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あのひとと同じ空気を吸って。

先週の土曜日、クラプトンの武道館公演に行った。

今回の来日公演は武道館5デイズ。ぼくは今週にももう一度、観に行く予定でいる。

クラプトンが最初にワールドツアーからの引退・撤退を発表したのは、2001年「Reptile ワールドツアー」の最中のことだった。事実、その翌年には同ツアーの模様を収録した、集大成と呼ぶにふさわしい傑作ライブアルバム、「One more Car, One more Rider」を発表。ツアー引退を印象づけた。

ところが、数年としないうちにツアーを再開し、70歳を翌年に控えた2014年、ふたたびツアー引退を公表する。もうこれ以上、体力的に無理だ。これからはレコーディングに集中する、というのが引退宣言の趣旨だった。

で、こうして何事もなかったかのように来日を続けている(前回の来日は2016年)のだから、そろそろオオカミ少年ならぬオオカミおじさんの称号が与えられてもよさそうなものなんだけれど、こんな嘘なら何度でもつき続けてほしい。やっぱりクラプトンは最高だった。とくに「クラプトン、最後の来日公演」との触れ込みでおこなわれた前々回、そしてあのスタイリッシュな御大がジャージのズボンで現れたゆるゆるの前回公演にくらべて、今回は音もアレンジも本人のやる気も、大幅にアップしているように思われる内容だった。初日は飛び入りゲストでジョン・メイヤーも参加したし。

きょう、4月15日の月曜日もクラプトンは武道館でライブしている。ぼくがこれを書いているいま、もうライブははじまっている。

この、来日中のミュージシャンを思い浮かべるときの「この国のどこかで、あのひとはいま、生きている。演奏をしたり、歌を歌ったり、酒を飲んだりしている」の感覚がぼくは、たまらなく好きだ。想像するだけでわくわくするし、うれしくなって夜の街でも歩きたくなるのだ。

もしもこの感覚が日本という極東の島国に住む人間特有のものだとしたら、ぼくはこの国に生まれてよかったと思う。

出る釘は浮かれる。
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古賀史健

ライター。バトンズ代表。著書・共著「嫌われる勇気」「古賀史健がまとめた糸井重里のこと。」「20歳の自分に受けさせたい文章講義」など。週日更新しています。http://www.batons.jp

古賀史健(2018)

古賀史健の note、2018年分です。
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