「リテール」「消費者エンゲージメント」の4つのサブテーマに取り組むスタートアップ企業を発掘することを目的としています。

本イベントでは、アワードプログラムの紹介やケリング社のサステナビリティの活動、社内外にわたるイノベーション創出に向けた取り組みについて紹介がありました。

弊社は、ファッション産業のサステナビリティに関して事業を行っている点を評価頂くことができ、パネルセッションに登壇させて頂きました。

このnoteでは、当日の様子とパネルセッションの内容をレポートします。


当日の様子

本イベントは、CIC Tokyo(虎ノ門ヒルズビジネスタワー)15階で開催されました。6000平米にも及ぶ空間に、コワーキングスペースや大小様々なプライベートオフィスがあります。開放的な空間で、オフィスの中央にはイベントができるカフェスペースが広がっており、入居者同士のコミュニケーションも活性化すると感じました。

CIC Tokyo(虎ノ門ヒルズビジネスタワー)15階の様子

パネルセッションの際は足の長い椅子に座りましたが、弊社代表・瀬川は慣れない長椅子で、足をプルプルさせながらふんばっていました(笑)

次章からは、瀬川がパネルセッションでお話しした内容をご紹介します。

パネルセッションの内容

パネルセッションには以下の3名が登壇しました。

 金 城煥 氏 / 株式会社ユーグレナ, 上席執行役員/ヘルスケアカンパニーCEO
 菅原 潤一 氏 / Spiber株式会社, 取締役兼代表執行役
 瀬川 直寛 氏 / フルカイテン株式会社, 代表取締役CEO

左から、モデレーターの溝手様(CIC Institute, Project Manager)
金様(株式会社ユーグレナ, 上席執行役員 ヘルスケアカンパニーCEO)
菅原様(Spiber株式会社, 取締役兼代表執行役)
弊社代表・瀬川

自己紹介で瀬川は以下のように話していました。

私は初期衝動を大事にして生きてきました。2012年に会社を作りましたが、会社に勤めている際に「せっかく生まれてきたのだから、誰か笑顔にできるような生き方をしよう。」と思ったので、起業することにしました。このタイミングで妻と入籍したため、妻の実家に挨拶に行った際に結婚を認めてくださったのですが、その返す刀で「つきましては、会社を今度辞めようかなと思っておりまして。」と話しました。妻の実家も自営業をしているので、独立には理解があり、認めてくださいました。 

弊社は特にファッション小売業のお客様が多いです。在庫の分析をAIや統計の理論も使って行っています。例えば、「この商品は、値引きをしなくても売れるのではないか?」や「A店からB店に移動したらもっと売れるのではないか?」という予測を行うSaaS型のサービスを提供している会社です。今日はよろしくお願いします。

結婚挨拶と同時に「会社を辞めます。」と話したエピソードでは、会場の皆さんが笑ってくださり、ホッとしました。

以下は、司会の溝手様からの質問に瀬川が回答した内容です。

【質問】この業界での起業を目指された理由や、ファッション業界の課題と思われることを教えてください。

瀬川:私はずっとIT系の会社でキャリアを積んできました。2012年に会社を立ち上げ、はじめはベビー服のECをしましたが在庫が原因の倒産危機を3回経験しました。お金がないので、このピンチを知恵で地で乗り切るしかなかったので、 その時に今の弊社の事業に繋がっていくような分析のロジックや予測の仕組みも考えました。この仕組みを考える際に、大学で勉強していたことが役立ちました。そんなことがあって、2017年に今の事業にたどり着きましたが、正直言うと、当時は事業を通じたサステナビリティへの貢献などは考えていませんでした。

しかし、2018年に転機がありました。
とあるファッション企業の役員の方との商談時に、「瀬川さん、FULL KAITENの仕組みが世の中に広がっていったら、すごく地球にいいですよ!」と言われたんです。

初めは意味が分からなくて、「どういうことですか?」と聞いたら、「御社の仕組みは、今よりもっと少ない在庫で企業の業績を上げることができるじゃないですか!」と仰り視座が上がりました。

アパレルを例に出すと、シャツ1枚を作るにしても何トンも水を使いますが、適量生産を実現できれば、限られた資源の使用も抑えることができると思います。
自分の倒産危機を救ってくれた仕組みを小売業向けに販売するだけではなく、子どもたちの未来や社会を良くするために事業をしていると、今はよく理解できるようになってきたと感じています。

