IMG_1567のコピー

企画書のタイトル案。

ある段階までの企画書とはたいてい、そういうものだろう。

あたらしい本をつくろうとするとき、編集者はまず企画書を書く。まだ具体的なことはなんにもわからない状態で、企画書を書く。そこには大抵、タイトル案も付記される。まあ、よくわからないけど、平成のサブカルチャーを振り返る、みたいな企画だったら『決定版・平成サブカル30年史(仮)』みたいな文言が、ドーンと入る。正式なタイトルが決まるまで、著者も編集者もデザイナーも、みんな『決定版・平成サブカル30年史(仮)』のタイトルを念頭にそれぞれの仕事を進めていく。

で、細かい話をするようだけど、ぼくはこの「〇〇○○(仮)」という表記をあまり好まない。カッコ仮、なんてふわふわした書き方をするのだったらいっそ「タイトル案:〇〇○○」と表記したほうが、ずっと気持ちがいい。

つまり上記の例でいえば、

【タイトル】
決定版・平成サブカル30年史(仮)

と書くよりも、

【タイトル案】
決定版・平成サブカル30年史

と書いたほうが覚悟も決まるというか、めざす道がはっきりするように思うのだ。そしてぼくの経験上、仮でつけた最初のタイトル案がおもしろい企画は、うまくいきやすい。タイトル案が平凡だったり、抽象的だったり、あきらかになにかのパロディやパクリだったりした企画は、おもしろく育ちにくい。「仮」とはいえ、「案」とはいえ、航海でいえば羅針盤並みの役割を果たすことばなので、あんまり安易にここをつくるのはよくないと思うのだ。


で、どうしてこんな話をしているかというと、新オフィスである。

先月オフィスを引越して以来、いまだに「新オフィス(仮)」とでも呼ぶべきそわそわ感から抜け出せないのである。こころのおしりにずーっと(仮)がついているのである。たぶんそれは、いまだ引越時の荷物を整理整頓することがかなわず、さまざまな荷物が「とりあえずここに置いておこう」状態を引きずっているからなのだろう。

スケジュール表とにらめっこするかぎり、ちゃんと片づけに向き合えそうなのは早くても来月下旬以降。すなわちあと1カ月、バトンズは(仮)状態で運営される。


「株式会社バトンズ(仮)」って登記できるのかな。