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フリーランスの肩書きについて。

敬愛する田中泰延さんが、無職になったのだそうだ。

そしてあたらしい肩書きを発明したのだという。

フリーランス時代、ぼくも自分の肩書きについて悩む機会は多かった。

とくに20代、その悩みは深かったように思う。もともと社交性の乏しい男である。見知らぬ他人に自分の職業を名乗る機会などない。ぼくと会う人の9割は仕事の関係者であり、ぼくがフリーライターであることを知った上で、会ってくれる。その意味で、肩書き問題に頭を悩ませる必要は、あんまりない。

ただし、こんなぼくにだって他人に自分の肩書きを語らねばならん機会は、あるだろう。「お前は何者なんだ」「職業を名乗れ」と詰問される瞬間が、きっとあるだろう。

そう。なんらかの犯罪をおかしてしまったときだ。たとえそれが冤罪だったとしても、逮捕されたぼくはマスコミの方々からこのように呼ばれるのだろう。



自称フリーライター。



わっはっは。

と笑ったあなたはフリーライターがいかなる存在であるか、ご存知ないのだろう。たとえ稼ぎがあろうとなかろうと、でかい実績があろうとなかろうと、フリーランスの人間は原則として「自称○○」なのである。

たとえばライターの場合、確定申告書の職業欄に「ライター」と書いても「作家」と書いても「文筆家」と書いても「著述家」と書いてもかまわない。なぜならおのれの職業が『自称』だからである。

2年前に会社をつくったぼくは、ようやく「自称フリーライター」を脱し、公的には「経営者」と呼ばれる立場になった。こころのどこかに「自称経営者」じゃないのか、との危惧もあるのだけど、そのへんを決めるのはマスコミのみなさんである。そして逮捕されてみなければわからない問題である。


「自称○○」と蔑まれないために、平穏無事な、清廉潔白な生活を送っていきたいものですね。