どうしてぼくは本をやめないのか。

どうしてぼくは、本(書籍)をやめないのか。

出版不況だとかなんとか言われているけれど、その半分は雑誌不況だ。そして雑誌不況の半分は、広告主の不況だ。雑誌不況の残り半分は、ライフスタイルの変化だ。かつて「情報」は雑誌から拾い集めるものであったけれど、いまや「情報」はネットから拾い集めたほうが便利でおもしろい。だからこれから残る雑誌は、「情報でないなにか」を売る雑誌だけになる。一時期市場を席巻した宝島社の付録付き女性誌などは、典型的な「情報でないなにか」を売る雑誌だった。

そしていい本、おもしろい本とは、「情報」を売るものではない。

本が売るのは「体験」だ。時間の流れを忘れ、音も聞こえなくなり、紙とインク以外のなにも見えないほどに視野も狭窄し、作者とわたしが一本の糸でつながったかのように錯覚させる、圧倒的な読書体験。この没入感は、映画でも、音楽でも、テレビでも得られるものではない。

情報を売るだけの本は、雑誌と同じくネットに駆逐されていくだろう。けれども「体験」を売る本がほかのなにかに駆逐されることは、たぶんない。それは代替不可能な体験なのだから。

読書が体験になっていくには、厚さも長さも必要だ。「ここにしかない体験」を提供できるような本をめざそう。

そんな話を、今日ある場所でしました。



※『幸せになる勇気』、本日増刷がかかり累計25万部となりました。応援してくださったみなさま、どうもありがとうございます。

出る釘は浮かれる。
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古賀史健

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コメント2件

まさに、そこなんだな。と思いました。
情報より体験。その通りだと感じます。
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