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リラックスしてくれよ。

犬が会社にやってきた。

きのうの日曜日、建物に誰もいない時間を見計らって、犬を会社に連れてきた。もともと犬OKの物件であり、それもあって契約したオフィスなので、もっと早く連れてきてもよかった。連れてきたかった。けれどもそうしなかったのは、単純にオフィスが散らかっていたからであり、しかもうちの犬が食い意地の権化であり、拾い食いの帝王だからである。たぶん書いたら過剰に心配されたり(場合によっては)怒られたりするので詳細は書かないけれど、まあうちの犬がこれまでに誤飲したものリストは、けっこうすごい。床や道になにかが落ちていたら、とりあえずは口に運ぶ。手当たり次第、口当たり次第に拾ってまわる。


そんな彼がオフィスにやってくて、予想どおりにくんくんしはじめた。

あわてたあまり写真も撮れていないのだけど、机の下にもぐってモゾモゾやったり、ゴミ箱のにおいをくんくんしたり、それを倒そうとしたり、窓の外に向かってわんわん言ってみたり、まあほんとにたいへんである。

でもなあ。この興奮のしかたは、食い意地じゃないんだよなあ。


いったいここがどんな場所なのか、全身を使って知ろうとしている。危険はないのか、敵は潜んでいないのか、逃げる場所はあるのかないのか。たぶんわあわあ吠えるのだって、おとうさんであるところのぼくを、守ろうとしているからだ。

そんなにがんばらなくていいんだよ、むしろおとうさんがお前を守っているんだよ、と隣に座らせて頭をなでてみても、なかなか落ち着かない。




帰宅後、へとへとに疲れ果ててまるくなる犬を見ると、少しずつ慣れさせていくしかないなあ、と思う。悪いことしちゃったなあ、と。


犬がいる職場はあこがれなんだけども、彼がゆったりと寝そべる横で仕事できる日は、はたしてくるのだろうか。

こんな姿を見せてくれる日は。

郷に入ってはひろみに従え。
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古賀史健

ライター。バトンズ代表。著書・共著「嫌われる勇気」「古賀史健がまとめた糸井重里のこと。」「20歳の自分に受けさせたい文章講義」など。週日更新しています。http://www.batons.jp

古賀史健(2018)

古賀史健の note、2018年分です。