ブログ感覚

専門家は万能じゃない

今日ふと思い出したのですが、
「大学を出ている専門家なんだから、わからないなんて言わないで欲しいんだよ」って言われたら、みなさんどうしますか?

これは私が働き始めた頃に実際に言われた言葉です。
このことをおっしゃったご本人は、もしかすると私に対してではなく、私の上司に対して言ったのかもしれません。前後の話はあまり覚えていませんが、雑談の流れでこのような話になったと記憶しています。
どんな人が発した言葉なのかは、…ご想像ください。

実は私も学生の頃に同じような思いを抱いたことがあります。
栄養士養成校に通っていたので、学生からしたら教員はみんな「栄養の専門家」なわけじゃないですか。授業中、疑問に思ったことって「栄養の専門家」に質問をしたりもしますよね。
そうして「栄養の専門家」に質問をした時に「それは●●先生が専門だから、その先生に聞いて」と言われたらどうでしょう。

「えっ、栄養の専門家なのに教えてくれないの?」
未熟な私はとっさにそう思ってしまいました(まぁその教員との関係性とか、言い方のせいもあるかもしれない)。

ん?と思った方もいると思うので、ちょっと別の例で言い換えると、
例えばケータイショップに行って、店員に聞きたいことがあったのに「それはウチじゃなくて別のショップのことだからわかりません」って言われたらどうでしょうか。人によっては「あら、別の会社のことだったのね」とか「ふーん、会社によってサービスが違うのね」で済むかもしれません。でも「ケータイの会社なのに、わからないなんていうなよ!」とお怒りになる方もいるわけじゃないですか。
それとほんとに同じ現象。お怒りにはならなかったけど、ショックを受けてしまったのがわたし。

まぁ、お怒りになっちゃうことについてはそのひとの態度とか別の要因も関係してそうな気がしてきましたが、専門じゃない人からすると「専門家」ってどうやら万能に見えちゃうんですよね。
自分もそんな風に思ったことがあるから、「専門家なのに…」って言われた時にどう対応しよう?って考えてしまいます。見た目と同じく気も小さいので(笑)

実はこれ学会発表とか研究の場でもあるあるなんですよ。
フロアから質問が上がってきたことについて「その分野は専門じゃないからわかりません」と返して終わる人もいれば、「その分野は専門じゃないのですが〜、知りうる範囲では●●という報告があります」と返す人もいる。どちらが良いと思うかは、その分野とかその人次第ですよね。
ま、学会発表だとそのフロアにはだいたい誰か専門家がいたりするので、その方が助け舟を出してくれることもあります。でも自分以外に専門家がいない場面では助け舟なんてこない。

もしも今、
「大学を出ている専門家なんだから、わからないなんて言わないで欲しいんだよ」
なんて言われたら、私はどう答えるんだろう。

「まだピヨピヨなのでわからないこともたくさんあるんです…」が通じるうちはそれでいける?(若手研究者=博士の学位取得後8年未満、これまでは40歳未満)
もしくは、その方が求めているのはもしかすると対話的な解決方法かもしれないので、一緒に「こたえ」を探る?
あるいは、私よりも最適解を出してくれそうな方を紹介するのかも。紹介できる人脈が必要だね。
対応はコンテクストによる。

ま、私は気が小さいので、そんな言葉を言われないように言い回しを気をつけてそうだ。
とりあえず、専門家は万能じゃない。特定の分野の「職人」なだけ。
つまりは尖ってるだけなのよ。

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