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禁句とボキャブラリーの関係。

ボキャブラリーは、多いほうがいいと思う。

知識や教養を誇示するものとしてではなく、表現力を高めるためでもなく、自分のあたまを揉みほぐすために、手持ちのボキャブラリーは多いほうがいいと思う。多い自分であったほうがいいと思う。

ボキャブラリーを増やす方法は、わりと簡単だ。自分のなかに、いくつもの禁句を設ければいいのである。


たとえば、「ものすごく」ということばを禁句にする。なにがあっても使わないと、決めてしまう。一見ボキャブラリーを減らしているようだが、それは違う。「ものすごく」を使いたくなったとき、あなたは別のことばを探すだろう。これまで「ものすごく」で済ませていた感情を、あらたなことばで説明するだろう。ボキャブラリーの枠が、じわり広がるのである。

とくにこれは、流行りことばでやるといい。

たとえば、「コミュニティ」ということばを禁句にする。「コミュニティ」とは違ったことばで、コミュニティを説明する。「ダイバーシティ」を禁句にして、ついでに「多様性」も禁句にして、それ以外のことばでダイバーシティを説明する。

対象への深い理解がないと、これはなかなかできない。逆に言うと、対象への理解が浅いままでも使えるのが——とくにカタカナの——流行りことばだったりする。


ぼくは普段から、けっこうたくさんの禁句を自分に設けている。そのことばを口にしそうになった自分を戒め、ちゃんと自分のことばに翻訳するよう、こころがけている。

禁句を設ければ設けるほど、ことばは広がっていくのだ。


毒を食らわばサラダで。
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古賀史健

ライター。バトンズ代表。著書・共著「嫌われる勇気」「古賀史健がまとめた糸井重里のこと。」「20歳の自分に受けさせたい文章講義」など。週日更新しています。http://www.batons.jp

古賀史健(2018)

古賀史健の note、2018年分です。
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