次に、小売業界の課題をお話しします。
在庫を増やせば売上が増えるというのは、小売業界の方は肌感覚で分かると思います。しかし、在庫を増やすと売れ残る商品も増えます。かといって、単純に在庫を減らすと売上が落ちます。ですから、リテール領域は売上と在庫をどうバランスさせるかが極めて重要です。
2021年に弊社が公開した調査では、FULL KAITEN導⼊企業の導⼊当初のデータを使った分析で全在庫のたった20%で、8割の粗利を生み出していることが分かりました。 残り80%の在庫から利益を創出できるとしたら、世の中が変わると思いませんか?この辺が弊社のビジネスの切り口になっています。

【質問】特に環境・サステナビリティ x ファッション & ビューティ領域においては、大型の調達やスタートアップだけの力ではなかなか事業を拡大することが難しいイメージがありますが、これまでの失敗談やそれをどう乗り越えられたか、教えてください。

瀬川:弊社はベビー服のECから在庫分析クラウド「FULL KAITEN」事業に大きくピボットしましたが、FULL KAITENを導入してくださった企業の在庫データを毎日蓄積しています。このデータを使って「この商品はA店に移動したら売れる可能性が高い」や「この商品は値引きをする必要は無い」、「この商品はどれくらい追加で仕入れておくと欠品しないで済む」と予測をしています。

現在、弊社には1兆円を超える売上データがあります。これを研究に活かし、例えば「来年白いシャツを作る場合、御社はこれぐらいの枚数作ると良さそうです。」 というような予測を実現したいと思っています。
弊社の強みは、お客様の全ての販路の在庫データを保有している点ですので、これを強みに日本としてどれくらいの生産量が必要かを予測することで適量生産を目指したいです。

事業の試行錯誤で言うと、2017年に最初の「FULL KAITEN ver.1」をローンチしましたが、私が想定していた顧客層は月商数百万円の規模の小さな企業でした。しかしふたを開けてみると、大企業から7件も問い合わせをいただき、その7社が2ヶ月のうちに全社契約してくださいました。
ですが、規模の小さな企業向けに設計したシステムなのでビッグデータに耐えうる仕組みではなかったため、システムが重くて動かず、クリックしても15分ぐらい画面に何も表示されない状態になり沢山のお叱りを頂きました。
その後、2021年までこのありえないぐらいのデータの量をどう高速に捌きながらサーバーコストも抑え、SaaSの安価な料金体系でサービス提供するにはどうしたらよいのかという研究を続けてきました。

資金調達は何度か行いましたが、調達した資金はほぼ全てこの研究開発に投資しました。その間、解約したお客様もいましたが、現在、それらのお客様は「FULL KAITENがちゃんと動くようになったのなら契約します!」と戻ってきてくださっています。

【質問】本プログラムでは上位3者にヨーロッパ研修ということで、海外企業とのコネクションを作る機会も提供します。海外展開についてはどのようにお考えですか?

瀬川:弊社のミッションは『世界の大量廃棄問題を解決する』ですので、海外展開を見据えています。先日、弊社史上初めて、海外の企業様と契約することができました。チャレンジングな案件になりますが、これをきっかけに海外展開も進めていきたいと思っています。

【質問】これから起業を考えている or 事業の拡大を目指しているスタートアップ、起業家の皆様へコメント、アドバイスなどあればぜひお聞かせください。

瀬川:私は『成長は螺旋階段』を合言葉にしています。実際のところ、いきなり急成長をすることは難しいですよね。

一方で、スタートアップはVCなど様々なステークホルダーから急成長を求められます。だから必死に取り組むわけですが、それでも急成長なんてことはほとんど起こりません。結局のところ毎日コツコツ取り組み、小さな成長を積み重ねられるかどうかが大事なのです。

そして気づいた時に「え、こんなところまで登ってきたのか!」と感じられたらそれが本当の成長だと私は考えています。
言い換えれば、急成長は後から気づくものだということです。
人は螺旋階段を上るように少しずつ成長します。全く成長せず、同じ場所をぐるぐるしているように見えても、それは自分のことを螺旋階段の上から眺めているからなんです。螺旋階段を横から見てみれば、自分が日々努力を重ねて、着実に螺旋階段を上がっていることに気づくことができます。それが本当の成長です。

失敗の中から改善点を見つけ、螺旋階段式に積み上げることで、大きな実りのある事業に育っていくと思います。だからこそ、失敗に一喜一憂せず、コツコツと継続することが大切です。

編集後記

広報の斉藤です。本イベントの登壇依頼を頂いた際はとても驚くと同時に、身が引き締まる思いでした。

代表瀬川の登壇を社内に共有したところ、喜んでくれる社員がいたり、オンライン配信の申し込みをする社員もいたりして、一体感を感じ嬉しくなりました。

今後も、FULL KAITEN導入企業に対する提供価値の最大化に社員一同より一層取り組んでまいります。

ここまで読んでくださってありがとうございました。


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