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昨夜のわたしはこんなことをしていた。

知らないこと、わかってないことは書かない。

原稿を書くとき、いつも肝に銘じていることだ。たとえば、そうだなあ。仮に「ビジネスモデル」ということばを原稿に使うとしよう。感覚的にはよく知っていることばだ。けれどもそれは「つまりアレでしょ? ビジネスの、モデルでしょ? 儲けの仕組みとか、そういうことでしょ?」に近い理解なのかもしれない。和製英語かもしれず、外国では違う呼び名があるのかもしれず、そもそも、いつ、誰が使いはじめたことばなのかも、よくわからない。へえへえ、ほうほう、と頷いているぶんには構わないけれど、書くにはちょっと心許ない理解だ。作家のように「おれはこう思う」を書くお仕事であれば違うのかもしれないけれど、他者のことばを預かっているライターとしては、そのへんをいい加減なまま通過することはできない。

こういう場合、まずはネットで検索する。信用できそうないくつかのソースを当たりながら、今度はそこで語られている固有名詞や出典を頼りにアマゾンに行く。ちゃんとした解説が載ってそうな本を、キンドル版があればキンドル版で、なければ紙の本で、配送が待てないようなら別の本のキンドル版で探す。ここまでしてキンドル版を読んでも、8割方アテが外れる。ぜんぜんそのことばの解説がなされていなかったり、ネット以上の情報がなかったり、真偽の疑わしい話になってたり、いろいろだ。そして少ないときでも5冊くらい、多いときでは10冊以上を購入してようやく、そのことばについての「こういうことなのかな」や「ここまでは言ってしまって大丈夫だろう」が見えてくる。

昨夜はそれのかなり深刻な事案が発生し、調べども調べども確度の高い情報に突き当たらなかった。英語の論文を十分理解できるくらいの語学力があればもう少し簡単なんだろうけど、こればっかりは仕方がない。

けっきょく朝方、わずかながらの手がかりを掴めたのは、グーグル・ブックスで見つけた雑誌記事だった。世界中の出版物をどんどんスキャンして検索させちゃおう、というグーグル社のサービスだ。最初にグーグル・ブックスの話を聞いたときはその誇大妄想的なプランに驚いたけど、ほんとすごいサービスができつつあるなあ。


えーと、とりあえず佳境であるということと、その佳境がどういうかたちであるか、その一例についてのお話です。