フリック入力とタッチタイピング。

そのうちおれも、自然とマスターするのだろう。

そんな当てずっぽうに身をまかせ、これといった対策を講じることなく生きてきたら、ちっとも上達しないままこの歳になってしまった。フリック入力と、タッチタイピングである。ちなみにいうと「ブラインドタッチ」は和製英語であって、その「ブラインド=盲目」の語が持つ響きもあって、現在では正しい英語でもあるタッチタイピングと表記することが主流となっている。

タッチタイピングについては、やはり同じ悩みを抱える人が多いのだろう。それを遊びながらマスターするためのタイピングゲームが各種用意されている。ぼくもゾンビを撃ちまくるやつとか、ケンシロウが北斗神拳であたたたしまくるやつとか、いくつか買ってみたし、やってみた。いずれもたしかによくできたゲームで、やっている最中にはノールックのまま、正しいポジションで正しくタイピングすることができる。ところが、ゲームを終了して仕事をはじめると、またいつもの無手勝流タイピングに戻ってしまう。かといって再びゲームをはじめると練習してるんだかゲームしてるんだかわからなくなるので、もうあきらめて無手勝流を貫くことにしている。

という七転八倒を若いころに経験していたので、きっとフリック入力に関してもそれをマスターするためのゲームが登場するのだろうと思っていた。さすがにもうケンシロウの時代じゃないだろうし、別のキャラクターなのかな。あるいはフリック入力にまごまごするのはおっさんばかりなので、おっさんたちに馴染みの深いケンシロウが再登場するのかな。

そんなふうに期待していたのだけど、いっこうにフリック入力練習ゲームが出たという話を聞かない。いや、探せばあるのかもしれないけれど、流行っている感じがまったくない。おれのところにまで、その情報が届かない。

……みんな自然にマスターしているんだろうなあ。ひっきりなしにスマホを触っていれば、そこで友だちたちとたのしくコミュニケーションをとっていれば、誰でもするするおぼえるものなんだろうなあ。

少しさみしくなった。

フリック入力の未熟。それは友だちの少なさなのかもしれない。

武士は食わねど高橋ジョージ。
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古賀史健