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最初の人はだあれ?

自分の記憶をさかのぼってみると、おもしろいものだなぁと思う。

ぼくの記憶にある最初の総理大臣は、大平正芳さんだ。そして最初のアメリカ合衆国大統領は、ジミー・カーターだ。調べてみると、大平総理の在任期間は1978年から1980年。カーター大統領の在任期間は1977年から1981年。ほぼ同時期の首脳である。幼き日のぼくは、ぼんやりと「日本でいちばんえらいのは大平総理で、アメリカでいちばんえらいのはカーターさんだ」くらいに認識していたのだろう。

ところが、ソ連になるとこれ、ユーリ・アンドロポフ書記長なのである。年表的にいうと、大平総理やカーター大統領と同時期にいたのはブレジネフさんになるはずだけど、あいにくぼくに彼の記憶はない。1982年から1984年のあいだに書記長だった、アンドロポフというおもしろい音の並びが記憶にあるだけだ。1982年といえば鈴木善幸さんを飛び越えて中曽根総理、そしてレーガン大統領の時代である。

ほかの国々はどうかというと、イギリスのサッチャー首相、フランスのミッテラン大統領、(西)ドイツのコール首相など、在任期間の長い人が多く、自分がどの段階でそれぞれの「いちばんえらい人」を認識したのか定かではない。


えーと、なにがおもしろいかというと、要するにぼくはいちばん最初に日本の総理大臣を知り、次にアメリカという国とそこの大統領を知り、ずいぶん経ったのちにソ連という国を知って、アンドロポフさんという書記長を知ったのだなあ、ということ。そこには国や文化の距離感があったのだし、直感的思考、論理的思考、抽象的思考という思考ステップの成長があったのだろうなあ、ということ。そしてまた、いまの子どもたちはどういう順番で国や首脳の名前をおぼえていくのかなあ、ということ。


あ、ちなみに大統領選出馬当時、知名度の低かったジミー・カーターさんは、オールマン・ブラザーズ・バンドの全面バックアップを受けていたんですよ。きのうグレッグ・オールマンのラストアルバムが出るとの報を受け、カーター大統領のことを思い出し、こんな話になったのでした。


郷に入ってはひろみに従え。
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古賀史健

ライター。バトンズ代表。著書・共著「嫌われる勇気」「古賀史健がまとめた糸井重里のこと。」「20歳の自分に受けさせたい文章講義」など。週日更新しています。http://www.batons.jp