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雑談のなかで、漏らしたことば。

「ぼくはもう、ビジネス書は読まないんじゃないかなあ」

仕事中、会社の田中さんとしゃべっているなかでぼくは、ふとそんなことばを漏らした。「そういえばあの本、読みました?」みたいな話のなかで、読むはずがないでしょう、とばかりにぼくはそんなことを口走った。言ってからすこしおどろいたぼくは、その理由を考えながらことばを足した。

「けっきょくもう、扱っている対象が変わるだけで、本としてのあたらしさとか、スタイルとしてのあたらしさが、ほとんど感じられないもんね。あたらしさを売りにしてきたはずのジャンルなのに」

うーん。返事も相づちもなく、どうやらうまく伝わっていないようだ。

「読者としての自分がおもしろくないと思いながら、仕事として書き手の側にまわったって、いいことなんかひとつもないからね」


もちろん、今後ビジネス書を一冊も読まないということはありえないけど、それでもまあ、これはぼくの本音だ。そういう本が好きな人がいるのは全然いいんだけど、否定するつもりはまるでないのだけど、少なくともいま、読者としての自分はそこに魅力を感じることができていない。

じゃあ、どんな本をつくるのか。つまり、読者としてのぼくは、どんな本を読みたいと思っているのか。

それはたぶん「ほんとうにあたらしい本」で、今年からはそれをかたちにしていく数年間がはじまるのだと、個人的に思っている。まだ感覚的にしかことばにできていないけれど、たとえばいま取り組んでいる本も、たぶんあたらしい。

仕事中の雑談のなか、そんなことを思ったのだった。