私の家族。

私が小さい頃のお話をしようと思う。

私の母も父も共働きで、とても忙しく

親子の時間が限られている事が多く、

子供の頃の私は少し寂しく感じながらも

姉と二人で

テレビを見て帰りを待つ事が多かった。

私も姉も手間のかかる子で、

体調を崩すことが度々あった。

そんな中母は私達の健康維持のために

ヨーグルトを切らすことなく冷蔵庫に入れ、

帰ってくると可愛い付箋に

一言とニコニコの顔文字を書いて置いてくれていた。

帰って、その付箋を見つけると

いつもなぜか離れている時間よりも

母が私達を思ってくれているという

心の距離感を感じ、寂しさをすこし

忘れさせてくれていた。

父がお休みの時は、残ったヨーグルトと

りんごを買ってヨーグルトケーキを

一緒に作ってくれていた。

ほのかに香る、りんごの甘酸っぱさと

ヨーグルトの酸味、バターの香りを

私達はいつもオーブンから眺めながら、

おやつの時間を楽しんでいた。

ヨーグルトが冷蔵庫の片隅にぽつんと

置いてあることに、大人になった私は

ようやくその愛を知ることができた。

私は二人の愛情を食べて、大きくなった

んだと思う。

ヨーグルトが私達家族そのものを

支え続けてくれたのだから、ヨーグルトも

家族なのだと。

私は二年前に家を出て、夫婦として

生活をしている。

真っ白い冷蔵庫の片隅には、

見慣れたパッケージのヨーグルトが、

家族がそばにいるのである。

#ヨーグルトのある食卓







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