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ソウルフードを知るために。

何度も書いてきたことだけれど、ぼくは福岡の出身である。

福岡出身の芸能人は多い。タモリさん、武田鉄矢さん、最近だったら博多華丸大吉さんのように「福岡」を前面に出している方もいれば、高倉健さんや井上陽水さん黒木瞳さんなんかも、福岡県の出身だ。

福岡に住んでいる当時、たとえば武田鉄矢さんあたりがテレビでおもしろおかしい福岡の話をするのは、なんとなくうれしかった。そうそうそう、そうなんよねー。みたいな感じで笑っていた。けれども心のどこかで違和感が拭えなかったのも、また事実である。もう福岡を離れて何年何十年も経つ彼らに、ほんとに福岡のことがわかるのだろうか。いまの福岡を知るはずもない彼らに、思い出のなかの福岡を語ってもらってよろこんでる現状は、なんか違うのではないか。

けれどもそれが見当違いのいちゃもんであったことを思い知らされたのは、自分が上京してからである。「福岡はこういうところがおもしろい」「福岡はこんなふうにヘンテコだ」「福岡の食いものでほんとにうまいのはこれである」みたいなことを自覚できるようになるには、別の土地に住まないことにはどうしようもないのだ。たとえば食の分野で言っても、別の土地のうどんや魚や味噌汁や、なんでもない豚の生姜焼き定食なんかを食べてようやく「福岡の味」みたいなものを理解できるようになる。


いわゆる「クールジャパン」なコンテンツがどこかズレた感じがするのは、福岡から出たことのない人が「これがうれしいんでしょ?」とおすすめする福岡名物、みたいな感覚に近いからじゃないかなあ。

そんなことを昨日、高校生とお話ししながら思いました。