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勝ち方よりも負け方を

野球やサッカーを観てると、よく「勝利にまさる薬なし」みたいな話を聞きます。チーム内にいろいろ問題があったとしても、勝てば雰囲気がよくなるし、それだけで解決していくんだ、勝てばどうにかなるし、勝たなきゃどうにもなんねえんだ、みたいな話。これって、半分は当たってるけど、半分はうそなんじゃないかと思うんです。

シーズンの中盤から終盤、大きく負け越して低迷してるチームって、見るからにチームがバラバラになってますよね。やたら怒ってる人がいたり、みんながエゴ丸出しのプレーに走ったり、しまいには喧嘩しはじめたり。

このバラバラ感の理由って、選手の問題じゃなくって「監督の求心力」に問題があると思うんです。そして監督の求心力を決めるのは、たぶん「負け方」なんですよね。

負けること自体は、別にいいんです。ただ、ぜったいにやっちゃダメなのが、無策なまま負けること。たとえ負けを止められなかったとしても、監督はありとあらゆる策を講じた上で、負けの流れに抗ったうえで負けなきゃいけない。無策の負けは、いとも簡単に監督の求心力を失わせます。

そして下位チームのバラバラ感についていうと、チームが下位に低迷しているということは、それだけたくさん負けたということですよね。その「たくさんの負け」のなかには、「無策な負け」もそこそこあった。監督だって人の子。「今日はなにをやっても無理だ」と思った日もあるでしょうし、やることなすこと裏目に出た日もあるでしょう。それらは全部、選手からは「無策」に見えたでしょう。結果、やる気や資質、哲学が疑われ、少しずつ求心力が失われていった。チームがバラバラになった。そういうことなんだと理解しています。

だからねえ、「プレイングマネージャー」って、かなり危なっかしい制度だと思うんですよ。これは一般企業における、創業社長も含めて。

野球におけるプレイングマネージャーがそうであるように、創業社長って、要するに「すごい選手」なわけですよね。そしてすごい選手は、チームが負けそうになってるとき、「プレーヤーとしてのオレ」のがんばりによって、劣勢を挽回しようとするわけですよ。それだけ腕に覚えもあるし、自分でやったほうが手っ取り早いから。

これで劣勢を挽回できればオッケーなんだけど、もしも負けてしまったときには、監督としてなんの策を講じなかったと受け止められる。「無策な負け」と受け止められる。求心力を失って、チームがバラバラになる。

観戦するファンとしては無責任に「代打、オレ」を期待するものですが、実際に現場を預かるプレイングマネージャーからすると、そうそう使えるオプションでもないんだろうなあ。


えーと。なんか話がずれちゃいましたけど、「名将の負け方」をテーマにした本っておもしろそうだなー、誰かつくってくれないかなーと思い、これを書いてみたのでした。王さんとか落合さんとかが語る「負け」。おもしろいと思うけどなあ。